精霊の森の異変③
エルフ視点からの遡り②
空がうっすらと白くなってきた頃、アリス率いるエルフ騎士団は報告のあった森の東にある湖に向けて出立した。
道中幾度か魔物が姿を見せたが騎士団が難なく討伐し進んでいく。
湖に近づくにつれ「魔素」が薄くなり反対に「瘴気」が濃くなっているのを肌で感じながら警戒を怠ることなく進みついに騎士団は湖へ到着した。
到着したアリスと騎士団はかつてそこに存在した美しく精霊が遊ぶ湖のあまりの変貌ぶりに目を疑った。
清らかな水が涌き出ていた湖は瘴気を出し悪臭を放つヘドロで埋まり周りの木々は枯れ地面の草花も朽ち土までもどす黒く変色していたのだ。
「これは…全てあれの仕業なのか?」
アリスは湖の変化に絶句しながらもその湖の中心でヘドロの山の上に横たわる異質に目を向けた。
それはまさに邪悪な存在、巨大な身体の所々は腐り落ち骨が見えているところもある。身体の朽ちたところからは腐敗臭や瘴気を垂れ流しながらも圧倒的な存在感を示す「ドラゴンゾンビ」がそこにいたのだ。
その時だった。
「ほぉ…お伽噺だと思われていたがよもや本当にエルフというものが存在したとはな」
異質な存在に言葉を失っていたアリスと騎士団にどこからか声が聞こえてきた。
「何者だ!?」
騎士団員がアリスを守るように周りを囲み武器を構えて警戒する。
「名乗るほどのものでもない。何故ならいずれ俺の名は調べるまでもなく畏怖と尊敬の感情を込めて世界中に轟くこととなるからな」
そう告げるとドラゴンゾンビの背中の上にローブを纏った一人の男が現れた。
「貴様がこの森の異変の首謀者か、このアンデッドも貴様の差し金なのか?今の世では死霊術は禁忌とされているのを知らんのか!」
「そうだ、俺は今や禁忌とされた死霊術を復活させて力を手にした。この地より俺の覇道は始まるのだ!」
男がそう言葉にすると男とドラゴンゾンビの後ろの茂みからフォレストウルフのアンデッドが5体姿を現した。
「今はまだこれだけのアンデッドしかいないが、いずれ数を増やし街を襲う。そして更に数を増やし国を、果ては大陸を制し俺が時代の覇者となるのだ。しかし、思わぬところで嬉しい誤算があったものよ」
「誤算だと?」
アリスの問いに男は下卑た笑みを浮かべながら答える。
「アンデッドの数を増やしたいと思ってたところにお前らがやって来た。光栄に思うがいい男はアンデッドに女は俺の慰みものにしてやる」
「そんなことは断じてさせん!」
アリスの言葉と共に騎士団員は武器を抜いた。
「愚かな、俺の力を見せてやる。そして絶望し俺の覇道の礎となるがいい!」
そうして戦いが始まった。
今回もランドさん出ず(笑)




