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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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ワガマのイチャモンと喜ぶヤスツナ

「か…完全制覇…!?」


ワガマは壁に映し出されたランの挑戦結果に、自身の前髪を掻き上げたまま固まっていたがようやくそう口にする。


「ま…まさか完全制覇なんてことが起こるとは…」


役員の人間もランの挑戦結果を目にしてそう呟く。


「マジかよ、完全制覇なんて表記初めて見たぞ!」


「ワガマの四階で記録更新だと思ったら…いきなり塗り替えられたな!」


観客達も方からもそんな驚きの声が出る中、役員は「と…とりあえずランに話を聞くことにします」と動き始める。


「ラン…お前さんの結果はこう表記されてるが、本当に完全制覇したのか?」


役員の質問にランドに抱き着いていたランは「せやで♪」とキッパリ答えた。


「ウチはイブキとお母はんが友人に頼んでくれた支援である…この護衛の人と三人で最下層まで行ってきたわ(この際やし…ちょっとこのままランドはんに抱きついとこ♪)」ギュ…


「そ…そうか…因みにその事について質問はしても大丈夫か?」


「構へんよ、ウチに答えられる範囲ならやけど」


「じゃあ聞いていくぞ…」


ランの返事に役員は幾つか質問をしていく。


「先ず最初にだが、祠の中でランがしたことを教えてくれるか?」


「ウチがしたこと?」


「あぁ、さっきワガマが言ってたような…「自分はこんな活躍をした」ってことはあるか?」


役員の質問にランは「せやねぇ…」と思案すると答える。


「特に活躍らしいことはしてへんかな?」


「は?」


ランの回答に役員は首を傾げる。


「だって…祠の中ではウチはずっとイブキとこの人に護衛されてたからな。特に自分から「こうした」ってのは道中あれへんかったわ」


ランの言葉に役員は、ランの横にいるイブキとランドに視線を向ける。


「本当かイブキ?」


役員の質問にイブキは「そうですね…」と頷く。


「基本的にラン様は、私とこの方の間にいる状態で危険が無いように探索していました。と言っても私も…多少魔物の迎撃をした以外では殆どこちらの方に任せっぱなしでしたが…」


「つまりは祠の中を進むにあたっては…殆どこの鎧武者が一人でこなしていて二人は後ろをついて行っただけだと?」


役員の問い掛けに二人は「そうやな(ですね)」と答えた。


二人の言葉に他の挑戦者達や観客は「マジかよ…」と呟く。


「あの鎧武者そんなに凄腕なのか?」


「冒険者か、それとも傭兵か?」


「どちらにせよそんな凄腕なら、あんな目立つ鎧を着てるし噂くらいありそうだが…」


「凄腕の鎧武者の噂なんて聞いたことねーぞ?」


そんな風に会場内がどよめく中、役員の男が「と、言うことは今回の「洗礼の儀」の勝者はランということになるか」と口にすると、呆然としていたワガマが我に返り「イ…イカサマだ!」と叫んだ。


「このボクですら四階に行くのがやっとだったのに、お前達がボクより深く潜れるなんてあり得ない!」ファサッ…


そう喚くワガマに、ランが「人聞き悪いこと言わんといてくれるか?」と返す。


「ウチはこの箱の映してるように最下層まで行ったんや。最初に役員さんたちが「割符」の偽装とかは出来へん言うてたやんか?」


「だ…だとしても、ボクはこの国の最高の支援とも言える国最強のパーティーに同行してもらったんだ。そのどこの田舎者か知らない鎧武者が「剣舞の心得」の四人より強いとでも言うのか!?」ファサッ…


ワガマの言葉にランは「そうやねぇ…」と少し考えると言葉を返した。


「ウチは戦闘の事はわからんから、ヤスツナはん達とウチの護衛のこの人がどっちが強いかとかは断言でけへんわ(多分ランドはんの方が強いとは思うけど)」


ランがそう言うとワガマは「はっ、誤魔化すようなことを言いやがって!」と叫ぶと、今度はランドの方に顔を向けて声を荒げる。


「おいお前、さっきから黙ってるがなんか言ったらどうだ。ランが言ってる事が本当なら腕に自信があるのだろう!?」ファサッ…


ワガマの言葉にランドはようやく「と言ってもなぁ…」と口を開くと言葉を続ける。


「実力とかはともかく、俺は自分なりに出来ることをしたまでだ。ある方から今回お嬢様の護衛を頼まれ…お嬢様も俺を信じて任せてくださった。お嬢様の信頼にお応えした結果だとしか答えられないな」


「ややわぁ、お嬢様なんて言われたら照れるやんか///」


ランドの言葉にランはそう言って照れる。


「公的の場ですから立場はしっかりしておきませんと」


「真面目やねぇ♪」


ランドとランのやり取りを見ていたワガマは「ふざけるなぁ!」と叫ぶ。


「認めないぞ、ボクは絶対に認めないからな!」ファサッ…


そう喚くワガマに、やり取りを傍観していた役員の男が声を掛ける。


「そう言うがなワガマ、ランの言う通りこの発表に使う箱に対しての偽装等は不可能だ。ランが最下層まで行ったことは間違いない、これは確固たる事実だ」


役員の言葉にワガマは「ぐっ…」と言葉に詰まるが、ふとあることを思いついたのか言葉を返す。


「そ…そうだ、そもそもがこの「洗礼の儀」には致命的な欠点がある!」


「欠点だと?」


ワガマの言葉に役員が聞き返すとワガマは「そうだ!」と頷く。


「ランは今回ボクの後に祠に入った。祠の罠や魔物だってボク達の探索によって数が減ったり疲弊していたかもしれないじゃないか!」


「そんな屁理屈が…「絶対に無いと言えるのか!?」…むぅ…」


役員はワガマの暴論にそう口にしたが、確固たる確証は無いので言葉に詰まる。


そんなワガマにランが…


「アンタホンマに面倒くさいやっちゃなぁ…」


と呆れた顔をして口にする。


「そしたらどうやったら負けを認めるんや?」


ランの言葉にワガマは「決闘だ!」と口にする。


「決闘?」


ランがそう返すとワガマは「そうだ!」と頷く。


「お互いの護衛が万全の状態の時に勝負しろ、ボクの護衛パーティーよりもお前の護衛が強いなら認めてやる!」ファサッ…


「おい、そんな事は管理委員としては認められないぞ?」


役員がそう口にするがワガマは「うるさい、文句があるならウチの店はもうこの街で武器を売らないぞ!」と口にして黙らせる。


ワガマの言葉にランは「護衛同士って…ウチの護衛はイブキを入れても二人やで、ソッチは四人やんか」と意見する。


「そんなのは知らん、お前の体型のようにそんなどこぞの田舎者しか用意出来なかった親のショボい人脈を恨め。ボクの様に親が金も人脈も豊富な家の方がこの街の顔となる「洗礼の儀」の勝者に相応しいんだ!」ファサッ…


「…!」ピクッ


ワガマの言葉にランドは仮面の下で眉を動かす。


そしてそんなワガマの暴論にランも「なんやて!」と激昂する。


「ウチの事だけじゃなくお母はんやその友人まで馬鹿にしたな、しかもウチの護衛のまで田舎者やと(ウチの好きになった人をバカにするのは許さんで)!」


ランがそう口にしワガマが「悔しかったら勝負を受けろ!」と喚く。


「せやからそんなんそっちが勝手に…「お嬢様構いません」…え?」


ランが抗議しようとすると、それをランドが声をかけて制止する。


「俺とて人間です、お嬢様をはじめ…俺を信用して任せてくださったツバキさんのお知り合い等を馬鹿にされて黙ってはいられません(この場にいたらセーラ様が直々にアイツを〆るだろうけど…)」


ランドの言葉にワガマは「はっ、勝負を受けるか!?」と口にする。


ワガマの言葉にランドは「いいだろう」と返す。


「お前の言動はいい加減不愉快だ、これまでもムカつく奴は会ってきたが…お前はその中でも純粋なウザさはダントツだ」


「ふん、せいぜいほざいてろ…勝負は午後にこの街の運動広場でだ。どちらが勝者に相応しい人材かを…「但しこちらからも条件がある」…なんだと?」ファサッ…


「出るのは俺だけだ、イブキにはお嬢様の護衛に専念してもらう。お前のようなロクデナシは俺やイブキが居ない隙にお嬢様になるするかわからないからな」


「お前一人でボクの護衛の「剣舞の心得」と戦うというのか?」ファサッ…


「そうだ」


ランドの言葉にワガマは「は…はーはっはっはっはっ!」と笑い出した。


「本当に田舎者のようだな、この四人に一人で挑むと言うとは本当に馬鹿なやつだ!」ファサッ…


「どう思っても構わん、それで構わないな?」


「良いだろう、お前だけでやると言うならこちらも楽でいいからな。せいぜい首を洗ってまっているがいいさ」ファサッ…


そう言ってワガマは舞台の上から「もう用はない」とばかりに一人で去っていった。


ワガマが了承するとランドはまだ舞台にいた「剣舞の心得」の方に視線を向けて口を開く。


「そういうわけだから午後はよろしく頼む、アンタ等の都合を聞かずに申し訳ないがこちらも言われっぱなしは嫌なんでな」


ランドの言葉に「剣舞の心得」の四人は…


「アンタも大変だな…ウチの依頼主が馬鹿でスマンな。昼は宜しく頼む」


「だが、こちらとしてもSランク冒険者としてのプライドがある…忖度はなしだ」


「そうね、あのアホの立場はどうでもいいけど簡単に負けるわけにはいかないもの」


コンゴウ、ハヤテ、タマモがそうランドに言葉を返す中…ヤスツナだけはとてもイキイキとした顔でランドに話しかける。


「アンタと手合せ出来るとは嬉しいぜ、あのバカ息子についてはどうでもいいが宜しくな!」キラキラ… 


ヤスツナの嬉しそうな顔にランドは(なんか、アルガス陛下みたいな空気を感じるな…)と心の中で思いつつ「アンタ嬉しそうだな?」と口にした。


「おうよ、強い奴との手合せは大好きだぜ!」


そんなランドの言葉に、ヤスツナはとってもいい笑顔だった。


リン「ランドを知らないばっかりに…」


作者「まぁヤスツナさんは喜んでますがね…」


リン「陛下と気が合いそうね、ゼルとも仲良くなりそう」

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