冒険者養成学院⑮
メリッサとソアラがランドに惚れる材料がもうちょい欲しいなと思い大きく加筆しました。
ドルクは動揺を隠すことが出来なくなっていた。
「ばかな、貴様はCランクのハズだ。サイクロプスに遭遇して生きてるはずがない!そ、そうか運よく出くわさずに帰ってきたのだな。悪運の強い奴だ」
そう自分なりに結論づけて納得しようとしたドルクだったがそれにソアラが声を荒げて抗議する。
「やっぱり、サイクロプスの事を知ってて私が森に行くのを許可したんですね!ランド先生が来なければ私は死ぬところだったんですよ!」
「ぐ…ぐぐ、大人しく死んでればいいものを…」
「何がしたかったのか知らんが、俺の生徒に危害を与えようとしたのは許さないぞ!ドルク先生…いやドルク!」
「こ、このCランクが!貴様のような半端者に俺の野望を阻止されてたまるか!」
「野望だと?」
「そうだ!その生徒が死んでいればその責任を取って貴様は解雇、そのような無能を雇ったその女を辞職に追い込み俺がこの学院の全てを掌握し、いずれは数多の冒険者を輩出した偉大なる男として歴史に名を残すことになったというのに!」
動揺しているときに見下していた男から呼び捨てにされたことで冷静さを失い自分の思惑をぶちまけるドルク。
「なんだそれ…」
「クズすぎるな」
「さいてー!」
生徒達が思い思いに感想を述べるとその時になってドルクはハッとする。
「な、おのれ!巧妙に誘導して俺の野望を自白させて暴くとは卑怯な、これだから半端なランクの奴は!」
「いや巧妙もなにも…」
「勝手に自分で語りだしてたよな」
「俺達こんな奴を先生とか言って接してたのかよ」
今度は兵士の方にツッコミをくらうドルクだった。
「く、くそ…もしやこの件でその女が責任を取って辞職するときに学院のトップとなった俺が情けをかける代償に身体を要求することまで把握してるのか?」
自分で墓穴を掘るどころか棺桶にまで自らセルフで入っていくドルクの言動にまわりは(うわぁ……気持ち悪!)とドン引きしていた。
「身体を…」と言われたメリッサは胸元を両手で隠しながら汚物を見るよりも蔑んだ目でドルクを見ている。
そんな中で無表情で黙って話を聞いていたランドは顔が少し白くなっていた。それを見た生徒達や兵士は…
「見ろよ、ランド先生もドン引きして血の気が引いてるぜ」
「無理もない」
「気持ち悪いですからね」
「流石のランドさんもこれには絶句してるな」
「仕方ねぇよ、俺だってできるならこれ以上アイツと同じ空気吸いたくねぇもん」
「もっかい剣貸すからぶった切ってくれねぇかな?」
と語っていたがメリッサだけは思ってる事が違った。
(違う、あれはキレすぎて逆に血の気が逆転してるだけだ…)
そんな雰囲気に気付かないドルクは更に言葉を続ける。
「そもそも!世の中は「優秀な者」と「踏み台になる者」の二つなのだ!俺のような優秀な者をさらなる高みへと上らせるためにお前らは存在している!その為にはその粗末な命や身体を提供するのがお前らの使命なんだ!だからこそ…「もういい」…なんだと?」
「もういいと言ったんだこのゴリラが」
「き、貴様Cランクの癖にその態度は…「うるさい」…!」
「優秀な者と踏み台になる者と言ったな?だったらお前の言う優秀な者とやらの力を見せてみろ。メリッサさん構いませんね?」
ランドがそう聞くとメリッサはグッと親指を上に向けて「やっちゃっていいよ♪」と告げた。
それに対してドルクは鼻で笑いながら
「ふん、なにを馬鹿な。そんなことして俺になんのメリットが「だったらこうしよう」…?」
「君がランド君に勝ったら今回のことは不問にしよう。それどころか学院長の座を君に譲り私の身体も好きにすればいいさ」
「な!?」
そこにいる全員がメリッサの発言に驚いた。
「メリッサさん、それは…「信じてるよ」…わかりました」
それを聞いたドルクは「それは本当でしょうな?」と尋ねた。
「二言はないさ」
メリッサがそう告げるとドルクは下卑た笑いを浮かべながら「いいでしょう、相手をしてやる」と言った。
こうして他のメンバーが少し離れた所に移動して二人が向かい合い対峙するとドルクがランドに尋ねる。
「ランド、貴様は魔法は使えるのか?」
「いや、俺は魔法は全く使えない」
「フハハ、だから半端者なのだ!それに比べて私はたった一つだか魔法が使える。見るがよいこれが選ばれし者の力だ!」
そう言ってドルクは自身に「身体強化」の魔法をかける。
「ハハハ、この身体強化の魔法によって俺のこの鋼の肉体は更に強さを増す。俺はこの力でオーガとも互角だったんだ、死ぬがいい!」
そうやってドルクはランドに向かって駆け寄りその腕で全力でランドを殴り付けた。
が…
「な、馬鹿な!」
ドルクの渾身の一撃はランドによって片手で止められていた。
「オーガと互角だったか?その程度で選ばれし者とはショボいな今度はこっちからいくぞ?」
ランドはそう言うとそのままドルクの突き出された手首をつかむと片手でドルクを持ち上げた。
「な、どこにそんな力が…「口を閉じないと舌を噛むぞ?」…へ?」
そう言ったかと思うとランドはそのままドルクを地面に叩きつけた、そして持ち上げては叩きつけ持ち上げては叩きつけを左右に繰り返した。
「がっ!ぶぇ!びゃ!」バシンバシンバシン!
無表情で何度もドルクを地面に叩きつけるランドを見た生徒達は
「よ、容赦ねぇな…」
「あぁ、もしかして…」
「ランド先生、実はめちゃくちゃキレてる?」
「す、すごい」
あまりにも一方的な状況をみて生徒達は心の中で誓った。
(ランド先生を怒らせるのは絶対にやめよう)×4
それを見ていた兵士達も(良かった、初日に不審者と思ってかかっていかなくてホントに良かった!)×3と思っていた。
やがてボロ雑巾のようになったドルクをポイッとランドが投げ捨てた。ピクピクと動くドルクを兵士達が鎖でグルグル巻きにしていく。
ランドはそうして地面に転がっているドルクに対して言葉を掛ける。
「俺はアンタのやったことは絶対に認めん。人として「こうありたい」「こうなりたい」という願望を持つのは良いがその為に他者を犠牲にするのは間違っている!しかもあろうことか「その女の身体」とか「踏み台」だと?確かにメリッサさんは魅力的でソアラも優秀な生徒だ。だがお前は所詮外側だけをみてその人の中身まで知ろうとしていない、男なら姑息な手をつかわず自身の努力で相手を振り向かせてみろ!」
メリッサ&ソアラ(魅力的で優秀…///)キュン
「まぁメリッサさん程となると振り向かせられる男もなかなかいないだろうし…」
(もう振り向くどころか、身体ごとそっち向いてるけどね///)
「ソアラみたいな努力家もなかなかいないと思うがな」
(認めてくれてたこと改めて言われると恥ずかしい…///)
「ぐ、ぐぞぅ……俺ば選ばれじぼのなんだ」
口内や舌を切ったのかドルクが呂律の回らない口調でそう言うがランドはゴミを見るような目でドルクを見ると「まだ言うか…選ばれしもの?バレたのは穴だらけの策略とお前の人間性だけだ反省しろゴリラめ」と言い放った。
「ランド先生ってけっこう毒舌だな…」
「非常識なやつには厳しいんだな」
「言われて当然だよ、もっと言ってやれ先生」
ドルクは「ぢ…ぢぐじょう」と悔しそうに言葉にする。
そしてそんなドルクにメリッサは視線を向けながら口にする。
「ドルク君…馬鹿な君にも解るように教えてあげるよ」
「にゃ、にゃにを…?」
呂律の回らない口でドルクが聞き返すとメリッサは指を三本立てて「言いたいことは三つ」と言った。
「まずは一つ目、これはさっきも言ったけど君はクビだ!そしてこの事はアルガス…つまり国王陛下にも報告する。冒険者の誇りを尊重するアイツはその冒険者を目指す子達を私利私欲で傷つけようとした君を許さないだろう。相応の処罰を覚悟しておくんだね」
メリッサの言葉にドルクは青くなる。
「そして二つ目、君はランド君を「Cランク」と馬鹿にするが少し違う。彼は確かにCランクだが「上がれない」んじゃない、「上がる気がない」んだ」
「ぶぇ?」
「え?」
ドルクとソアラがその発言に反応する。
「君も聞いたことくらいあるだろう?2月の「オーガロード侵攻事件」と3月の「精霊の森のドラゴンゾンビを使役した死霊術師の国家襲撃未遂事件」。あの二つを解決しオーガロードの従えるオーガ軍とドラゴンゾンビを討伐したのはこのランド君だ。彼は変わり者でね、「高ランクの堅苦しさや雰囲気が苦手」と言う理由で上に行く申請をしてないだけなんだよ」
「ぞ、ぞんな…ぞんなのぎびてない」
「うそ、まさかそんな……」
ドルクとソアラの反応を愉快そうに見ながらメリッサは悪戯っぽく笑うと
「言う必要もないからね、なんだっけ…「オーガと互角だったんだ」だっけ?その程度じゃランド君の足元にも及ばないよ」
「ぐ、ぐじょう…ひぎょうなマネを……」
「君がそれを言うかい?さて、そして三つ目に言いたいことだが…これは大分前から私が君に言いたくてしょうがなかったことなんだ。心して聞きたまえ」
「言いたかったごど?も、もしかして愛のごぐばくでずが?」
この状況でそんな言葉がでるドルクにランド含め全員が「うわぁ……」とドン引きした。
メリッサはその顔を戻すとハッキリと聞こえるように口にした。
「んなわけねーだろバーカ!いつもいつも人の身体をエロい目で見てんじゃねーよクソゴリラが!てめぇにはゴリラどころかゴブリンの雌ですら勿体ねーわ。死ね、脳内まで筋肉かチ○コで埋まってるゴミが!!」
メリッサの凄まじい罵詈雑言にまわりのメンバーは硬直した。ミーシャなど「ひぇっ!」と悲鳴をあげている。
そしてそんな罵詈雑言を直に自分に浴びせられたドルクは身体の限界と精神の限界を迎えたのか泡を吹いて気絶した。




