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出撃

 ネファラム城への帰路の中、ピアは黒玉石でキューに連絡を取り、これまでの経緯を説明していた。


「エイジ君、無理だとは思うが一応知らせておく」


 ピアによると、アザ教から第三の宝珠について神託があったそうだ。

 だが、この状況では……


「うん、分かってる。残念だが今回は仕方あるまい」


 しかし5個揃えた方が勝利する、だっけ?

 勝利というのは何をもって勝利というのだろう。


「……それは分からぬが、恐らく強力なマジックアイテムでも手に入るか、何か魔術が発動するのか、そんなところだろうな」


 ふーむ、まあどのみち今は無理だな。


 骨馬車は24時間不眠不休で走らせたが、それでも城に着くまで1日かかった。


 城で準備を整えて、すぐに出発する。

 骨馬車に出来る限りの保存食等の物資を詰め込んだ。

 現在のネファラム城の兵力は四千五百だ、

 そのうち三千を率いて出撃し、残りは城の守備隊として残した。

 メンバーは引き続き俺とピアの二人にした。

 ルナも連れていって欲しそうにしていたが、今回は戦場が特に危険そうなのと、直接城が攻撃される恐れも考慮して残ってもらうことにした。


「分かった。でも絶対に無事に帰ってきて」


 わはは、俺が一回でも無事に帰らなかった事があるかい?


 あーこれ死亡フラグだ。まあこれぐらい、へし折ろう。


 ーー


 骨馬車に乗り三千のスケルトンを従えて東へ向かう。

 2日掛けて道のりを走破し、集合場所へ到着した。


 連絡はされていたのだろうが、三千のスケルトンがガチャガチャ鳴らせながら行軍してくる様はさすがに驚いた様だ。

 俺は骨馬車を先頭に出して、敵じゃないんですよアピールをするためハコ乗りして部隊を進め、指定場所に整列させる。

 ああ、なんかこれじゃ暴走族だ。


 ぜんたーい止まれ、左向け左、小さく前へ倣え。

 よし、座れ。


 全スケルトンが一子乱れぬ動きで整列し、体育座りでしゃがみこんだ。

 ここまで完璧な動き、現代の小学生では出来もしまい。


「相変わらず禍々しいですねー、闇属性というのはー」


 緑ローブが護衛士のライガーと共にやって来た。


 そうですか?慣れてくるとこのスケルトンが頼もしくも可愛く思えてくるんですよ。


 俺は足元にじゃれつく骨犬の頭をなでながらいった。


「どこがですかー、骨だけで動いてるんですよ?筋肉も内臓も無いのにー」


 内臓なんか見えたら余計気持ち悪いですよ。


「うう、それもそうですねー」


 と、そこへ


「おお、到着したかエイジ殿」


 ヒルダ王女が護衛を伴ってやって来た。


 戦況はどうです?


 ヒルダによると、

 ゴウラ国境付近には監視用の砦が二つあるが、そのどちらとも連絡がつかず、既に陥落したか今だ持ちこたえているのかも分からない状況らしい。


 今回ヒルダが指揮するツラギ王国軍は総勢六千で、他の兵は王都や他の砦の守備隊として残してあるらしい。


 六千のうち二千は既に先発させて北上させており、ここに居るのは四千だそうだ。


「貴殿が到着するのを待っていた、すぐに全軍で北上しよう」


 ーー


 北へ移動する傍ら、ゴウラ軍の情勢について聞いてみた。


 ゴウラ王国は領土の大半が山岳地帯で、

 萬丈の山と千仞の谷があり、雲は山を巡り霧は谷を閉ざす。

 昼でもなお暗い杉の林が広がり、曲がりくねった小道は苔むして滑りやすい。

 天下有数の険しい難所だそうな。


 どこかで聞いたような地形だ。


 兵数的にはツラギ王国に劣るので、これまではもっぱらゴウラ領内の自然要塞を利用して防衛に当たっていたが、下山してツラギまで攻めてくるのは珍しい事らしい。


「瞬く間に前衛の砦二つと伝令兵も繋がらぬというのは、かなりの兵力で攻め込んで来ておるな。ゴウラのほぼ全軍か、あるいは……」


 後ろにいるというチャイカ連邦か。


「それはあり得る。大きな増援を得ている可能性がある」


 北上して行くと、やがて断崖絶壁の川に差し掛かった。

 川幅はそれほど広くないが、かなり深い底に水があり、向こう岸へ渡ろうとしたらロッククライミングの技術が必要になるだろう。


 川には頑丈そうな木製の橋が架かっていた。

 この川に架かっている橋はこれ一つで、ここ以外に向こう岸にいくには、遠くネファラム平原まで進んでかなりの大回りになるらしい。


 先発の二千兵はこの橋の確保の為に先行していたようだ。

 ゴウラ王国兵の姿は今だ発見出来ないが、この橋を越えて先へ進むか、それともこの断崖絶壁沿いに陣を引いて待ち構えるか。


「ここで待ち構えるのが一番の安全作だが、それでは今だ持ちこたえているかもしれぬ前衛の砦を完全に見捨てる事になる」


 ヒルダ王女は橋を渡る決断をした。

 千兵を橋の維持に残し、他の部隊は北上する。


 これで兵数はツラギ王国軍が五千、俺の骨兵が三千。


 さらに北上すると、小高い丘があった。

 丘の向こうはしばらくは開けているが、その先は杉林で、大軍で移動するのは難しい地形だ。


 斥候が戻ってきて報告があった。

 ゴウラ王国軍は杉林を分け入りながら南下中で、かなりの大部隊らしい。

 だが接敵まではまだしばらくの時間があるようだ。


「この丘を利用してゴウラ王国軍を迎え撃つ」


 ヒルダ王女はそう宣言し、全軍を丘に布陣させて野戦築城を始めるよう命じた。


 陣前に柵や逆茂木が多数構築された。

 急造品だが、無いよりはずっとマシである。


 丘の頂上部には天幕が張られ、ヒルダ王女らはそこから戦場を見渡す事にした。

 俺も骨馬車を丘の上まで乗り上げて、天幕の代わりとする。


 築城が七割ぐらい進んだ所で、斥候から報告があった。

 間もなくゴウラ王国軍が姿を見せるらしい。


 陣内の緊張が高まった。いよいよ戦端が開かれる。


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