ボンズと闇ギルドの男
ランド達が地下四階に進もうとしていた頃、領主の屋敷ではボンズと闇ギルドの男が話をしていた。
「それで…手筈のほうはどうなってるんだ?」
紅茶を飲みながらそう尋ねるボンズにたいしてその男は答える。
「問題ない、多少時間はかかるだろうがいずれアンタの望んだ通りに事は運ぶさ」
「時間がかかると言うのはどう言うことだ?」
「ダンジョンから帰還した冒険者達のギルドへの報告を秘密裏に集めたところ奴等は今地下三階を攻略したところらしい。こちらも追手を差し向けているが奴等はAランクパーティーだからな、無理矢理追い付いて襲い掛かっても無駄な犠牲を出すだけだ」
「つまり?」
「奴等がどこまで潜るかは知らないが目的を果たしたら帰還するだろう。ダンジョンは深く潜るほど難易度が上がる、帰還してくるときに疲れている奴等を浅いフロアで待ち伏せて始末する。そうすれば勝率も上がりあわよくば奴等が持ち帰った素材も手に入るから一石二鳥だ」
「なるほど、そういうことか。しかしその追ってる奴等は使えるのか?」
「流石にAランクとはいかないが、元々CランクやBランクで冒険者をやっていた奴等を30人送り込んだ。これならいくらAランクパーティーでも数の差でごり押しできる」
「それなら大丈夫だな。上手くいった時にはそいつらにも別に報酬を用意してやる」
「それを聞いたら更に士気も上がるだろうさ。まぁ、万が一奴等が俺の手下達を撃退できたとしたら…」
「したら?」
「俺が直接アイツらを始末してやるよ」ニヤリ
「……ヒッ!」パリーン!
ボンズはその男が一瞬だけ出した殺気に圧倒され持っていたティーカップを床に落とした。
「まぁとにかく…」
男は席から立つと部屋の窓に向かい窓を開け放ちこう言った。
「お偉いさんはこれからのことを考えてソロバンでも弾きながら待ってるといい」
そう言うと男は窓から飛び降りて姿を消した。
男の殺気で動けなかったボンズは少ししてようやく落ち着くと
「恐ろしい奴だ、だがそれだけ頼りになると言うこと。あの生意気な男もそしてノエルの友人の女とそのパーティーも俺に楯突いたことを後悔させてやる。男は殺して女達は俺と闇ギルドの奴等で楽しんだ後に奴隷商人にでも売り払ってやる」
そんな欲望を抱きながらボンズは召し使いを呼ぶと壊れたティーカップの片付けと勝利の前祝いとしてブランデーを持ってくるように命じ、その後は自分の未来を妄想しながらブランデーを堪能した。
一方、領主の屋敷を後にした闇ギルドの男は…
「やれやれ、自分を選ばれた人間と思っている馬鹿の相手をするのは疲れるな。だがいい金づるだ、向こうもこちらを利用してるつもりなんだろうがこちらとしても使える限りは利用させてもらうとするか」
そう独り言を呟くと日が沈み出した街の闇の中へ溶け込むように姿を消した。
そんな会話が行われているとは知らないランドは今…
「コイツが四階のフロアボスか…どうする、俺が戦うか?」とペンドラ達に確認をしていた。なぜこうなったかと言うと三階の件があってからランド達は話し合いを行ったからだ。
―回想―
「なぁ、ランド…」
「なんだ、どうしたんだゼル?」
「四階からなんだが、出てくるモンスターを場合によってはお前に任せてもいいか?」
「どうしたんだいきなり?」
「さっき他のみんなとも話したんだが、ここからはモンスターも強くなってくる。中には群れできたりするやつもいると思うんだ。そう言ったタイプのやつは俺達が手分けして処理するが、さっきのトロールみたく単体でしぶといやつはお前が言ったとおり俺達がやるよりはお前がやッた方が早いと思ってな。頼めるか?」
「なるほどな、そう言うことなら俺は構わないぞ。今は一緒に潜ってるんだからな負担を分担するのはいいことだ」
「すまないな助かるぜ」
「そこはお互い様だ、俺が戦うときはノエルを頼むぞ」
「あぁ任せろ」
―回想終わり―
そして現在、フロアボスの部屋でランドの前に立ち塞がっているのはランドが担当した方がいいと思われるモンスターだった。
「そうだな、頼んだぞ」
「臨機応変にやるなら任せた方が良いわね」
「ノエルは俺達が見てるからな」
「後々の為に魔力も温存しときたいしお願いね」
「そうか?それなら俺がやろう。しかしまぁなんと言うか…」
ランドはフロアボスに目をやりながら…
「ここでもお前に会うとはな、と言っても別個体だが」
そう言ってランドは自分に向かってくるサイクロプスを殴り飛ばした後に首を一太刀で切り離すと地下四階をクリアした。




