シシリアとランド、リディアの言動に脱力する
リディアと別れて自宅に戻ったランドは「なんか疲れたな、明日は近場の適当な依頼でも受けてのんびりとこなすか…できればリディアには会わないようにしたいが。悪い奴ではないんだろうけどなぁ…」そう考えながら床に着くのだった。
その頃のリディアは…
「しかし、今日はついてたな、最初はランドさんを騙る奴等に絡まれたがそのお陰で私が探しているランドさんとは違うが良い奴に会えたしな。あのランドもCランクのわりにはなかなかの腕のようだし、なんだかんだ言いながらも私を助けてくれたしな。今日の借りを返すためにもランドが困っていたら助けてやろう。そうだな、試しに明日はランドの受ける依頼を手伝ってやろう!しばらくはこの街にいるつもりだし、懐も明日ギルドで両替してしまえば余裕はあるしな。ランドも高ランク冒険者の私と組めるのは嬉しいだろうし!そうと決まれば今日はもう休んで明日の早い内からギルドにいくとしよう」
我ながら良い考えだと自画自賛しながらリディアも床に着くのだった。
そして次の日、ランドは朝からギルドに行くとシシリアのところに向かい挨拶をする。
「おはようシシリア、昨日はあれからノエルとは大丈夫だったか?」
「おはようございますランドさん。はい、あれからノエルさんとは少しお話をしてから帰りましたよ」
「そうか、それならよかった」
「はい。それでランドさん今日はどの依頼を受けて…「おはようランド!昨日は世話になったな!お礼に今日は私がお前の依頼を手伝ってやるぞ!」…?」
シシリアがランドに今日はどうするか尋ねようとしたら突然大きな声でランドを呼ぶ声がギルド内に響いた。
シシリアは何事かと首をかしげランドはガックリと首を落とすと「リディア、朝から大声を出すな」と声をかけた。
「おお、すまない。それでランドはどんな依頼を受けるんだ?私が付き添うのだから少しは難易度の高いのを選んでもいいんだぞ?」
「まだ一緒に受けるとは言ってないぞ?」
「遠慮するな!昨日の事もある、任せるがいい!」
(善意で言ってるんだろうがなぁ…)
リディアのテンションにランドが朝からため息をつくとシシリアが「あの、ランドさんこの方は?(私より少し年下かな?まだ幼さも残るけど可愛らしい顔をしてるなぁ)」と尋ねてきた。
「ああこいつは…「おお、貴女がランドの担当の受付嬢か?はじめまして、私はリディアという。将来の夫となる男ランドを探して旅をしている冒険者だ!」…おい?」
「そうですか、リディアさんというんですね。私はランドさんの担当受付嬢のシシリア…ってランドさんを夫として探している?」
リディアに自己紹介をしようとしたシシリアはリディアの言葉に少し引っ掛かりを覚えて聞き返した。
「うむ、私はまだ見ぬ強者のランドという男を探して旅をしている。そして出会えたら共に冒険をしていずれは結婚したいのだ!」
(そこそこある)胸を張ってそう宣言するリディアにシシリアは「ラ、ランドさんと結婚!?」と驚きながらランドの方を見る。
そんな二人を見ていたランドは「シシリア、彼女が言ってるのは妄想だから気にするな」と口にする。
「なんだ?冷たいなランド、昨日あんなに一緒にいたのに?」
「おい?」
「え、昨日一緒にいた?」
リディアの言葉にシシリアが反応するとリディアは「うむ、ランドには昨日世話になってな!涙を流しながら困っている私を助けてくれてご飯をご馳走してくれたばかりか最後は宿場まで連れていってくれた。しかも私が持ち合わせがないことを知るとそこの泊まり代まで渡してくれると宿屋を後にしたんだ」
「おいちょっと待て!」
捉え方によっては泣いているリディアの弱味につけこみ食べ物で誘い出した後に宿屋へと連れ込んだと言ってるような言い方にランドが慌てて止めにはいる。
「ラ、ランドさん、いくらなんでもそんな事をしたら私としても衛兵を呼ぶしかないですよ?(恥ずかしいけど言ってくれたら私が相手だって…///)」
「まてまてシシリア誤解だ!リディアも変な言い方をするんじゃない!」
そう言ってランドがシシリアに詳細を説明する。
「そ、そうでしたか。勘違いしてすいません///」
「いや、誤解がとけてよかったよ」
説明を聞いて納得したシシリアにランドが安堵の声を出す。
「で、でもランドさん…この人ランドさんと結婚とかいってましたが?」
まだ少し落ち着かないシシリアがそう言うとリディアが「ああ勘違いするな、私が言ってるのはこのランドではなく別のランドだ」と答えた。
「は?別のランドさん?」
リディアの言葉にますます混乱するシシリアにリディアが答える。
「うむ、ここにいるランドはそれなりに腕は立つようだがCランクだろう?私が探しているのは今年の9月に隣の帝国の武術大会で優勝したランドという男だ。あのハイレベルな大会で優勝した奴なのだから冒険者ならAやSランクはあるだろうしな」
(いや、それってランドさんの事ですよね?)
シシリアがそう思いながらチラッとランドを見るとランドはリディアに見えないように小さく指でバツを作っている。
シシリアもそれで理解し(なるほど、ランドさんもこの人に振り回されたのね…)と結論づけて「そうですか、見つかるといいですね」とリディアに相槌を打つのだった。
「ありがとう、いつか出会ってみせるよ。待っててくださいね私のランドさん!」と決意を固めていた。
シシリアの応援に素直に喜ぶリディアを見てシシリアは(悪い人ではないんでしょうね、少し残念な気もしますが…)と思うのだった。
「さてランドよ、それはそれとして今日はどの依頼を受けるんだ?私が手伝うぞ」
「いやだからまだ一緒に受けるとは…「私が高ランクだからと遠慮するな、あくまでも依頼を受けるのはランドで私は手伝うだけだから依頼報酬だってランドに譲るぞ!」いやだから…「そ、それとも昨日の様子を見て私が役立たずと思ってるのか?た、確かに私は戦闘以外は少し不得手だが討伐なら得意なんだ!役に立つぞ?だから汚名を返上するチャンスをくれないか?」…はぁ」
リディアは昨日のランドの前でした失態を活躍して取り戻したいと涙目で必死にランドに訴える。
流石にランドも涙目で訴えてくる女性を突き放すのは罪悪感もあり、シシリアの方に視線を向けると(連れていってあげたらどうですか?)という空気を纏った目線を送られたので「わかったわかった、一緒に行くから外で待っててくれ」と口にした。
リディアはランドの言葉を聞いてパァッと笑顔になると「そ、そうか?じゃあ待ってるからな!」と言って入口の方へ向かっていった。
「やれやれ…」
ため息をつくランドにシシリアが「大変ですねランドさん」と声をかける。
「昨日彼女とバルトとローズの店に行ったら二人にも同じこと言われたよ」
「なんとなく想像がつきます」
そんな会話をしてからランドは適当な依頼を受注すると「じゃあ行ってきます」とシシリアに伝えた。
「行ってらっしゃいランドさん、戻られたらまた検証しますからね」
「リディアに聞かれたら面倒だしやめないか?それに今Cランクだから誤魔化せてるんだしやっぱりこのまま…「それはそれこれはこれです、リディアさんが帰られてからしますからね!」…はい」
「全く、リディアさんを理由に逃げようとしないでください」
「リディアほどじゃないがシシリアも強引だよな…」
「め、迷惑ですか?」
シシリアはリディアの様子を見てランドに「疲れる」と思われてないか不安になるが…
「いや、迷惑なんて思ってないさ。リディアもだが自分の意見をしっかり持つ女性は立派だと思うしな。そういった自分をしっかり持ってる人は好感が持てる」
「そ、そうですか(本当に優しい人ですねランドさんは…///)」
「まぁリディアは少し落ち着いた方がいいとも思うがな…」
「フフ、そうですね」
「じゃあ行ってきます」
「気をつけて行ってきてくださいね」
そう言って依頼に向かうランドをシシリアは見送りつつ(なんだかんだで結局突き放すことなく相手に合わせてくれるんですからランドさんは優しいですよね。リディアさんが探してるランドさんが横にいるランドさんと知ったときはどうなるんだろ?も、もしリディアさんの猛アタックにランドさんが折れたりしたら…)と少し考え込むのだった。
そんなシシリアの心境など知らないリディアは「さぁ行くぞランド!私に付いてこい!」と意気揚々と歩き出す。
「いやリディア、お前まだ依頼内容知らないだろ?勝手にどっかいこうとするな」
「おおそうだった!で依頼はなんだ?」
「精霊の森の魔物の間引きだ。冬眠前だから気が立ってるだろうし気を付けないとな」
「よし討伐は任せろ!」
そう言って早足に歩き出すリディアだったが少し歩いたところで立ち止まるとランドの方に顔を向けてランドに声をかけた。
「ところで精霊の森ってどこだ?」
「……こっちだ付いてこい」
「わかった!」
(本当にどうやってAランクになったんだ?)
そう思いつつランドはリディアを連れて精霊の森へと向かうのだった。




