2度目は宇宙を
「ハァハァハァ…」
息が苦しい。もう限界か。
「由希!由希!しっかり!由希!.........」
あぁ家族が俺を呼ぶ声が聞こえる。あぁ病弱な俺をここまで支えてくれた家族にちゃんとお礼を言わなければ。
「い...ま.....あ.......が...と...」
あぁダメだもうほとんど声も出ない。まだ意識は多少朧げながらもあるのにもう視界は半分ほど見えないし声も出ない。体にも力が入らない...。やっぱり俺は死ぬんだな。思えばつまらない20年間だった。俺が視界に映っているのは常に病院の白い壁だった。俺とっては刑務所同然だ。しかし、また常に視界にあり、励ましてくれたものが家族だった。だからこそ感謝は伝えたかったんだけどなぁ...。
叶うなら家族に感謝を告げる余力が欲しい。
それだけで願いが終われれば立派な人間だったと胸を張れたんだけどなぁ。俺は最後まで決して叶わないと知っていながら渇望し続けた夢があった。それは宇宙へと臨むことだ。病室でやることがなかった時に見ていたテレビでニュースや特集、アニメやドラマで何度も見た宇宙への挑戦。ただただ病院のみが自分の世界だった俺には眩しかった。いつかきっとこの目で直接と何度も何度も渇望した。しかし...あぁやっぱり無理だったな。こんな体で宇宙を望むことは分不相応の夢だったんだな。分かりきってはいたが。輪廻というものが実在するならば次こそは丈夫な体を...。ふっ結局は最後まで自分のことか。声は出せないが自嘲気味に笑う。表情だって少ししか変わらなかっただろうに俺の変化に気づいた家族は俺の顔をさらに覗き込む。
あぁ俺はこんなにも家族に恵まれた。父さん、母さん、そして2人の弟。沢山迷惑をかけたなぁ...。こんなに恵まれたからこそ体には恵まれず夢を叶える機会も与えられなかったんだな...。
そう自分に言い聞かせるように最後くらい夢のことを忘れられるように考えるが、やはり夢は頭から離れてはくれない。この体では叶わぬ夢。ならば次回こそは次回こそは必ず...。
そこで既に視界も聴覚もその他感覚も全て無くなっていた俺の意識は完全に途絶えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「う〜ん...はっどこだここは...」
周りを見回す。確実に死んだはずの俺の五感が完全に復活を果たしている。その復活した五感が最初に捉えたのは夜空だった。周りを見回すがただただ夜空正確には真っ暗な空間が広がっていた。
普通なら突然知らない場所に飛ばされた恐怖を覚えるものなんだと思うが白い牢獄にいた俺には新鮮な世界でまた宇宙に似た光景で心がはねた。
「おっ起きたか。」
あぁ無限にひとがる黒。なんて美しいんだろう。これが宇宙なんだろうか。
「おーい聞こえとるか。」
最後の夢に神様が見せてくれたんだろうか。そうならばなんて神は慈悲深いのだろう...。
「おい!聞こえとるか!お主そこらの老人より耳が遠いのではなかろうな!」
肩に突然手を置かれさっきまでは心が跳ねていたが代わりに体がはねた。
「うわっ!なんだびっくりしたな!俺以外にも誰かいたのか。」
「はぁ...いくら研究者らしく集中力を高いようしたとはいえさすがにこれは高すぎじゃな...。」
「?」
「なんじゃったかな。確か間山 由希じゃったか。」
「なんで俺の名前を?誰だお前。」
「人とあまりコミュニケーションが取れなかった影響かのぉちょっと口が悪いぞお主。」
「いやこれは失礼しました。突然声をかけられて私の名前を言いあれられたもので気が動転しておりました。」
「うむ。慣れない感じはするが一応敬語は覚えとったんじゃな。」
「はい。年上の方と話すことも多かったですし、何より母が礼儀には厳しかったもので。」
「なるほどのぉ。」
「それで一体私になんの御用でしょうか?」
「いやまぁまず伝えることはお主は死んだ。ここに居るのはお主の魂のみじゃ。ってところかの。」
「なるほど。魂のみですか。」
「なんじゃ普通皆ここで『馬鹿ゆうんじゃねぇぜじいさん』とか言ってくるんじゃがのぉ。」
まぁたしかに魂のみとか頭おかしいんじゃねぇかとも思うが死んだって確信はあったし、死後の世界を生前に証明できる人はいない。であれば死後何があっても不思議ではないと俺は思います!...誰に話してんだ俺は。
「まぁよい。あと重要な事としては...、お主には転生してもらう。」
「...はい?輪廻が回るのとは違うのでしょうか?」
「いやなぁ普通ならそうなるんじゃがお前に関してはこっちに少し手違いがあってのぉ。」
簡単にまとめるとこうだ。俺は元々神に愛された存在として人間として生を受けた。本来であれば俺は稀代の天才であり、宇宙への強い関心を持ち、人間の宇宙への探求を大きく進めるはずだった人物だった...そうだ。
「本来なら歴史に名を残す大天才になるはずじゃったんだがのぉ。お前にもわかりやすく言うとレオナルド・ダ・ヴィンチとかトーマス・エジソンとかそういうのと同じ感じになるはずじゃったんじゃよ。」
「いやいやいやなんでそんなやつが病院から出れずにたった20年で死ぬようなやつになるんだ...。」
「まぁぶっちゃけるとこちらの手違いじゃ。」
「...はい?なんですって?」
「手違いじゃ。」
「いやそれはいいんで何をしたんですか。」
「いやぁ天才に生まれるということはどこか悪いところがだいたい出来るもんなんじゃ。まぁ因果ってやつじゃの。そして悪いところって言うのは基本ランダムなんじゃ。」
「はい...。まぁ完璧な人間はいないってことですね...。それがなんでミスに繋がるんでしょうか?」
「それはのぉ...。体が弱かったら意味がないってことは分かりきったことじゃったから頭と体は悪くならないようにランダムの条件から外すんじゃが...。」
「まさか...。」
「あぁそのまさかじゃ。外し忘れた。そしたら見事に体が悪くなっちまった。」
「バカヤロォ!お前のせいか!諦めようにもどうしても諦められずに無理だとわかりつつも求め続けるって苦行を味わうハメになったのはお前のせいか!」
「お、お主敬語が完全に取れとるぞ...。」
「だぁれがこんなこと知ってからこんな奴に敬語使えるんだ馬鹿が!お前のせいで俺はずっと苦しみ続けたんだぞ!」
「だから悪かったって言っとるじゃろ!お詫びするって言っとるじゃろうが!」
「くっそ!この怒りがそう簡単に収まるわけがな
「異世界で宇宙を目指せるぞ。」
「ありがとうございます神様。」
「お前変わり身早いのぉなんかかなしくなってきたぞ。」
「まぁまぁそんなことより宇宙を目指せるとはどういうことでしょうか。」
「ま、まぁよいか。いやなお前のさっきの態度見てもよくわかる通りじゃがまぁ儂も神とはいえ人の心が一切分からぬ訳では無い。お前の心中を察したからこそお詫びとしてお前にはせめて別の世界で宇宙を目指すサポートをしてやろうと思っての。」
「サポートですか?」
「そうじゃ。権能を一部貸し出してやろうと思っての。まぁ権能と言っても使いやすいようにあとはやり過ぎないように多少は調整したものじゃが。」
「それがあるとどうなるのでしょうか?」
「そうじゃなぁ。実質研究する時間が増えるの。人間じゃと限界ってもんがあるからのぉ。」
「それはありがたい!」
「あと使い方には気をつけるのじゃぞ?調整したと言っても元は権能じゃ。大きな力を持っているのは間違いない。」
「了解です。」
「あぁそれと頑張れば神の座に登ることも出来るぞ。」
「いやそれは別にいいです。」
「お、おうそうか。研究できる時間が伸びるんじゃが。」
「それはぜひ目指したい!」
「お主本当に研究のことしか頭にないの...。そうなるようにしたとはいえこれはあまりに極端じゃのぉ。」
「まぁそれよりさっさとお願いします!」
「そ、そうか。ではその前に権能の説明からの...。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
まとめると
検者
情報を検索する力。検索できることは本来得るはずだった知識、異世界の常識、これまでの経験・記憶に限られる。
研魔
魔法を使えるようになる力。また研究のための力。本来異世界の人は元々魔法を行使できるがこちらの人はできないための措置。自然現象のしくみを理解することで魔法として再現する。魔法の使い方を理解することで魔法が使えるようになる。そして、これが主に研究のための力、認識時間の延長。大体10倍程度に延長できる。1秒を10秒のように認識されるという力。これは練度により成長する。
建王
ものを作り上げるための力。また、効率的に作るための力。あらゆる物質を重さを無視し持ち上げられるようになる。また、己の動きを10倍ほどに加速できる。この速さも練度により変わる。
この3つの力を合わせて権神という権能。
そしてもう1つの権能が探神。
こちらは権神が研究、構築の意味合いが大きいのに対しこちらは名前に恥じず探検のための力だ。
あらゆる悪影響を無視する。これは熱などの影響も無視できる。また、呼吸ができない場所でも活動できるらしい。むしろ呼吸が必要なくなるとか。
体への負荷を減少させる。これは純粋にこれまであまり運動できなかった俺への配慮だ。体力の減少が少なくなる分多く活動できる。
どんな体制、環境でも正確に動けるようになる。まぁ細かい作業を行う時に役立つだろうってことだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「流石権能って感じですね。」
「じゃろ?使いやすいようにも改造したしこれでバッチリじゃろ。しかし、さっきも言うたが気をつけて使うのじゃぞ。」
「はい。もちろんです。」
「まぁお主なら大丈夫だと思うがの。優秀なはずじゃし最悪権神がついとるしの。」
「ん?権神が?」
「...なんでもないわ。質問がなけりゃ送り込むぞ。」
「??」
「あっそういえば1つだけ。」
「なんじゃ。」
「何故一々神であるあなたが宇宙開発の手助けをするのですか?到達するまでほっとけば良いのでは?」
「なんと言ったらいいかのぉ。つくったのに見られないのは悲しいじゃろ?そういう事じゃ。」
「なるほどせっかく世界をつくったのに我々は地球しか未だに見てないからさっさと他のところも見てほしいと。」
「まぁそんなとこじゃ。あぁ忘れておったがほぼ変わらんが多少お前の元の世界の宇宙とあっちの宇宙は違うからだからどうしたって訳では無いが気をつけてな。」
「それでも宇宙は宇宙ですからね。」
「そうじゃな。では送るぞさらばじゃ!」
「ありがうございました!」
そう言って神様が払うように左手を右から左へ動かすと俺の周りをまるで蛍のような青い光が舞い始めた。そして俺の体は少しずつ下に向かって加速して行った。そして意識が1度消える直前、微かに神様が
「忘れておったががぶんめ....
と言ったところまでは聞こえたのだが先に意識が暗転した。先程の後悔に充ちた暗転とは違い今回の希望に満ちた暗転に俺は心を踊らせた...。
どうもクロウです!完全に思いつきで新作異世界で宇宙をのぞむを書き始めました!何となく異世界、宇宙...はってなった感じです...。正直私自身この作品大丈夫か不安なんですがまぁ頑張って行こうかなってことでよろしくお願いします!
最後に一つ『異世界で宇宙をのぞむ』の読みは『いせかいでそらをのぞむ』なので間違えないようにね!あとのぞむは変換ミスじゃないぞ☆




