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タコの恩返し

 二人「はい、どーもー」

 ツッコミ「最近さ、昆虫食とか時々話題になっているよね」

 ボケ「ああ、まぁ、聞くね」

 ツッコミ「これが、なんでか?って言ったら、発展途上国が経済成長したり、人口が増えたり、気候変動の影響で食糧生産がダメージを受けたりなんかすると、食糧不足になるかもしれないから、比較的簡単に育てられる昆虫食を主体にした方が良いのじゃないか?って話らしいのだけどね。

 牛とか豚とかだと、メタンとかの温室効果ガスも出しちゃうって話もあってさ」

 ボケ「なるほど。でも、虫食うのは嫌だな。気持ち悪いじゃん」

 ツッコミ「そこだよ」

 ボケ「どこだよ?」

 ツッコミ「“気持ち悪いから食えない”ってところだよ。冷静に考えてみたら、エビとか貝とかタコとかも気持ち悪いじゃん。でも、平気で俺ら食べてるじゃん? こーいうのって慣れの問題だと思うんだよね。

 ま、ありがちだけど、“初めに食べ始めた奴らがえらい”ってね」

 ボケ「ああ、分かる。ウーパールーパーとかね」

 ツッコミ「ウーパー? いや、ウーパールーパーは食べないけどね」

 ボケ「食べるって。調べてみろよ。あれ、食用だぞ? 姿焼きとかある」

 ツッコミ「え、そうなの?」

 ボケ「そうだよ。ま、俺は食べないけどね」

 ツッコミ「食べないんじゃねーか! ま、いいよ。とにかく、そういう人達が食べ始めて普通にしていけば、昆虫食だって普通に食べるようになると思うんだよね。

 そういう意味じゃ、“どうすれば人間が食文化を変えられるのか?”っていうのは、意外に重要なテーマなんじゃないのかって俺なんかは思うんだよね」

 ボケ「ああ、それなら簡単だよ。俺、知ってるもん」

 ツッコミ「知ってる? なら、言ってみろよ」

 ボケ「そーいうのは、大抵、“恩返し”のお陰なんだよ」

 ツッコミ「はぁ? “恩返し”? 何言ってるの?」

 ボケ「疑っているなぁ?」

 ツッコミ「いや、疑うもなにも、意味分からないからね、そもそも」

 ボケ「俺が知っているのは、こーいう話だよ。昔々、ある所に漁師の男が住んでいました……」

 ツッコミ「なんか、語り始めたぞ?」

 ボケ「その漁師は、ある日、海に仕掛けておいた罠にタコが引っかかっているのを見つけました。漁師はそのタコを放してあげました。タコが食えるなんて知らなかったからです」

 ツッコミ「優しいからじゃないのね」

 ボケ「ところがです。その日の晩、その漁師の家に女の人が“恩返しがしたいのです。家に泊めてください”と言って訪ねて来たのです。漁師には身に覚えがありませんでしたが、泊めてあげることにしました。恩返しがして欲しかったらです。できれば、エッチな恩返しが良いと思っていました」

 ツッコミ「サイテーだな、そいつ」

 ボケ「その女は、美味しい料理を御馳走すると言いました。漁師は“チッ なんだよ、エッチな恩返しじゃないのかよ”と舌打ちをしましたが、恩返しをしてもらえないよりはマシです。御馳走してもらう事にしました」

 ツッコミ「今のところ、そいつ、良いところが一つもないぞ」

 ボケ「すると、女は漁師に白くてコリコリとした美味しい食べ物を出してくれました。漁師はそれをとても気に入りましたが、それが何かは分かりません。そこで女を説得してまた次の晩もその食べ物をくれるように頼みました。女は渋々ながらも了承し、次の晩もその食べ物を出してくれました。ただ、漁師はやはりそれが何なのかは分かりません。どうしてもそれが何か知りたがった漁師は、もう一晩、もう一晩と女に食べ物を出してくれるように頼み続けました。が、それでもそれが何かは分かりませんでした。そして、七日目です。女は言います。

 “もう、これ以上はあの食べ物をお出しすることはできません”

 漁師は“そこをなんとか!”と頼みます。が、女は“もう無理です”と言うのです。漁師が無理を言うと女は海の方に逃げ出してしまいました。

 漁師は女を追いかけると“何故、もうあの食べ物を出してくれないのだ?!”と叫びます。すると女は“仕方ないのです!”と返したかと思うと、その途端、タコの姿に身を変じさせ、

 “もう、足は一本しか残ってないのですから!”

 と叫んで、海に逃げていってしまったのでした。

 漁師はそれを見て言います。

 “タコって美味いじゃん!”

 ……これがタコを人間が食うようになった切っ掛けなんだよ」

 ツッコミ「変な昔話を作るな! な訳、ねーだろーが!」

 ボケ「疑う? じゃ、もう一つあるんだけどね」

 ツッコミ「何?」 

 ボケ「“フグの意趣返し”って話」

 ツッコミ「毒殺してるじゃねーか! もう、いいよ」

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