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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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Cランク冒険者の実力と芽生えた想い

ノエル視点での振り返り③

翌日、私はペンドラ達のパーティーとランドさんと一緒にダンジョンに入った。


昨日はバカ息子のこともあったからペンドラとリンが取っている宿の部屋に泊まり朝になってペンドラ達と店の前に移動してランドさんと合流した。ダンジョンに向かう途中私は一度振り返ると…


(おじいちゃん、行ってくるね)


そう心で呟いて歩きだした。


ダンジョンの入り口まで来たときにペンドラ達とランドさんは入る前の打ち合わせをしていた。ランドさんは私の護衛が主な役割でペンドラ達がモンスターの討伐を担当するということを再確認している。そうした確認が終わったあとに「さて、今からダンジョンに入るがみんな荷物の確認とかは大丈夫か?」とペンドラ達のパーティーリーダーでペンドラの旦那のゼルがそう言葉にする。するとランドさんが「ちょっといいか?」と手を上げた。


私含む他のメンバーが「どうしたんだ?」とランドさんの方を向くとランドさんがある提案をしたのだ。


どうやらランドさんは「マジックバック」を所持してるらしく今回ダンジョンに入るにあたって自分は私の護衛がメインだからペンドラ達の荷物を自分のマジックバックで預かった方が動きやすいだろうと言ったのだ。


ペンドラ達は「それは助かるな」とランドさんにお願いすることにしたようだ、私の荷物もランドさんは預かろうかと言ってくれたのでお願いすることにした。


こうして入る前の最後の準備が終わり、私は初めてダンジョンの中に入った。


私は少し緊張してランドさんの後ろを付いていく、ゼルが言うにはこのダンジョンは「迷宮タイプ」と言って通路を歩いていくつかの部屋を通り奥にある「フロアボス」と呼ばれるモンスターを倒すと次のフロアへ行けるダンジョンらしい。


地下一階のフロアボスの「ホブゴブリン」を難なく倒したゼルやペンドラ達と地下二階へと進む、ここのフロアも危なげ無く進んでいったが、今日のところはボス前の「セーフルーム」と言われる安全地帯で探索を中断することになった。


そして夕食後の会話の中でランドさんが持っているマジックバックの話になると意外な事が判明した。ランドさんのマジックバックはあの「伝説の魔道具師アレックス」の一品だったのだ。


アレックスさんは生前のおじいちゃんと合わせて「伝説の二大職人」と呼ばれる人だ。おじいちゃんとも交流があり私もおじいちゃんから話を聞いたことがある。


こんなところでランドさんと共通の話ができるのが私はちょっと嬉しくなった。


そして次の日、二階のフロアボスの「オーク」も難なく倒され私達は地下三階へ進み順当にフロアを攻略した。そしてボス部屋の前に来たときにちょっとした変化が起きた。


このフロアのボスは「トロール」でペンドラ達曰く「タフで手間がかかる」らしい。私は申し訳ない気持ちを口にするがみんな「気にするな」と言ってくれた。そんな時、ランドさんが「それならここのボスは俺がやろう」と言ったのだ。


私は素人なのでよくわからないが、どうやらトロールに対してはペンドラ達の戦い方よりランドさんの戦い方の方が向いてるということらしい。


そうした話し合いが行われた後ボス部屋に入ると5体の緑色の巨人がこちらに向かってきた、あれがトロールなのだろう。ペンドラやゼルが私の前で武器を構えて臨戦態勢をとったかと思うとランドさんが勢いよくトロールの集団に向かって行った。


これにはペンドラ達も驚いたらしくゼルが「いくらなんでも…」と声を出していた。


だけどそれは杞憂に終わった。ランドさんはあっという間にトロール達を切り捨てて討伐してしまったのだ。


私も含めて全員が「えぇ?」と驚いたのは仕方ないことだと思う。


ランドさんはなんでもないように戻ってくると「じゃあ次のフロアにいこうか」なんて言っている。


次のフロアに移動中に後ろでゼルとペンドラが何やら話をしていて「絶対に戦いたくない」とか「仲良くした方が」みたいな単語がわずかに聞こえたがうまく聞き取れなかった。


次のフロアからはゼル達との話し合いで私の護衛は相対するモンスターによってランドさんかペンドラ達かがスイッチすることになったようだ。そして地下四階のボスでトロールよりも大きな体躯をした「サイクロプス」もランドさんがあっさりと討伐した。


そうやって私達はとうとう地下五階までやって来た。その時にランドさんが「そういえば最深って何階なんだ?」とゼルに尋ねていた。そういえば私も知らないなと思っているとゼルが「ここは七階までだ」と返答し更にこのフロアからは素材を落とすモンスターが現れると言った。


素材を落とすってどういう意味だろう?と私が思っているとそこに鉄の身体をしたモンスターが現れた。


「アイアンゴーレム」と言うモンスターらしくペンドラがそのモンスターを討伐すると鉄の塊が出現した。


「こういうことよ」とペンドラがランドさんに伝えてランドさんも理解したようで私も(なるほど)と思っていた。


そんな感じでこのフロアも進んでいきボス部屋にたどり着いたがそこで予想外の事が起きた。


このフロアのボスを目の当たりにしたリンがあのモンスターは「キングミノタウロス」と言うSランクのモンスターだと言ったのだ。


素人の私でも「Sランク」の意味はわかる。そのランクのモンスターは複数の高ランク冒険者パーティーや騎士団が出動して討伐するモンスターだ。


リンが「一旦下がろう」と言いゼル達も同意して動こうとしたとき、キングミノタウロスがこちらに気付いて突撃してきた。


大きな体躯から予想できない速度で向かってきたキングミノタウロスが斧を振り上げて攻撃してくる。私達は焦りで動けなかったが次の瞬間ランドさんが間に入りその斧を止めると「コイツは俺が止める。ノエルをつれて引いてくれ」と言った。


ゼル達は「すまない」と言うとまだ閉まってなかった扉に向かう、私はペンドラに腕を掴まれて下がり私達が外に出るとランドさんを残して扉が閉まってしまった。


私は「ランドさん!」と慌てて扉に近付くがそれをゼルが「今開けるとあのモンスターも出てくる」と制止した。


(わ、私なんかのためにランドさんが…)


私は怖くなった、相手はSランクモンスターだ。そんな災害クラスのモンスター相手にランドさんは私を守るために一人残った、扉の向こうからは激しい戦闘の音が聞こえる。


(どうしよう…ランドさんに何かあったら私は…私は…)


そんな不安と戦っていると扉の向こうの音が止んだ…


そして扉がゆっくりと開いていく、ゼル達も私を背にして身構えるが中から出てきたのは「しかしこの斧はでかいなぁ…」と呟くランドさんだった。


ゼル達は「無事だったか!」等各々の言葉でランドさんを労う。


ランドさんは「心配かけたな、ノエルを守ってくれてありがとう」と言っていた。私は思わずランドさんに抱きついて「良かった…ランドさんが無事で良かった」と泣いてしまった。


そんな私の頭をランドさんは優しく撫でてくれた。そして「じゃあ次のフロアにいこうか」となったときに私は言葉を発した「もういいよ、帰ろう」と。


ペンドラ達は「でもそれじゃあ…」と言うが私なんかのためにランドさんやペンドラ達をこれ以上危険な目に遭わせたくない。多少だが鉄は手に入ったんだからそれでいいと告げるとランドさんが「ありがとなノエル」と言った。


私は「え?」と思ったがランドさんは言葉を続けた。ランドさんは「自分達の心配をしてくれるのは嬉しい。だが、それの逆で俺達もノエルを心配しているんだ。武器の代えはきいてもノエルの代わりは居ないんだ、ここで引き返してもあのバカ息子の妨害が続くとノエルが壊れてしまうかもしれない。そうなれば俺達は後悔してもしきれない、だから俺達の為を思うならこのまま探索をさせてほしい」と言った。


ランドさんの言葉にペンドラ達も頷いている。


(みんな…私なんかのために)


私はみんなの気持ちが嬉しかった。おじいちゃんが居なくなってからこんなに他人に優しくされたのは初めてかもしれない。ここまで言われると私が最初に挫けるのは駄目なんだと思った。


「みんな…わかった。私も頑張るね、だから護衛宜しくね」


私がそう言うとみんなが「任せとけ」と言ってくれた。


そうして次のフロアへと行く道中、私はランドさんの背中をみながら不思議な感覚を感じていた。


(まだ会って数日の私にこんなにしてくれるなんて…ランドさんは優しい人だなぁ…。なんだろ?鍛治をしていないのに身体の奥が少し熱いような…///)


そんな気持ちを胸に私達は地下六階へと向かった。

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