お土産
結局、ツラギ王国と親睦を深めておくという俺の考えは、浅はかなものだったのだろうか?
いや、問題なのはミラージなのだ。
ヒルダ王女の信頼を勝ち得た事は無駄じゃない。
……そう、思いたい。
ーー
ネファラム城に帰ると、キューやミーアに顔出しした後、まずは風呂に入ってピアに誘われるまま二人で部屋に直行。
翌日、ツラギからのお土産を配って回った。
テリーは寄木細工とかそういうのよりも、ライガーの大剣の方を気にいったみたいだった。
「……フン、これがあのミラージの護衛士の剣か」
テリーは何か欲しい武器とかあるのか?
「もちろん最強の剣。出来たら雷鳴剣ってのがどこかの国に国宝としてあるらしいぜ」
ルナにはツラギ王室御用達の金属加工店で作られた銀製金具と、ゴウラ産の黒瑪瑙を用意した。
「嬉しいけど。なんで別々?」
これからキューの所へ行ってマジックアイテムにするんだ。
ルナと二人でキューの工房へ行く。
「来たかエイジ君。ちゃんと準備は出来ているぞ」
キューと協力して金具に黒瑪瑙をはめ込み、最後に俺が魔力を注ぎ込んでマジックアイテムとして完成させる。
黒瑪瑙のアミュレット。
常時骨鎧発動の効果付き。
「ありがとう!大切にするね」
ルナは喜んでくれたようだ。
次は炎水晶、その次は月の石で何か作ろうな。
ーー
ネファラム城の総兵力は六千に達した。
暇そうにしてる骨達には、防御用兵器を作らせたり、骨製の矢とかを量産させたりした。
城内の空いたスペースを利用して、ちょっとした城内菜園まで始めさせた。
熊本城なんかは籠城に備えて、壁にはカンピョウが埋め込まれ、畳はワラビの茎で巻き、庭には梅の木が植えてあるほど徹底して加藤清正が対策させたというからな。
ネファラム城の兵士は骨だから、兵糧の心配はそこまでしなくてもいいが、それでも城内十名分の自給自足ぐらいはやった方が良いだろう。
水は魔術師が三人いて初等魔術で作れるからほぼ心配は無い。
魔力ある限り無限に水が湧き出せるなんて、古今東西の城主達が聞いたら泣いて羨ましがるだろうな。
ーー
ある日、郵便馬車がネファラム城を訪れ、アザ教の封が押された手紙を置いていった。
手紙には、第三の宝珠が光陣営側に入手されたとの報告が書いてあった。
「なんで宝珠を取りに行かないのかと、お叱りの言葉も添えてあったよ」
と、ピア。
でもチャイカ連邦に睨まれている状況では、城をほっといて宝珠の探索になんて行けないよ。
ところで、第三の宝珠はどこにあったのですか?
「ヒノモト国の某所だそうだ」
ヒノモトって……
はるか東のミラージの、そのまたかなり東の極東地域でしょ。
そりゃ無理ですよ。
「うーん、現状では難しいな。だが宝珠の探索に協力しないとアザ教の支援を受けるという計画も、成り立たぬかもしれん」
どうしよう……
「そこら辺の事情も説明して、アザ教に連絡を取ってみよう。導師様は話の分かるお方だ。力を貸して下さるだろう」
アザ教の本部ってどこにあるんですか?
「総本山はダークエルフ王国の王都にあるんだ」
ヒノモトほどでは無いが、そこまで移動するのもかなり日数がかかるな。
「宝珠を五つ揃えた者が勝利する。今はこっちが二つ、向こうが一つだ。この世界には宝珠は全部で五つしかないのだから、両者とも勝利することは無くなった、ということだろうな」
そういう事か。
でも、その勝利というのが分からん概念なんだよなあ……
導師様とやらに会えたら聞いてみたいものだ。
ーー
平穏な日々が続くある日、黒玉石に通信が入った。
キューが珍しく工房から外に出てきて、
「ミラージのイカーデの奴から通信があった。緊急でエイジ君と話がしたいのだそうだ」
なんだろう。
トトラを返せとか言ってくるのかな。
俺とピアとキューの三人で工房へ行き、イカーデと話をする事にした。
「久しぶりじゃなエイジ、被験者が健康そうでなによりじゃ」
なんの用なんですか?
「お前と話したい、という者がおってな。今変わるぞ」
誰だ。って大体予想つくな。
「エイジ……私です。ソフィア」
やっぱりな。
ソフィア、と聞くとピアが明らかにムっとした表情になった。
「今、ネファラム城っていう所に居るって本当なの?」
ああ、そうだけど。
ピアが横から俺に抱きついてきた。
そのまま服の上から俺の身体をまさぐり始める。
あの、今は通信中なんだけど。
「エイジ君は浮気者だよ。私という妻がありながら……」
ええー、会話してるだけなんですけど。
「今すぐその城から逃げて、エイジ。聖教会が、総攻撃の準備を進めてるって!」




