冒険者養成学院⑥
「来て早々に参ったなぁ…」
メリッサの思い付きでいきなり生徒達と「模擬戦」をすることになったランドはメリッサの案内で訓練場に来ていた。
「まぁまぁ、急で申し訳ないけどあの子達も君の実力がわかったら素直になると思うからさ。ちょいちょいと解らせてやってよ」
「解らせてやるって…」
そう言ってにこやかに木剣を持つランドの背中を叩くメリッサにランドは若干苦笑いしていた。
一方メリッサは(触ってみると細身に見えてしっかりと筋肉ついてるんだなあ///)と悶々としていた。
少しして準備を終えた生徒達が訓練場に入ってきた。
ソアラは先端に赤い魔石の付いた木の杖
カインズはオーソドックスな剣(今回は訓練なので木剣)
ミーシャは青い魔石の嵌まった短めの錫杖
ダストンは身体を隠すほどの盾とハンドアクス(木製)
(「魔法使い」「剣士」「治療術師」「重戦士」かパーティーを設定しているだけあってバランスはとれているな…)
ランドがそんなことを考えているとメリッサが口を開いた。
「さて、今から模擬戦をするわけだけどルールはどうしようか、お互いなにか提案はあるかい?」
「その前によろしいでしょうか?」
メリッサの問いかけにソアラが軽く手を挙げて声を出した。
「なんだい?」
「ランドさんでしたっけ?先程ランクはお聞きしましたが職業はなんですか?あと講師として来たとおっしゃってましたがパーティーの方はどうしたんです?」
「それを聞いてどうするんだい?」
「模擬戦のあとに「剣、もしくは魔法を生業とする職じゃないから」とか「パーティーとの連携があれば負けなかった」なんて言い訳されても困るので」
「まるで自分達の敗けはないと言ってるような言い方だね」
「そのつもりで聞いてますから」
「ほーお、まぁいいやランド君答えてあげて」
「えっと、俺はパーティーを組んでないソロ冒険者だ。だからジョブと言っても明確にこれ専門ってのは無いな、よく使う武器は一応剣だ。魔法に関しては全く使えないな」
別に隠すことでもないのでランドはあっさりとそう答えた。
それを聞いた生徒達は少し驚いた顔をしてから四人で話し合った。
「なにあれ、バカにしてるのかしら?」
「専門の剣士ですらないのか」
「魔法も使えないって…」
「しかも筋肉質ってわけでもないしな」
四人がそう話し合ってると
「それで、他に質問や提案はあるかい?」
メリッサが生徒達へそう問いを投げ掛けると生徒達を代表してソアラがメリッサの方を向いて返事した。
「いえ、質問は以上です。試合のルールですが我々四人と彼、どちらかが「戦闘不能」になったら終わりと言うことでいいでしょうか?「戦闘不能」の概念としては当人の気絶もしくは装備が壊れた等で続行が不可能となったらで」
「なるほど、ランド君はそれでいいかい?」
「俺は構いませんよ、怪我とかはさせたくないですしね」
「優しいことだ」
ランドの返事にメリッサはにこやかに答えた。
その一言に生徒達は眉をひそめた。
(子供だと思ってバカにして!)
「それじゃあ始めようか、双方定位置について」
メリッサがそう言うと生徒達とランドはお互いに少し距離を置いて身構える。
「それでは……始め!」
メリッサの宣言を皮切りに模擬戦が始まった。
結果だけを言うのであれば……
生徒達はランドにたいして戦闘不能にするどころか攻撃らしい攻撃をすることもできずにあっという間に四人とも戦闘不能にされてしまった。
「まぁそうなるよね…」
メリッサは解りきっていた結果に驚くこともなくそう呟いた。
「大丈夫ですかね?怪我とかはしないようにしたつもりですが」
「君はホントに優しいね。大丈夫だよこの子達も訓練は積んでるんだから」
「ならいいんですが…」
(あれだけ自分を見下していた生徒達にも気遣いを忘れないなんて、ホントに君はマイペースだけど器が大きいね。出会って初日なのにますます惚れてしまいそうだよ///)
メリッサは心の中でランドへの想いを少しずつ実感しながら呟いた。
―その頃のエルフの里―
「はっ!今ランドさんになにやら他の女性の気配が迫ってるような!」
「なに馬鹿なこと言ってるんですか?仕事してください」
「こ、こうしちゃいられない!早急にエルフ騎士団へ大陸全土にランドさんの捜索をするように命令を下さ…っばぁ!」バシン!
「自分の欲望で女王権限行使しようとしないでください!次はその書類に目を通してサインしてください!」
「じょ、女王に書類を投げつけたわね?」
「はい、それがどうかしましたか!?」ゴゴゴゴ
「い、いえなんでもないわ…」ビクビク




