Lv.1 神域オンラインの最強ゲーマー
ーーー神域オンライン
それは神の討伐、PVPをメインコンテンツとするファンタジーMMORPGで世界各国で圧倒的知名度を誇る。
ここはそのゲーム内マップであるレゾナンド区域:森林エリア。
鬱蒼と茂った大森林の中からプレイヤーの怒号が響き渡った。
「合わせろディナンド!」
「おう、行くぞ!」
「ーーーブリザードストーム!!」
「ーーーメテオインパクト!!」
ズドオオォォォン....。
地面が激しく揺れ、まるで大規模な災害が起きたかのような強大な力がある一人のプレイヤーにぶつけられた。
「流石にここまでやればいくら『ナナシ』でも立っていられないだろう。そう思うだろ?リメア」
ディナンドと呼ばれたプレイヤーはこの絶大な威力を見て勝ちを確信し、リメアと呼ばれた相方プレイヤーを一瞥する。
「あぁ、これは流石にっーーー!?」
リメアが同意しようとした時、土煙の奥から人影が姿を現した。
「う...嘘でしょ...。」
土煙の奥から現れたのは、ウサギの着ぐるみを着ているフザケた格好のあるプレイヤー。
「おいおい、お前らチート使ってるなぁ?外部ツールから威力計算弄って自動追尾設定してるだろ?そんなズル使って正規のプレイヤーに勝てないんじゃいい笑いもんだなぁ?」
そう言って相手を見下すように笑うのは『ナナシ』
神域オンラインの世界最強のトッププレイヤーだ。
ディナンドが冷や汗をかく。
「それを言うならお前もズル使ってるだろ。自動追尾を避ける事は出来ないからあの威力を受けて立っているわけがない」
ナナシは肩を竦めた。
「いくらぶっ飛んだ火力でも当たらなきゃ意味ねぇだろうがよ。自動追尾チート使ってもヘイスト+ジャスト回避で受け流せばいい。俺にはその技術がある。つまり戦う前からお前らの敗北が確定している」
「じゃ、もう終わらせるぜ」
刹那、閃光の如くの速さでディナンドに接近し、持っていた長剣であっという間に一刀両断してしまった。
「ぐわああぁぁぁぁ!?」
ディナンドは反応することすら出来ず、やられて街へ転送された。
「バ、バケモノめ!!」
「次はお前だ。じゃあな!」
そして呆気なくリメアも街へ転送された。
「はぁ...チーターも大したことねぇなぁ...つまんね」
呆れたとでも言いたげに腰に手をやり空を見上げた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
光山高校。
普通科高校の公立校だ。
その学校の教室で机の上でボーっとしている人物がいる。
名前は園田帝斗。つまり俺だ。
「おーい園田!何ボーっとしているんだよ!」
そう言って肩を叩いてきたのは友人の吉田。
「なぁお前、神域オンラインってやってるか?」
「あぁ、まぁ一応」
「お、いいね!じゃあ一緒にやろうぜ!」
それを聞いて俺はバツが悪そうに答えた。
「あー...ごめん。今ソロ専でやってるんだ。俺って結構ソロでゲームやりたいタイプでさ」
「まじかよ?珍しいやつだな」
そう言って吉田は何かを思い出したように視線を上にあげる。
「ソロって言えばさ、お前『ナナシ』ってプレイヤー知ってるか?」
ーーーギクリッ
「あ、あぁ...聞いたことは...あるかな〜?」
「ナナシやばいよな!神ソロ討伐にeスポーツ大会連覇。さらにチーター狩りまでしてるって話だぜ?公式大会ではウサギの被り物してて『正体不明』。最高にカッコイイわ...!」
俺はわざとらしく視線を反らした。
(まさかそのナナシがここにいるだなんて一体誰が予想できるんだろうか)
ゲーム上の性格は好戦的であるのだが、現実世界ではこの通り、陰キャが極まっている。
故に自分が『ナナシ』である事は誰にも知られたくない。
「まぁ気が向いたら一緒にやろうか。じゃあ次の授業体育だからもう行くわ」
そう濁してそそくさと立ち去った。
ーーー放課後。
いつものように帰宅していつものようにパソコンを起ち上げる。
その時、今日の体育の授業中に友達から聞いた妙な噂を思い出していた。
(最近神域オンラインプレイ中の人が何人か行方不明になったらしいぞ)
その事を聞いて昨日のチーターを連想した。
あの二人がBANに遭ったというのを風の噂で聞いたのだ。
確かに今までチーターがBANされる事例などはあった。
だが、今回は何かが違う。
そんな気がする。
言いしれない何かが頭の隅に引っ掛かる。
そして神域オンラインのログイン画面からゲームにアクセスしたその瞬間だった。
『【アルカディア】世界同期テストを開始します』
ーーーその瞬間目の前が眩い光で包まれて意識を持っていかれた。




