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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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冒険者養成学院④

ランドとメリッサが廊下を歩いていると向こう側から一人の男性が歩いてきた。


「これはこれは学院長どのお疲れ様です、本日も美しいですな。あなたの前では薔薇や百合でさえもただの雑草と見分けがつかなくなってしまいます」


ランドより背が高くて体つきも一回りほどゴツく短髪の髪型をしたいかにも「パワー型」な男性が見た目にそぐわない台詞を吐きながら近づいてきた。ただその視線はメリッサの身体を舐め回すように動いていた。


ランドはその男性をみて(なんか、「この鋼の肉体が!」とか言いそうな人だな…)と心の中で思った。


「あぁ、ドルク君お疲れ様。薔薇と雑草を見分けられないなら幻覚魔法にでもかかってるのかもしれないね。保健室か教会で状態回復魔法をかけてもらっておいで」


「が、学院長?いくらなんでもその言い方は…」


メリッサがドルクの挨拶に対して「キモいこと言ってんな!目線がエロいんだよゴリラが…」というオーラを出しながら適当に返答した事にランドが驚いて意見しようとすると


「…大丈夫だよ、見ててごらん」


ボソリとメリッサがランドに答えランドが「え?」と思ったとき…


「ハハハ、この私の状態を心配してくださるなど学院長は相変わらずお優しいですな」


ゴリ…いやドルクはそんなメリッサの皮肉を全く理解出来ずそのまんま言葉通り受け取って嬉しそうである。


(えぇ?)


戸惑うランドにメリッサがまた小さく答えた。


「ほらね?コイツに皮肉は理解できないよ、そもそも皮肉って単語も知らないと思うよ。コイツが知ってる「肉」ってつく言葉は「筋肉」だけだと思う」


本人を前に聞こえてないとはいえボロクソである。


「はぁ…」


とりあえず深くは気にしまいとランドが考えたときにようやくドルクがメリッサの隣にいるランドの存在に気づき目をやった。


「ところで学院長、先程からそこにいる貧相な身体に冴えない顔をしている男は何者です?」


(初対面で随分な言われようだな…)


ランドはそう思ったが怒ることでもないかと黙って苦笑いしていた。


「あぁ紹介しておくよ、彼は実技の臨時講師でやって来た冒険者のランドだよ。1ヶ月限定だが「冒険科」を担当するからね。ランド君、彼はここの教員のドルク君だ」


「初めまして、ランドと言います。1ヶ月間よろしくお願いします」


「「冒険科」を!?お言葉ですが学院長、あそこは私に任せてくれるのではないのですか?私こそ「冒険科」を指導するのに適任です!この「鋼の肉体」があればどんなことでも可能なのです!」


(あ、ホントに言ったよこの人…)


ランドがぼんやりとそう思っていたら


「そういった意見も出たには出たが、私は彼に頼むことにしたんだ」


「し、しかし…。おいランドと言ったな貴様今の冒険者ランクはなんだ!?」


「俺はCランクですが」


「Cランクだと!?そんな中途半端なランクのやつが「冒険科」を担当するなど…「ドルク君…」…は?」


「学院長の私が決めたことに何か異論があるのか?」


メリッサがそう言葉にすると彼女の回りに魔力が集まり周辺の空気が熱を持ち炎が出現した。


「い、いえ決してそんな…」


メリッサの魔力にあてられたのかドルクが言葉に詰まる。


「ならばこの話はこれで終わりだ、私は彼を「冒険科」の生徒たちのところへ案内している途中なんだ。君も仕事に戻りたまえ」


「し、失礼いたしました」


そう言うとドルクはそそくさと二人の前から移動して廊下の角を曲がって行った。


ドルクの姿が見えなくなり、メリッサが纏っていた魔力を抑えるとまわりの空気も落ち着き炎も消えた。


「やれやれ、悪かったねランド君不快な思いをさせてしまって」


「いえ、私は気にしていないので。それよりも学院長…」


「なんだい?」


「さっきの凄かったですね!私は魔法が使えないので驚きました」


「そ、そうかい?」


「はい!国王様達とパーティーを組まれていたのですから腕が立つことはわかっていましたがやはり実際に見ると感動が違います。あれほどの芸当ができるのですから魔力を操作して身体を若いまま保つなんて事も出来るのですね。美人で魅力的な大人の女性という雰囲気と魔法使いとしての知的な雰囲気も持ち合わせているなんて凄いです」


「わ、わかったから///だからちょっと落ち着いて///」


こんな風に誉められたのは初めてのメリッサは少し戸惑った。メリッサは昔から魔法の天才として有名だった。まわりに「凄い」と言われてメリッサも悪い気はせずそれが自慢だった。だが、メリッサはある時気づいたのだ。


今まで自分に近づいてきた人間は…


「その魔法で是非お助けを」


「これは凄い魔法ですね」


と自分の「魔法」を求めているだけでメリッサ自身を見ている人はいなかった。自分達に利があり欲望さえ満たせれば別にメリッサでなくてもいいのだ。


例外なのはかつてのパーティーメンバー、彼等は


「スゲー!メリッサの魔法は強力だな!」


「お陰で助かったぜ」


「私の出番がないわね、楽でいいけど」


と彼女の「魔法」ではなく「魔法使い」の彼女を必要としてくれ、仲間として見てくれた。


しかしこれも「魔法」があっての事だろう。勿論アルガス達は自分達の欲望で自分を利用するような目的でなくただ仲間として自分を扱ってくれたのはわかっている。


だが今回ランドに言われたことはそれとはまた違う気持ちを彼女に与えた。


彼は自分の「魔法」に感動し、それを使える「魔法使い」の自分を凄いと言った。ここまでは今までの人達と同じだったが……


「それだけの事ができるようになるまでさぞや凄い努力をされたのでしょうね。人として尊敬します、私も見習わないといけませんね」


彼がそう言葉にしたとき彼女はなにか救われた気がした。


あぁ彼は…私の「魔法」でもなく「魔法使いのメリッサ」でもなくただの「メリッサ」として私を見て、そして誉めてくれたのだと……良くも悪くもなんの前提もなく純粋な気持ちで認めてもらえるのがこんなにも嬉しいことだなんて、メリッサの瞳から涙がこぼれた。


「ど、どうしました学院長。どこか痛いのですか?」


突然涙を流したメリッサに戸惑ったランドの言葉で自分が泣いていたことに気が付いたメリッサはハッとした。慌てて目を拭った後に「な、何でもないさ。大丈夫」と答えると笑った。


「そ、そうですか?」


ランドがホッとしたのをみて笑ったメリッサはランドに声をかける。


「さて、それじゃ君の担当する生徒のところにいこう。それとランド君」


「何ですか?学院長」


「その学院長ってのはどうも堅苦しくてやりづらい。これからはメリッサと呼んでくれ。それと「私」なんて畏まらなくてもいいよ」


「は、はぁ…?わかりました。では案内お願いしますメリッサさん」


「あぁ、ついてきなさい(まさかこの歳になってこんな気持ちが芽生えるなんてね…年下の男性かぁ……まぁ法に触れてる訳じゃないし個人の気持ちは自由だよね♪)」


そんなことを心で思いながらメリッサは歩いていった。

ランドは思ったことをそのまま言ってるだけなんですよ、そこに他意はないわけで…(-_- )

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― 新着の感想 ―
[一言] 国王とギルマスが余計なこと言って制裁される未来が見える。
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