回想 出会いは任務で
初めて俺がユウに出会ったのは確かまだ3=8の時だった。俺は、その日害獣の集団暴走の鎮圧に駆り出されていた。
この部隊のリーダーは"超銃戯曲"天城ユウ、と言うらしい。総合転移室の総合転移陣に乗りながら顔を顰める。銃使いにマトモなヤツはいない。まあ、今回暴走したのはB級の害獣だから、死人が出ることはそうそう無いだろうが、今から不安になってくる。
「どうした、朔夜。浮かない顔して」
隣にいた蓮に尋ねられた。暗がりの中、俺は顔を顰める。
「いや、銃使いって聞いたから心配になっただけだよ」
「うん?いや、7=4だし、美人って噂だし、強いって噂だし、美人らしいから、心配するところなんて一つもないじゃないか」
転移が始まった。青い魔力光とともに浮遊感に包まれながら言う。
「違う、性格の話」
「お前、それブーメラン刺さってないか?」
そんなことを話していたら、いつの間にか景色が変わり、緑がよく映える丘に転移していた。状況を確認するために辺りを見渡すと、炎が立ち上る街が見えた。
赤と緑のコントラストを眺めていたら、後ろから張り上げるような声が聞こえた。
「おーい、ちゅうもーく!私がこの作戦のリーダーとなった、天城ユウだ!」
皆が後ろに振り向き、俺も後ろを向く。目線の先には、緑髪の、勝気な女性が丘の少しだけ盛り上がった場所に立っていた。
「よし、それじゃあ作戦開始!」
『は?』
ここにいる全員が戸惑いの声を上げた。皆がポカンと口を開ける。それはそうだ。作戦なんて微塵も聞いてない。
ユウだけが準備万端とばかりに被害地区に向けて走り出そうとしている。
「ん?作戦開始だって言っているだろう?……なに、作戦を聞いていないのか?」
「作戦も何も、被害状況さえも聞いてない」
誰もその問いに答えそうになかったので、俺はそこにいた数十人の思いを代弁して言った。
「なんだって?本部の奴ら、全部私に丸投げしやがって……」
ユウが苛立たしげに言う。責任転嫁、ここに極まれりだ。
「まあいい。ええと……?被害地区は今あそこで燃えているローレア街、住民は全て隣町に避難済み、状況は見ての通り。発生個体は仮想魔獣のフレイス、発生数は二十以上。二人三脚で行動し、会敵次第各個撃破せよとのことだ」
ユウがポケットから一枚の紙を取り出して懇切丁寧に説明する。第一印象とは裏腹に案外面倒見がいいのかもしれない。
「質問は無いな?それじゃあ、作戦開始だ。私も同行するから、何かあったら呼んでくれ」
少し辺りがざわついたが、彼らも学生ではない。その言葉を皮切りに、縮地で街に飛び立った。
「うはー、こりゃひでえ。お?こんな風景、ゲームで見た事あるぞ」
隣で蓮がはしゃぐ。それなりに栄えていた街のようだが、今はその面影だけを残し、淡々と燃えていた。
「馬鹿な事言ってないでさっさと行くぞ」
住民がもし残っていたら大惨事になっていただろう。緊急時の対応のマニュアルが徹底されていたのだろうかなどと考えながら、廃墟となった街の中を駆ける。
走り始めてすぐ、ソイツらに気づいて足を止める。
「……おっと、団体様がおいでなすったぜ。手厚く歓迎してやらないとな」
前を睨むと、炎を纏った亡霊がそこら中を漂っていた。街灯にまとわりついた二匹と、噴水の上に一匹の計三匹が俺達を嘲笑うようにぐるぐると回ってみせた。
俺は拳銃を取り出し、蓮は彼の身長程ある巨大な斧を両手に持った。
「おい朔夜、短期決戦だ。いつものネチネチ弾出せ」
彼の言うネチネチ弾とは、地形で反射する、魔力で出来たワイヤー弾だ。その特性上、仮想の存在であるフレイスをも絡めとるので、銃使いからはネチネチ弾の愛称で親しまれている。
そして、蓮の斧だが、この斧は少し特殊なのだ。というのも、斧を振るう度にその重さが増すのだ。攻撃力がどんどん増える代わりに扱いにくくなっていく。一応、敵を倒したと彼が判断したら斧の重さがリセットされるようだが、それでも早く倒さなければならない。
俺はそんなことを考えながら、漂う害獣の動きを制限するべくネチネチ弾を連射した。
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最近の目標:三日坊主せずに日記を書くこと