冒険者養成学院⑩
次話のラストでランドが持っている剣がどこにあったんだと自分ながら投稿後にツッコんだのでここでその経緯を加筆しました。
学院でそのような企みが行われている時、ランドとメリッサは街の喫茶店でお茶を飲んでいた。
「しかし、本当にご馳走してもらって良いのですか?」
「いいんだよ、この後本屋での荷物を持ってもらうんだからそのお礼の先払いと言うことで。それにこう見えても私は君より歳上なんだからカッコつけさせてよ(せっかくだから少しはデートっぽいこともしたかったし///)」
「そういうことでしたら…」
ランドもこれ以上聞くのは失礼だと思いご馳走になることにした。
それから喫茶店を出た二人は本来の目的の本屋へと向かった。
「いらっしゃいませ、あぁメリッサさん。注文の本を取りに来たのかね?」
「そうだよ、どこに置いてあるかな?」
「こちらに纏めてありますのでどうぞ」
そう言って奥へ向かう店員の後をついていった二人は一つの木箱の前に来た。木箱の中には本がびっしり詰まっている。
「こちらになります」
「…こんなに頼んでたっけ?」
「色々頼まれていたものがこの度一気に搬入されましてね」
「そっか……」
二人の会話を聞きながらランドは箱の上の本のタイトルに目をやった
「五大属性魔法の相関的関連性と相互影響による発動の理」
(全く理解できん…)
ランドの頭から煙が出ているときにメリッサと店員は会計を済ませ本の運び方の相談をしていた。
「どうされますか?別料金となりますが荷台で数回に分けて配達をする事も可能ですが?」
「流石にこれを運ぶのはなぁ…どうしようかランド君?」
「え?」
本のタイトルに一人で困惑していたランドが間の抜けた声をあげる。
「だからね、この箱を運ぶには数回に分けて配達を頼むかどうかの「これを運ぶんですよね」…え?」
メリッサがランドに説明してるとランドはその箱をヒョイと持ち上げて肩に担いだ。
「「へ?」」
店員とメリッサの声が重なる。
荷台で数回に分けて運ばなければならない重さの箱をランドが軽々と持ち上げたからだ。
「ちょ、ちょっと!大丈夫なの?」
メリッサが慌ててランドにそう声をかけるが
「何がです?あぁそうか、まだ蓋がしてませんでしたね。バランス崩して中の本が落ちてもあれですし蓋をしないとですね」
そう言ってランドは持ち上げた箱をひとまず下に降ろした。
((違う、そこじゃない!))
メリッサと店員が同時に心の中で叫んだがランドはもちろん気付かなかった。
「え、えーととりあえず大丈夫みたいだからこのまま貰っていくね…」
「は、はい。ありがとうございました」
未だに信じられないものを見たような顔の店員を残してランドとメリッサは本屋を後にした。
それから二人は学院へと戻ってきた。学院の門の前には初日にランドを案内した兵士が立っていた。
「学院長おかえりなさいませ。ランドさんと買い物に行ってらしたんですか?」
「ただいま、そうだよ。本屋での荷物を持ってくれるって言うから頼んだんだ」
「それはそれはランドさんもお疲れ様でした。(荷物ってあのランドさんが肩に担いでるデカイ木箱のことか?めっちゃ重そうだけど)」
「いえいえ、この程度のことで疲れるなんて事ないですから」
(この程度って……)
兵士がランドの規格外ぶりに絶句してるとそこに「冒険科」の生徒の三人がこちらにやって来た。
「あれランド先生、こんなとこでなにやってるんですか?」
カインズがそう尋ねるとランドもそちらに視線を向けた。
「やぁ、今ちょうどメリッサさんの買い出しの荷物持ちから帰ってきたとこだよ。君達はこれから外出かい?」
「えぇ、これから買い物にでもいこうかと思いまして」
「そうか、ところでソアラはどうしたんだい?」
「あぁ、あいつなら…「お疲れさん、交代の時間だぞ。あ、学院長帰ってこられたんですね」」
カインズがランドの質問に答えようとしたときに交代の門番の兵士がこちらにやって来た。
「お疲れさま、私になにか用でもあったのかい?」
「えぇ、実は西の森で問題が発生したと冒険者ギルドから連絡が「西の森だって?」…うぉ、どうしたんだ?」
「西の森で問題が発生したって何があったんです?」
兵士の言葉の途中でカインズが兵士に尋ねる。
「い、いや西の森で「一つ目巨人」が確認されたから討伐されるまでは生徒達は森に行かないようにと冒険者ギルドから連絡があったんだよ」
「「「そんな!」」」
カインズとダストンとミーシャは顔を青ざめた。
「どうしたんだそんなに慌てて?」
ランドがカインズにそう尋ねるとカインズはランドに答えた。
「大変だ先生!ソアラが少し前に西の森に自主練しに行くって出ていったんだ!」
「なんだって!」
カインズの言葉に反応したのはメリッサだった。
「サイクロプスはAランク指定のモンスターだ!もし見つかったら…「メリッサさんすいません!ここに本を置いておきますね!」…って」
メリッサが喋り終わる前にランドは自分の足元に箱を降ろすとものすごい速度で西の森へ走っていった。
「は、はえぇ!」
「あれがランド先生の本気…」
「嘘でしょ…」
生徒達が呆然としてるとメリッサが言葉を発した。
「さて、彼が戻るまで私達は待つとしようか」
「学院長、そんな暢気なこと言ってる場合じゃ…」
「さっきの先生のスピードは驚きましたがそれだけでは…」
「確かにランド先生は強いですがCランク冒険者です、相手はAランクモンスターですよ?」
そう言う生徒達に向かってメリッサはニッコリ笑いながら言った。
「そう思うかい?ならばダストン君、彼が持っていたこの箱を持ち上げてごらん。なんならカインズ君や兵士の君たちも協力してもいいよ」
「は、はぁ…?」
ダストンが不思議に思いながら箱を持とうとすると……
「な!?」
「どうしたんだダストン?」
「び、ビクともしない。全く持ち上がらん」
「は?重戦士のお前が持ち上げれないって」
そう言うとカインズも箱に手を添えるが「げ?」と驚きの声をあげた。
そこにいた門番の兵士二人と様子を見に来たもう一人の兵士も加わり更にミーシャが補助魔法をかけたのに箱はビクともしなかった。
「あの人こんなのを一人で担いでたのか?」
「あの体のどこにそんな力が…」
「補助魔法もなしにどうやって?」
「「「初日に会ったときに只者ではないと思ったがこれ程とは…」「あれ?」…どうしたんだ?」」
「さっきまで腰につけてた剣がない?」
「ランドさんが持っていったのか?」
「いつの間に…」
各々がそう驚いているとメリッサは悪戯っぽく笑いながら言葉を発した。
「わかったかい?だから彼ならきっと大丈夫さ」
「が、学院長」
「あの人一体」
「何者なんですか?」
生徒達の質問にメリッサは「まぁもういいかな?」と呟いてから答えた。
「何者もなにも彼はCランク冒険者で君達の臨時講師のランド先生だよ。ただちょっと変わってるのは…」
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