冒険者養成学院⑱
ランドの臨時講師の日程もいよいよ最終日がやってきた。
今日は午前中に最後の「模擬戦」を行い午後からは「冒険科」のメンバーと街への買い出しに行くことになっている。
なぜそうなったかはこういったやり取りがあったからだ。
―回想―
昨日の夜、学院長室にて
「慰労会ですか?」
「うん、今回君には本当にお世話になったからね。おかげで生徒達の実力は格段に上がったし、学院内の膿も出すことができた。そんな君に契約期間が終わったからハイお疲れなんてのは流石にあれだし」
「気を使わせてしまったみたいで申し訳ないですね」
「そんなことないさ、それにこれは「冒険科」の子達から言い出したことだ」
「あの子達が?」
「君のおかげで大切な仲間を失う危機を回避できた。この事にあの子達も本当に感謝してるみたいだよ」
「臨時とはいえ教師として当然のことをしたまでですよ」
「ほんとに君は謙虚だねぇ、まぁそういうことだから明日の訓練は午前中で切り上げて午後からはあの子達と街に買い出しに行って欲しいんだ」
「わかりました、ありがとうございます」
「礼を言うのはこっちの方さ」
―回想終わり―
そういうわけでランドは今「冒険科」の生徒達と街に来ていた。
「先生、ここの串焼きは美味いから何本か買っていこうぜ」
「あそこの店のパンもオススメですよ」
「みてみてソアラちゃん、あの店のクレープ新しいメニューが追加されてるよ。ダブルベリークリームだって!」
「ミーシャは甘いものが好きよね…太るわよ?こないだも脱衣場の体重計にのって青ざめてたじゃないの」
「う…そ、そういうソアラちゃんだって昨日の風呂上がりに体重計にのって「また増えた」って言ってたじゃない」
「あ、あれはそういう意味じゃないわよ」
「どういうこと?」
「そ、その……///」
ソアラが言いにくくしてることでミーシャは察した。
「もしかしてまた大きくなったの!?くそぅ…どうして私の栄養はお腹にいってソアラちゃんの栄養は胸にいくの?」
「こ、声が大きいわよ///」
「悔しい、ランド先生!胸を育てる訓練方法とかないんですか?」
「なぜ俺に聞く……男の俺が知ってるわけないだろ」
「そうですけどぉ…。そうだ、先生私の胸揉んでください!」
「は?」
「ちょっと!なに言ってるの?」
「胸を大きくするには揉んだら大きくなるっていうじゃない?だから揉んでもらったらきっと…「ダメに決まってるでしょ!」…むぅ、じゃあ先生ソアラちゃんの胸揉んでみますか?」
「はぁ?」
「ば、なんでそうなるのよ///」
「え、あえて?」
「意味わかんないんだけど!」
「ミーシャは俺を衛兵に捕まえてほしいのか?実は俺が嫌いか?」
「冗談ですよ♪」
「ほら馬鹿言ってないで次のお店いくわよ」
その話が聞こえていたカインズとダストンは
「ほう、ソアラのがまた…」
「防御力が上がったと…」
「そこの二人!聞こえてるのよ、燃やすわよ!?」
「とりあえずお前ら、買い出しの途中なんだから静かにな」
そんな事を口にしながらランド達は買い出しを続け、買い出しを終えて学院へと向かっているときにランドが「あ、そうだ」と口にした。
「どうしたんだ先生?」
カインズがそう尋ねると「いや、個人的な買い物があったのを忘れててな。すまんがちょっと待っておいてくれ」そう言って荷物をカインズとダストンに預けると街へ戻って行った。
「何を忘れたんだろうな?」
「さぁ?大方明日の王都への道中の小道具でも忘れたんじゃないか?」
「そっか、先生明日には学院去っちゃうんだね」
「そうね……」
四人がそう話してるとランドが戻って来た。
「すまんすまん、それじゃ戻ろうか」
そうやってランド達は学院へと戻った。
「皆さんお帰りなさい、買い出しご苦労様です」
門の前で兵士がそう声をかける。
「ただいま戻りました。兵士さんも買い出しの事知ってたんですね?」
「ええ、実は学院長から今日のランドさんの慰労会には私達も参加するように言われてるんですよ」
「そうなんですか?」
「学院長がおっしゃるには…「今回の事は君達もよくやってくれたから慰労会で楽しんでくれ」とのことで参加させていただくことになりました」
「しかし、そうしたら今日の学院の警備はどうされるんです?」
「それなら心配要りません。学院長が冒険者ギルドに依頼していくつかのパーティーが警備をしてくれることになっています」
「それはまたすごいですね」
「どうやら「サイクロプス」討伐用に編成したのにランドさんが倒してしまったのでギルドとしても他の依頼で穴埋めできるのはありがたいそうです」
「はは、そうですか」
ランドは苦笑いしかできなかったが「まぁそれなら安心ですね」と気にしないことにした。
もっとも生徒や兵士の方は…
(まぁランド(先生)がいる時点でその心配もないだろうけどな(ね))
と心の中で呟いていた。




