ダンジョン探索―地下六階ボス―
翌日、ランド達は目を覚まして朝食をとったあといよいよ六階のフロアボスの部屋へと入った、ボス部屋には大きな岩と10体ほどの「ミスリルゴーレム」が居た。
「ミスリルゴーレムが10体とかどんな嫌がらせだよ…」
その光景にゼルが思わず文句を言うが言ってどうにかなるものでもない。
「こればっかりはランドに頼るしかないわね、なんか三階からランドに頼りっぱなしな気がするけど」
ペンドラも剣を構えながらも嫌気がさす顔をしてそう愚痴る。
「とりあえず、全員に物理結界魔法を付与するぞ」
ガイルもそう言って詠唱を始める。
「ならせめて私はランドの補助でゴーレムの足元でも凍らせておくとするわね」
リンもそう言って詠唱を始める。
「任せておけ、ノエルはペンドラ達の後ろに下がっておいてくれ。あとリン、ゴーレムの足元は凍らせない方がいいかもしれんので詠唱は少し待ってくれ」
「へ?」
ランドの言葉にリンが呆気にとられる。
「どうしたんだランド、ゴーレムの足を凍らせないでくれってのは?」
ゼルもその言葉に疑問を感じでランドに問いかける。
ランドはそんな二人に「あぁ、ちょっとした予想なんだが…」と言葉を発すると「この10体をアイツに強引に使うことになりそうだからな」と述べた。
「アイツ?」
「誰のことよ?」
「使うとは?」
「どう言うこと?」
「ランドさん?」
ゼル達とノエルがそう問いかけ、ランドがゴーレム達の後ろの大きな岩を指差して「あのデカい岩だよ、まぁ岩と言うか…」と喋りだしたとたん…
ゴゴゴゴゴゴ!
部屋の中に大きな音が響き渡る
「な、なんだ?」
「何の音?」
「部屋が揺れてる?」
「これは?」
「わっわっ」
ランド以外の全員が慌ててるとゴーレムの後ろの大きな岩がゆっくりと動き出して立ち上がった。
それは他のミスリルゴーレムとはまた違う、白銀に見えつつも角度によっては虹色にも光を反射する身体をしている巨大なゴーレムだった。
「ま、まさかコイツは…」
「も、もしかして」
「マジかよ」
「ホントに居たのね?」
「な、なにあれ?」
慌てるみんなにランドが予測を告げる。
「あくまでも予測だが…多分コイツは「オリハルコンゴーレム」だ」
「オリハルコンゴーレム!?」×5
なんとなく察した者もいるがランドの言葉にみんなが驚きの声をあげる。
「おいおい、ミスリルゴーレムですらランドがキングミノタウロスの斧を使ってやっとなんだぞ?それより硬いオリハルコンゴーレムをどうしろって言うんだ?」
ゼルがそう言って頭をかく。
「リ、リン!魔法でなんとかならないの?」
ペンドラが魔法使いのリンにそう声をかけるが
「流石に無理よ、そもそもオリハルコンはその特性から魔法が効きにくいのよ?私の魔法でも文字通り「焼け石に水」よ」
Aランク冒険者として状況判断に長けるからこそリンも冷静にそう答える。
「俺の結界でも防げるかわからんぞ?」
ガイルもそう言って念のためか結界を重ねがけしている。
「ど、どうするの?」
冒険者ではないノエルも少し慌てているがランドはそんなみんなに「落ち着け」と声をかける。
「だから強引に使うことになるかもと言ったじゃないか」
「は?」×5
「ガイル、俺以外の全員に物理結界を可能な限りかけておいてくれ」
「あ、あぁ…?わかった」
そう言ってガイルは更に詠唱を重ねる。
「どうするつもりなのランド?」
ペンドラがそう尋ねるとランドは「オリハルコンに鉄の斧が効かないなら…」そう言ったかと思うと突然ミスリルゴーレムに走りだし…
「更に硬いやつで攻撃するまでだぁぁぁぁぁ!」
そう叫んでミスリルゴーレムの腕を掴んだかと思うとオリハルコンゴーレムにぶん投げた。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」×5
飛んで行くミスリルゴーレムが当たるとオリハルコンゴーレムが少しグラついた。
「まだまだぁぁぁ!」
そう言ってランドは残りの9体のミスリルゴーレムもオリハルコンゴーレムにぶん投げると「ついでだ!」とキングミノタウロスの斧も思い切り振りかぶってぶん投げた。
ドッゴォォォォォォォォン!!!
今までにない凄まじい轟音と共に辺りに砂塵が舞い見えなくなる。
しばらくして砂塵が収まってくると、そこには拳大のミスリルの塊が10個と刃の欠けたキングミノタウロスの斧、そして50センチ四方ほどのオリハルコンの塊が転がっていた。
ゼル達とノエルがあんぐりと口を開けて立ち尽くしていると…
「ふぅー、どうにかなったな」
額の汗を袖で拭いながら「良い仕事したぜ」みたいな顔でランドがそう呟いた。
少し間が空いてハッとした他のメンバーは
「いやいや、なにやり遂げた顔してんだよ!?」
「メチャクチャにもほどがあるわよ!」
「力業ここに極まれりだな!」
「常識の概念消さないでくれる?」
「ランドさんって結構強引なんですね…」
と声をあげる。
「ま、まぁ倒せたし良いじゃないか。細かいことは気にしないでいこう」
そう言うランドに全員が「気にするわ(よ)」とツッコんだ。
とりあえずランドの強引な力業でボス部屋が片付きしばらくは出てこないのでランド達は少し休憩(と言ってもガイルの魔力の回復位だが)をしてからいよいよ最深部の地下七階へと進むのだった。
―一方のエルフの里―
「ラ、ランドさん、どうしたんですか?そんな息を荒くして。いや…は、離してください!そんな強い力で押さえられたら動けな…あっそこは///え…こうして強引にされるのが好きなんだろ?そ、そんなこと…///私はエルフの長として厳格なる…あっ///そういいながらこれはなんだ?こ、これはランドさんが強引にするから///やぁ///く、悔しい…でも感じちゃ…」
「アリス様、夕食の用意が…」ガチャ
「あっ…」
「………」
「………」
「………」パタン
「ちょ、ちょっと待ってサトラ!無言でドアを閉めないで!」
「いえすいません、夕食の用意ができたのでお呼びしたのですが不要のようで…」
「なんで目を合わせてくれないの!?てか夕食が不要ってなに?」
「いえ、オカズは十分な様子でしたので…」
「うまいこと言ったつもり!?全然うまくないわよ!て言うか目を見て言いなさいよ」
「はて、貴女はどなたですか?うちの女王陛下を知りませんか?」
「私!私があなたの仕える女王!お願いだから目を見て話してぇぇぇぇ!」




