始まりの街
馬車に揺られることだいたい10分ほど。いやそれより短いか。ようやく街に着いた。
「ほうここが」
「初めてか?ここがテゴドールだぜ。」
文明の発展は元の世界の方が上か。木造建築が多く中には石造りのものもあるがだいぶ少ないな。石造りのものの方が比較的大きいしこの街で力を持つ者達の家が石造りなのか?まぁ労力がかかるだろうしな石造りは。
「とりあえずこんな時間だ。兄ちゃん帰るところとか泊まる予定のところとかあるか?」
「いや来たばかりだからないな。適当に探さなきゃな。」
「そうか。じゃぁ何かの縁だうちに泊まっていけよ。」
「いいのかおっさん!?」
「ハッハッハそれくらい構いやしねぇよ。兄ちゃんヒョロいから見てて不安になるくらいだしよ、まぁ悪事なんて出来ねぇだろ。」
「ははは...」
「そういえばまだ名前聞いてなかったな。」
「あぁそうだったな。俺は間山 由希っていうだ。」
「珍しい響きの名前だな。俺はクラウス・ヘルツだ。クラウスって呼んでくれ。」
なるほど、名前は西洋スタイルな感じか。
「あぁ了解だ。じゃぁ俺のことは由希と呼んでくれ。間山はファミリーネームだからな。」
「ん?逆なのかやっぱり珍しいな。」
「次から人に自己紹介する時は名前の順番逆で紹介した方が良さそうだな。」
「そうだなぁそっちの方がわかりやすいなぁ。」
「でクラウスの家はどれだ?」
「あぁ俺の家はあれだ。」
クラウスが指を刺したのは街の端のほうにあった大きめの石造りの家だった。ん?
「クラウス...さん?割と権力者だったりしました...?」
「いやいやただのしがない商人さ。ちょっと農民より稼ぎがいいからあんなんなだけさ。俺は親父から家業を受け継いだだけだしな。あと突然敬語にするな今更気持ち悪いだけだぞ。」
「あ、あぁそうだな。」
う~ん見た感じと同じようで感覚的には文明レベルは中世ヨーロッパと変わらない感じかな。商人が金持ってるし。どっかの社長ってほどでもなさそうだしな。
「よし、荷物を卸す所に着いたからちっと待っててくれさっさと置いてきちまうからよ。」
そう言うと馬車を止め、クラウスは馬車から荷物を下ろし始めた。でかいガタイにスキンヘッドっていう見た目に合う力持ちらしい。結構おもそうな荷物を軽々下ろしている。
「あぁ俺も手伝うよ。」
そう言って荷物に手をかける。
「重いから大丈夫だぞ!由希じゃ持てやしねぇよ。」
「よいしょっと。ってうん?」
思ってたよりだいぶ軽かった。というか重さを特に感じなかった...。なんだ?思ったよりおっさん力ない...?
おっさんの方を見ると少し目を見開いていた。
「由希は意外と力あるんだな。」
そう言うと笑っていた。見た目通りの豪快な笑い方だな。ガハハという擬音がピッタリだ。
ちょっと悩んで権神の建王を思い出した。そういえばあれに重さを無視して持ち上げるって権能があったな。なるほどそれで...。まぁ意図せずに権能の確認が出来て良かったな。
その後は権能を活用してぱっぱと下ろした。重い荷物みたいだが権能があれば楽々だった。むしろ荷物を同時にいくつも運びすぎてクラウスに「お前その体のどこにそんな力が...。」ってちょっと引かれるレベルだった。これ運んでる時に気づいたけどこの権能のせいで自分で持って重さを確認してみるってこと出来ないな。権能の効果を切れるか試してみたがパッシブらしく切ることは出来なかった。う~ん...重さを図る手段も用意しなきゃだなこれ...。
「いやぁ助かったぜ。由希のおかげで予定よりだいぶはやく終わったぜ。ありがとな。」
「なになにこれくらいならなんでもないさ。」
「ほんとお前のどこにそんな力があんだ?俺も力には自信あるがさっきの見てた感じ俺でも力勝負では勝てなさそうだな。」
そう言うと舐めるように俺の体を見回し、俺の肩を笑いながら叩いてきた。
「ゴフッ」
「あっすまんあれだけの力があるから割と丈夫なんだろうと思ったがそうでも無いのか。」
「い、いや...大丈夫だ...。」
そういえばこういうダメージに対する軽減とかはなかったな...。やばいじゃん元のまんまじゃ多少の衝撃にも耐えらんないじゃん。やっぱり早急に肉体強化が必要みたいだな...。
「さて!じゃぁそろそろ俺の家に行くか!」
「あぁ楽しみだ。...ゴフッ」
「由希...すまん強く叩き過ぎたなほんと...。」
「いや大丈夫だ...。」
「着いたぞ。」
「お..う...。」
「まだやってんのか。流石にそれはお前体弱すぎだぞ...。」
「俺もそう思うよ。」
「ほらほらさっさと行くぞ。」
「お邪魔します。」
中に入るとクラウスはまず寝床に案内してくれた。特に荷物はないが邪魔なので腰から下げた剣だけ置いて行った。その次はクラウスはリビングに通してくれた。
「由希。ここがうちのリビングだ。」
「おぉ。おお?」
目に入ったのはまず普通に綺麗なリビング。そして、次に2人の白銀の髪だった。
「あっパパ帰ってきたんだ。おかえり。」
「あらクラウスおかえりなさい。」
「おうただいま。」
「それでそっちの人は?」
クラウス既婚者だったのか...。てっきりなんの躊躇もなく人を家に連れてくから気楽な独り身なんだと...。
そんなことに思考を回してると恐らく娘かな?非常に似ている親子のうち若く見える方(どちらも若く見えるので比較的だが)が不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「あっ失礼挨拶が遅れました。私は由希 間山です。お邪魔してます。」
「パパまた拾ってきたの?」
「まぁな。こいつはすげぇぞ。ちょっと身体は弱すぎるがすごい筋力の持ち主だ。」
「身体が弱いのに筋力があるってどういうことよ。」
「ははははは...」
流石に権能のおかげですとは言えないもんなぁ。この世界に俺みたいなやつがいるか分からないし...。常識は検索かけられるって言っても流石に常識すべて出してもらうわけにもいかないし絶対覚えきれないしな。
「まぁまぁこんな時間ですしもうご飯も出来るから座って待ってて下さいね。」
「あっすいません。ありがとうございます。」
ちょっとなんだコイツみたいな顔してる娘と違って奥さんの方は普通に客人に接する態度で接してくれている。恐らく娘の方もまたって言ってたしたまにクラウスが連れてくるから慣れてるんだろうな。それにしてもクラウスは運の良い奴だな。白銀の髪を背中まで伸ばし、紫の瞳をした美人の奥さんなんて...。娘もその血を引き継いでまた美人だし...。こっちはまっすぐ伸ばすんじゃなく後ろでまとめてるけど。まっどうでもいいかどうせ俺は宇宙にしか興味ないからな。ないから!...ないから!
「はい。どうぞ。」
「あっどうも。」
そう言って奥さんは俺の前に黄色いスープとサラダ、そしてパンを出してくれる。この世界においてこれはどれくらいのレベルの食事かはわからないが確信を持って病院食より美味そうだ。...比較対象が病院食しかないって俺悲しいな...。
「じゃぁいただきます。」
「「いただきます。」」
「あっいただきます。」
クラウスに続いて妻子が言ったあと余計なこと考えていたせいで遅れてしまった。
「そういえば改めて自己紹介させていただきますね。私の名前は由希 間山です。クラウスさんに平原で拾ってもらった感じです。」
「おいおい俺の家族だぜ?俺に敬語じゃないんだから俺以外も敬語じゃなくて大丈夫だぞ。」
「そ、そうか?」
「そう言えばまだ私たちの自己紹介もまだでしたね。私はクラウスの妻のエルマ・ヘルツです。どうぞエルマと呼んでくださいね。」
「私はレーア・ヘルツよ。クラウスの娘のね。冒険者やってるわ。よろしく。」
「エルマさんとレーアさんですね。よろしくお願いします。」
「まぁ呼び捨てで構わないのよ?」
「そうだぞ?お前俺のことは最初っから呼び捨てだったくせに。敬語も取れてないしな。」
「いやなんというかクラウスと会った時は最初っから敬語で話しかけてなかったから今更さん付けるのもおかしいなって。」
「まぁなんでも構わねぇよ。冷めないうちにさっさと食っちまおうぜ。」
異世界で初めての食事は暖かかった。ここら辺の話もいくつか聞けたし、純粋に楽しかった。少し家族のことを思い出し涙が出そうになったが、無理やり押し戻し、暖かい食事を楽しんだ。
どうも!作者のクロウです!3話にしてようやく神と由希以外の登場人物の名前が出てきました!ヘルツ家です。自分で書いてて非常にクラウスが羨ましかったです...。まぁそんなことは置いといて実際のところ由希ってどれ位の実力なの?とか全くでできてませんが、まぁそれは多分そのうちに。彼まずは最低限身体鍛えなきゃなんで(--;)




