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暴露


ーーーーーーーーーー 元衛兵視点


俺はマーサを連れて、とある小会議室の一室へと移動した。


ここでならば、これからやることを誰かに見とがめられる事も無いだろう。


「それで、こんな場所に連れ込んでどうしようってわけ?」


マーサは右腕で杖を握りしめていた。


俺ってそんなに悪党に見えるのかね。

少しショックだ。やはり内面は外面に滲み出る物なのか。


ラザロ司祭からは、あの作戦については誰にも話すなと言われていました。

でももうラザロ司祭は戦死してしまったし、誰にもというのが何処までの範囲なのかもよく分かりません。

あなたはイレーナが信頼している人だし、神殿騎士団でもかなり地位のある人だ。

だから全部お話しますね。


「……作戦?」


ああ、緊張してきた。

上手く説明できると良いが……


俺は順を追ってマーサにナガッセでの出来事を説明した。


ナガッセのスラム街には手を焼いていた事、

そんなある日、スラム街を焼き払う計画が持ち上がった事、

持ち掛けてきた相手が聖教会の関係者で、その首謀者がラザロ司祭だった事、

当初はスラム街だけだったはずが、ラザロ司祭が手を回しナガッセ全体を焼き落とす羽目になった事、

俺もそれを追認し、作戦の功績を認められて司祭の護衛兵士になった事、


「……あのナガッセの大火災が、聖教会主導の作戦だったですって?」


もう隠せないのなら、全部話した方が良い。

だがそれは、話す相手が信頼出来る相手の場合ならばだ。

俺はある意味マーサに賭けたのだ。


それに秘密を抱えたままでいるというのは、心苦しかった。

誰かに全部話して、ぶちまけてしまいたかったのだ。


「確かにナガッセは闇陣営の巣窟だった。東方派の急先鋒だったラザロならやりかねない……それに不自然な火災だったわね。いくらなんでも、街全部が焼け落ちるなんて」


さて、吉と出るか凶と出るか。


「闇陣営の街とはいえ、そこを守るべき立場にあったあなたが、その焼き討ちに手を貸すなんて、随分酷い事をしたわね」


……。


「けど、聖教会にとっては作戦を成功へ導いた立役者でもあるわけか。……聖教会に携わる一員として、あなたをどう評価すべきか、判断に困るわ」


あの……俺はこれからどうすれば良いんでしょう?


「そんなの自分で考えて!……と、言いたいところだけど、聖ヘルメス協会に頼ってきた者を無下にはできないわね。この事はイレーナには話したの?」


いいえ、イレーナにも誰にも話していません。

あなたが、初めて話した相手です。


「誰にも話さなかったのは懸命な判断だわ。聖教会の裏仕事の秘密を守るために消されかねないもの」


俺には身寄りとかがもう何も無いんですよ、ここで副官を罷免されたりしたら、後は冒険者にでもなってその日の食い扶持を稼ぐしかなくなるんです。


「イレーナに罷免されたくない……それは他にも理由があるんじゃない?」


そ、それは……


「今は話す勇気が無いと言うのなら、それでも構わない。でもいつかはイレーナに全部話してあげて。それがあなたとイレーナの為でもあるわ」


……ええ、いつかはそうします。



ーー



運命の三日目がやって来て、すわ戦闘開始か?

と、要塞内が緊張に包まれたが、肩透かしに終わった。


翌日の四日目も攻撃してくる気配は見えず、あの三日後というのはいつから数えて三日後だったんだ、などと囁かれ始めた五日目の深夜。


突然の耳をつんざく爆裂音に飛び起こされた。


要塞内に罵声と怒号と悲鳴が充満していた。


ああ、ついに始まったんだなとどこか他人事のように思いながら、俺は軍服に着替え始めた。



ーーーーーーー おまけ「無防備村が行く」



とあるオーク帝国の略奪部隊が、チャイカ連邦の村を訪れた。


村は特に籠城も考えていないようで、門も開け放たれ、武装した兵士もいない。


いぶかしんで部隊の隊長が様子を伺うと、村の中から村長が現れた。


「この村は無防備宣言をしています。戦いには加わりません。私たちは戦争に反対をしているのです」


熱心に語る村長の姿に、オークの隊長は深い感銘を受けた。


「素晴らしい思想だ。ぜひ人間たちの間でその思想を広めて欲しい。オーク帝国はそれを歓迎する」


思いが伝わり、涙ぐみながら村長はウンウンと頷いた。


オークの隊長は部下達に命令を下した。


「お前ら、この村は抵抗をせんらしいぞ。思う存分金目の物と食糧をぶんどって来い。女子供は犯し放題だ!」


こん棒を振り下ろし、村長の頭を胴体にまでめり込ませた。


うぉぉぉぉー、と雄叫びを挙げながらオークの軍勢は村へ雪崩れ込んだ。


無防備村は特に歴史書に名を残す事もなく、人知れず滅び去った。


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