冒険者養成学院⑪
ソアラ視点の話になります
「おらぁ、これでどうだ!」
カインズが連続で剣を叩き込むがあの男はそれを全ていなしたかと思うと…
「ほいっ」
そんな調子でカインズの剣を弾き飛ばして彼の喉元に剣を突きつける。
「早さや鋭さはなかなかだが、剣の軌道が正直すぎるな。それじゃあ次の太刀筋が予測されやすくて今みたいに返しに合わせて弾かれるぞ」
「くそっ、今日も駄目か」
「まぁ焦らないで自分の癖を見直していこう。少しずつだが早さや鋭さは上がってるぞ」
「ホントか?」
「俺はお世辞や嘘は苦手だ」
「よっしゃ」
「それとダストン」
「なんですか?」
「腕の力に頼りすぎだ、もう少し腕を引っ込めて衝撃を身体全体で受けて分散出来る様にした方がいい。後は腕でなく足腰に力を込めた方が防御の踏ん張りがきくぞ、それにその方が咄嗟に駆け寄って相手に「シールドバッシュ」するときに勢いがつく」
「なるほど」
「それからミーシャ」
「は、はい?」
「俺は魔法の強さとかは解らないから言えないが気配はわかる。補助魔法をかけるときにはもう少し落ち着いて状況の判断をした方がいいぞ。カインズとダストンを同時に見て「筋力」か「耐久」どちらにしよう?とモタついてるのがわかるぞ」
「うぅ…わかりました」
そうやってみんなはあの男のアドバイスを素直に受けて訓練を再開する。
認めたくないが的確なアドバイスだと思う、だけど私は変なプライドが邪魔をして素直に受け入れることが出来なかった。
「えっと、ソアラは…「私はアンタの助言なんていらない!」」
私はそう叫ぶと訓練場から走って出ていった。
「うーん、大分嫌われたな…」
「先生、仕方ねーよ。アイツプライド高いんだよ」
「俺達とは少し過程が違って特殊だしな」
「どういうことだ?」
「ソアラちゃんは私達より半年くらい遅れて入って来たんですが、才能があったのかすぐに「冒険科」まで進んだんです」
「アイツそれを自信にしてたからな、そんな時に先生にアッサリ負けたのが納得できないんだ」
「ソアラちゃん、自分を追い詰めなければいいんだけど…」
― ― ― ―
悔しい 悔しい 悔しい
私は何度もそう心の中で叫んだ。
私以外の三人はあの男に負けるとそう時間もかからずあの男を認めて教えを受け入れた。
でも私は納得出来なかった、私は自分の力に自信があったしまわりもそれは認めてくれていた。
だけどあの男に負けたとき、私は今までの自分が只の「世間知らず」だと言われた気がしたのだ。
私はその現実から目を背け逃げるように訓練した。そしてあの三人の言葉も聞かず一人でムキになって独走しだしたのだ。
その報いが今の結果なのだろう…
私は声を潜めて木の根本の窪みに身を隠して震えていた。
ドルク先生に許可を貰った私は一人で街の西にある森に訓練に来ていた。時折ゴブリンなども見かけたが私は魔法で撃退し奥に進んでいく。
そして先程、何匹目かわからないゴブリンを撃退した時に突然横の木が倒れそこから巨大で醜悪な魔物が姿を現したのだ。
「サ、「一つ目巨人!?」」
知能は然程高くないがその巨体と腕力でAランクに指定されている凶悪な魔物、今の私が敵う相手じゃない…
アチラもこっちを認識したのかそのおぞましい一つ目でこちらを睨むと手にした棍棒を横凪ぎに振り回す。
近くの木々が数本纏めてへし折れ飛んでいったその威力に私は恐怖を感じ逃げることしか出来なかった。サイクロプスも私を仕留めるためか近くの木や石を投げたり棍棒を振り回しながら追いかけてくる。
私は咄嗟に近くの木の根本の窪みに身を隠し息を潜めた。
怖い 怖い…
見つかったら殺される、あんな威力の棍棒をくらったらひとたまりもない。
そうして私が震えているとふと背中に空間ができた気がした、振り向くとそこには私が隠れていた木を引っこ抜きニタァと醜い笑みを浮かべてこちらを見ているサイクロプスと目があってしまった。
「あ、あ……」
私は恐怖で動けなかった、そんな私を笑うかのようにサイクロプスは自身の持っている棍棒を大きく上に振りかぶっている。
死ぬ…私はここで……
そう実感したときに私の頭を色んな事がよぎった。
家族の顔…学院のクラスのみんな…そして…
サイクロプスがその棍棒を私めがけて振り下ろしたとき私は思わず叫んでしまった
「た、助けて!ランド先生!!」
私がここにいるはずがない男の名を叫び目をつぶると
「助けるに決まってるだろ!!」
そんな声が聞こえた、私が目を開けるとサイクロプスの棍棒を剣で受け止めている最近見慣れた私の認めたくない男の背中がそこにあった。
PV回数二万回ありがとうございます。
誤字脱字報告も助かっています、作者も確認はしていますが今後も頻繁にあると思うのでそういった作者のアホっぷりも笑ってやってください。




