回想 奇妙な生活
「おい朔夜、短期決戦だ」
二丁でネチネチ弾ことワイヤー弾を連射する。俺と蓮はすり抜けられる特別仕様だ。フレイスはワイヤーを焼き切ろうとするが、対策済みだ。
蓮は一回、二回と素振りをし、フレイスへと駆け出した。
俺は蓮へと攻撃しようとする噴水のフレイスを撃ち、蓮は街灯ごとフレイスを一匹叩き斬る。
一匹取り逃した。そのフレイスは丁度射線が隠れる位置にいたが、蓮の斧めがけて弾を撃ち、跳弾させて仕留めた。
フレイスは、元からそこにいなかったとばかりに消滅する。フレイスのような仮想の存在は、人々の集合的無意識に魔力が引っ付いたようなものだから、そこには何も残らない。
その後、計八体のフレイスを倒した。フレイスが見つからないので戻ろうとした時、「順調」は虚構だと知らしめる"ソレ"が現れた。思えば、ソレが今までの全ての元凶だったのかもしれない。だが、今となっては感謝をすればいいのか、怒鳴り散らせばいいのか、もう分からない。
「おいおい、コイツぁオオモノだぞ」
俺と蓮の視線は街の広場に悠々と佇む仮想精霊……フレイスの完全上位互換に向けられていた。
「サラマンダー……スタンダードな特Aか」
「どうするよ、コレ」
俺は少し考えてから、蓮に「Mayday Mayday Mayday、とリーダーに伝えてくれ」と言った。
「俺が引き付けておくからその隙に行け」
「ん?お前の方が足は速いだろ?しかも俺は無線電話じゃあねえ」
「お前に遅延防御が出来るのか?」
「ママ、ボク、行ってくるね!」
蓮が走り出すのを見届けて、サラマンダーを見据える。
「さあ、二人っきりでパーティだ」
牽制とばかりに二丁の拳銃で連射する。が、当の害獣はウンともスンとも言わない。その後も連射を続けるが、反応らしい反応と言えば反撃の火球ぐらいだ。
「チッ、仕方が無い。こうなったらゼロ距離射撃だ」
射程と弾速を犠牲すればいくらかは火力が出る。縮地で距離を詰め、火力重視の重い一撃を二丁で放つ。流石にこれは効いたようで、害獣は唸り声を上げる。それと同時に、害獣は炎をまとった腕を振り、攻撃してきた。
至近距離で、しかも遠心力まで上乗せされたその攻撃は、俺が身を守る為に突き出した左の銃をいとも容易く溶かした。舌打ちし、使い物にならなくなった銃を投げ捨てる。
「はっ、絶望的だな」
火力が半減した。普通に考えたらもう勝ち目はない。……とはいえ、俺が目指すのは遅延防御。今必要なのは火力ではなく、搦め手。まだ諦めるには早すぎる。
……いや、ここで倒せば一時給与アップだ。とっとと倒して、あのリーダーと司令官に文句を言ってやる。
そう思うと、謎に力が湧いてきた。まあ、少し緊張した人間の考えと、そうは変わらないだろう。
足に鞭を打って、一気に飛翔する。そのまま、至近距離で火力を極限まで高めたワイヤー弾を続けて三発放つ。害獣の頭を貫いて、体の中で跳弾。そのまま、ワイヤー弾に残った魔力をありったけ流し、破裂させた。
その一撃は、忌々しい仮想精霊を木っ端微塵にする。俺はその残骸である炎の粉を背に受けながら着地し、その場に仰向けに転がる。
すると、ふと、俺の顔に影が降りた。
「お見事!まさか3=8が特Aを倒すとは!まさに賞賛の一言だよ!」
その影は、リーダーであるユウのものだった。
「…………、いつから見てた?」
「いやあ、なかなか良い戦い方をしていたから観戦してたんだよ」
心の中で、蓮に「ほら見ろ、ロクなヤツじゃない」と呟く。
「いやいや、そんなに拗ねるなって。君には銃の才能がある。7=4の私が言うんだから、本物だよ」
「はあ、それはどうも」
「ふむ……そうだ!君は私の助手になれ!君は私の補助をして、私は君に銃を教える。これそ、win-winの関係だろう!」
ユウは、名案とばかりに目を輝かせる。
「はあ?おい、ちょっと待て……」
俺が静止の声をあげるが、ユウは全く聞いていない。
「よし、これから本部に戻って訓練だ!」
これが俺達二人の奇妙な生活の始まりだった。
少し長くなりました、すみません。
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