プロローグ 始まりの始まり、あるいは終わりの始まり
あらすじです。
ある日、俺ーーーー冬持 朔夜の元に弟子入りをさせて欲しいという後輩が現れる。彼女は虚構の"8=3位階"の手掛かりを持っているといい、俺は嫌々ながらも8=3の謎を解き明かすため動き出す。......また、アイツと同じように彼女が居なくなると知っていながら。
他人の死を引き摺るということは糊を二度付けることに似ている。ただの時間と労力の無駄だ。捉え方によっては、死を引き摺ることを死者への冒涜とも考えられるだろう。
生者の声は死者に届かない。要は、糊の二度つけは馬鹿だ、という事だ。……となると、俺は糊の二度つけをする愚者という事になるのだろうか。
トタンで出来た壁と屋根と、コンクリの床で出来た四十畳程の俺の家は一人で住むには広すぎた。仕切りの全くないこの家には必要最低限のものしか無く、キッチン、テレビ、テーブルにカーテンで仕切られた湯船とシャワーとトイレ、微妙に距離の離れた二つのベッドと大きな作業机が、それぞれ寂しげに立っていた。
ベッドの上に座って、二丁の拳銃を眺める。
……それからどれだけ時間が経っただろうか、いつの間に寝てしまっていたようだ。久しぶりの休みだったから疲れが溜まっていたのだろうか。
家の外から爆音に似た咆哮が聞こえる。害獣だろうか。
害獣とは読んで字の如くだが、その大きさは虫のように小さなものから十メートルに至るモノもある。そして、その厄介さにはレベルがあり、準C級からC級、特C級と来て、C、B、A、Sと強くなっていく。ちなみに、俺が属している軍では「魔獣」やら「モンスター」とやらと呼んでいるが、俺はそんな言葉遊びをする気はない。
家の外に出ると、小柄な女性と熊型の害獣が戦っていた。
女性は一丁の軍支給の拳銃を持って害獣の攻撃を捌いている。……だか、害獣の猛攻に押されていて、やられるのは時間の問題だろう。
…………人を見捨てるのは趣味じゃない。
見兼ねた俺は、気怠い体を引きずって家の中から持ってきた拳銃を持って、それを害獣の眉間へと向ける。
「魔弾の射手、発動」
トスッ、と害獣の眉間に穴が開き、その間を一筋の光が走り抜ける。処理終了だ。害獣が死んでも死体は残らず、この星のエネルギーとして還っていく。
徐々に分解されていく害獣と茫然とした女性を尻目に家のドアを開ける。しかし、それは後ろから聞こえてきた声によって妨げられてしまった。
「…………あっ、ち、ちょっと待ってくださいッ!」
ドアノブにかけた手を止め、開きかけたドアの反対を見る。
「……何か用か?」
「あ、あの、さっきは助けてくださってありがとうございます!」
「……ああ、そのまま放っておいたら俺の家が壊れるからな。それに、家の外に死体があると思うと寝覚が悪いからな」
そう言い残し、再びドアを開ける。だが、また呼び止める声が聞こえる。
「あ、あ、あっ!ちょっと待ってくださいってば!」
「………何だ?早く用を言え」
「あのっ……、私を弟子にして下さい!」
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