リスポーン06
気が付くと俺は田舎の田園風景のような場所に立っていた。
遠くまで広がる畑と、点在する民家。
道の先には街の中心地らしき建物群も見える。
一見すると中世ヨーロッパっぽい街並みだが、微妙に違う違和感がある。
これらを総合し、強いて言うなら…
「RPGっぽい」
見れば俺の服装も、いかにもRPGの初期装備じみた特徴の無い上下一式に、普通の靴、普通のナップサック、普通の杖、
そう、杖だ。
ゲームで魔術師とかが持ってそうなやつ。
ここは何なのだ。
もしかしてバーチャルリアリティのゲーム?
だが、俺が過去にやったことがあるVRゲームといえば、頭にVRセットを被ってやるような物で、再現できているのは視覚や聴覚の分野だけだった。
ここは違う。
畑から漂ってくる香ばしい臭いや、手で顔や身体を触った感触まで再現されているのだ。
つまり、臭覚や触覚まで再現されている。
ここまで凄い技術が出来上がったという話は、一度も聞いたことがないし、ネットニュースで読んだことも無い。
それとも極秘裏に開発されていたのだろうか?
あの大地震で俺は家屋に押し潰されたが、実は奇跡的に命だけは助かり、意識は戻らぬまま植物人間になっていて、
どこか秘密の実験室で、最新型VRシステムのテストプレイを強制的にやらされている。
な、わけないよな。
ないよ……なあ?
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街の中心地へと足を進めてみる。
人々は日本語じゃない言葉で会話しているが、内容は何故か普通に理解できた。
いつの間にか俺はバイリンガルになっているようだ。
したがってあの建物の看板もそのまま読むことが出来る。
「冒険者ギルド」
ますますRPGめいてきた。
この世界は現実なのか、ゲームなのか?
どちらなのか完全に決めることが出来ないまま、ギルドの入口をくぐって取り敢えず中へ入る。
中はいかにも冒険者風という剣や槍で武装した人々でごった返しており、壁に張られた依頼文、向こうに見える受付嬢。
初めて来る場所だが、この雰囲気は解る。
うん、ここは冒険者ギルドだ。
大体のRPGで、冒険者ギルドといえばこんな感じだ。
俺は壁際まで歩いて行き、ここの料金表のようなものを確認した。
どうやらここは2階は宿泊所になっているタイプのようで、追加料金で頼めば食事も出してもらえるらしい。
計算してみると、俺が今持っている所持金でここに宿泊出来るのは1週間が限度のようだ。
そこで金が尽きる。
たった1週間?
前は長らく働かずにすごせる程の貯金の蓄えがあったのに……
このまま何もしなければ、俺は1週間で宿泊費が無くなって、ホームレスになる。
そして食料を買うことも出来なくなるわけだから……
……そう考えると、急に恐怖心がわいてきた。
ここでの俺の人生のタイムリミットは、あと僅かしかないらしい。
俺は多少ふらつきながら空いていたテーブルの椅子に座った。
これからの事を少し真剣に考える必要があるだろう。




