混沌の日常
俺達の目の前には、横にも縦にも大きい塔が聳え立っている。ここが、軍の本部、その中の建物の一つの司令塔だ。この塔と、この塔を囲う様に建てられた七つの塔に挟まれた中庭で、軍の人間は七時に集まる。
「おい、着いたぞ。ぼさっとしてないでとっとと俺の腕から降りろ。叩き落とすぞ」
「あ、はあ......。今何時ですか?」
司令塔の玄関の上の時計を指差す。時計の二つの針は、六時五十分を指していた。
「え、ええと、さっき四十分だったから......、時速百八十キロ!!?なんでそんなに速く走って息切れ一つしてないんですか......?」
驚いた様子でゴチャゴチャ言う霞を叩き落とす。彼女はうめきながらも立ち上がり、朝礼のある広場とは別の方向に歩いて行った。
「おい、どこ行ってるんだ?広場はあっちだぞ?」
「え、軍服に着替えないんですか?」
「は、お前、あんなモノに着替えてるのか?!」
霞が「なんですかそのゴミを見る目は」と目を細めて言った。
この軍の軍服はすこぶる評判が悪い。攻撃の一つも防がないわ動きにくいわ通気性が悪いわその他諸々の服としてあるべきモノがほぼ無いとまで言われ、数年前までは軍服を着る事が必須だったことから集団ストまで起こったほどだ。三千を超える人々がこの軍にはいるが、軍服を着る者はほぼおらず、そいつらは畏敬と共に特異の目で見られる。
霞は更衣室に行ってしまったから、仕方がなくそこで待つ。
「よお、また新しい彼女でも出来たか?」
「お前な......。俺とあいつが付き合ってるように見えたならお前は眼科か精神科に行った方が良い」
待っていたら、ある男が話しかけてきた。的場蓮、それが彼の名前だ。コイツは俺の同期で、同じ時期に軍に入り同時に昇進し5=6になっている。どちらかと言うとPC関連の方の「同期」の方が近いかもしれない。
「……で、お前は何やってるんだ?とっとと行かないと朝礼に遅れて説教を喰らうぞ」
「すごいブーメランだな」
その後も下らない話を続けていたら、霞か塔の中から出てきた。
「あれ、先輩、待っててくれたんですか?それより、そこのお方は?」
「ああ、俺か?的場蓮だ。コイツの同期な。お前は?」
「十橋霞です。よろしくお願いします」
そう言って霞は手を差し出した。驚くべきコミュ力だった。蓮は「こちらこそ、よろしく」と言ってその手を握る。
「おい、自己紹介はいいがそろそろ行かないと遅れるぞ」
その後も話している二人にそう言って広場へと歩き出す。
点呼を終えた俺は、第二構内にある5=6用の待機部屋に向かった。訓練や出動命令がない時は大体この個室を使う。これは5=6以上の第二団の特権だ。
殺風景な部屋の中、ソファに座って携帯を取り出す。目ぼしいニュースがないものかと画面をスクロールすると、気になるモノがあったので、そのページをタップした。どうやら、最近巷では害獣が活発化しているようだ。確かに、軍の出動回数も増えている。物騒な世の中だ。
そのニュースを読み終わって欠伸をすると、後ろのドアが急に開き、騒がしい足音が聞こえ、何か柔らかいモノが背中に当たった。
「おーい、サクちゃーん、召集よ!」
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