独楽
よろしくお願いします。
雨の中を走る
恐らく風は向かい風
目や口に入り込む水滴に
意識など向けられない
迫る足音は激しい雨音に溶けていく
恐怖とほんの少しの安堵
五感に入らなければ
私はこの世界に一人だけ
何も怖いものなんて存在しない
徐々に霞む視界に大きな光が複数ある
安堵と油断を抱えて
飛び込んだ先に広がる絶望の崖
向かってくる剣先と怒号
水で奪われる体温と
崩れ落ちていく膝
昏く落ちていく視界
耳に残っている優しげな声
「もうあなたは大丈夫」
繰り返される言葉に返すのは
「あなたは誰?私って…一体誰なの?」
戸惑いと恐怖しかない
この世界は一体 どこなの?
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