2 幼馴染は魔王で厨二病患者だ。しかし・・・。 中編
「よく頑張ったわね。ワタシが来たからもう安心よ☆」
は?こいつオネエ口調だったのか!?
設定は少し読んだことはあるが、口調までは書いていなかったな・・・。
しかし、ヴラン(?)彼の姿には違和感があった。
レナのイラストほどマッシブではなく、人間寄りの体型・・・踵も地面についており、尻尾も生えていいない。
確かににそっくりだが、レナのキャラデザに忠実な見た目ではなかった。
本当にヴランなのだろうか・・・。
「味方だと!?ここは隔離世界のはず!!」
厨二男がすごい剣幕でヴランを見る。
「ワタシはヴラン・ヴァキバキ・ヴァルゾ 12代魔王の右腕にして十二幹部の一人、
次期魔王の最愛なる僕よ。」
レナが考えた設定通りの肩書き。
本当にヴランなのか!?
厨二男の聖騎士とやらもうそうだが、今度は幼馴染創作物までもが出てくる始末・・・。
今日という日は何がどうなっている!?
まさか・・・幼馴染の創作物は実在していたのか!?
あり得ない・・・と言いたいところだが、もうはや受け入れるしかない現状。
でも____レナが助かれば幻でもなんでもいい。
「幼馴染を・・・レナを助けてくれ。」
私は目の前の怪人に残った力を振り絞って、頼み込む。
「言われなくてもそうするわ。
でも、あえて言わせてもらいましょう・・・任せてちょうだい。」
低い声で女言葉というギャップがあったが、その頼もしい言葉に私は思わず安堵する。
「ま・・・まさか、ヴラン・ヴァキバキ・ヴァルゾ・・・ここで『血染め』に遭遇するとは。」
厨二男の表情には余裕の笑みがなくなり、私を嬲っていた時と違いどこか焦りを感じているようだった。
額から汗を流しながら落とした剣を拾い上げる。
「魔王いるところにワタシ有り・・・当然じゃない?」
「っち!聞いてねえぞ・・・まあいい。」
男は再びスマート携帯型の端末を取り出し私と同じようにヴランに向ける。
「レベルは38?俺より下?・・・だが、いけるか・・・?」
厨二男は汗を拭いながらもヴランから一定の距離を置き、剣を構える。
「あら?そんなおもちゃで私の本当の実力は計れないわよ?」
ヴランは鼻で笑いながら息をゆっくりと吸い込んだ。
「『フー・カバカラサ・ブールキャロ』」
聞いたことが言語・・・おそらく呪文だろうか、それを唱えた途端ヴランの口から青い炎が吹かれた。
炎は厨二男を飲み込みながら周囲を焼き、冷感を感じさせる火の色とは裏腹に襲い来る熱風からそれがかなり
高温というのが分かった。
「っち!!炎か!!『『聖法壁LV2』」
厨二男は吹かれる炎の中で剣の先端を正面に向け、体を隠すほど大きな魔法陣型のバリアを展開し身を守った。
「僕は新生英雄達の聖騎士『閃光のランサー』・・・ここで死ぬ男ではない!」
炎が晴れた瞬間、ヴランに高速で接近し斬撃を連続して繰り出す。
しかし、ヴランは分かっていたようにひらりひらりと躱す。
素人の私の目から見ても厨二男の剣技は悔しながら見事なものではあったが、何故かヴランは次々と繰り出す
攻撃を華麗に避けていく。
「『見切り』か!?それも高レベルの・・・だったら!」
再び厨二男は距離を置き左手をかざす。
「敵前方向に展開!『光の弓矢LV1』!!」
無数の光の矢がヴランの周りを囲う。
「なるほど・・・でもね。」
すべての矢が一斉にブランに襲いかかるが、彼の肉体には刺さらず金属のような音を立てながら
光の矢は力なく地面に落ち消失する。
「私に『アイ』程度の攻撃はマッサージにも満たないわ。」
そうか、あの厨二男の服ようにヴランの肉体にも似たような能力を持っているのか。
厨二男は本日三回目の舌打ちをする。
「っち!!」
「貴方は聖騎士、聖法者じゃないから、攻撃聖法は不得意のようね?」
厨二男は再び剣を構え叫ぶ。
「俺はいずれ勇者になる男!多くの同胞を殺した『血染め』のお前にやられるほどの男ではない!!」
「貴方が?勇者なる?・・・フフ」
ヴランは煽るように笑う。
「な、なにがおかしい?!」
「貴方は勇者にはなれないわ・・・絶対にね。」
「なんだと!!?」
厨二男の顔は怒りに染まる。
「魔族の!お前が!勇者を!語るな!!」
「フフ、ワタシほど勇者に詳しい人はいないわ。貴方はただの偽善者・・・勇者とは程遠い存在よ。」
「僕が偽善だと?そんなわけない!僕は人類救済のために多くの魔人を葬った!僕こそ勇者の称号を得るのにふさわしい!」
「ノンノン!勇者を目指している時点でアウト。あなたはただプライドが高い殺戮者よ。」
「我慢ならんぞ!お前に勇者のなにがわかる!!!」
攻撃しようとヴランに接近し斬撃を繰り出すが・・・。
「『レゾナス・エンデラズ・ルド』」
両腕に展開した青い爪が付いた赤黒いガントレットでその斬撃を弾く。
「っく!!」
「今度はこちらから行くわよ?」
「させるか!『聖法壁LV2』!!」
厨二男が再び魔法陣型のバリアを張るが、ヴランはそのまま魔法陣ごと爪で二回に分けて切り裂いた。
最初の切り裂きでバリアを破り、次の切り裂きで彼に顔から腰まで続く深い傷を与えた。
「ああああああああ!!!!」
激痛で厨二男は叫ぶ。
「服の効果はなくなったわね・・・さて。」
さらに追撃するようにヴランは苦しむ厨二男の髪を鷲掴みにし、腹部に膝蹴りを食らわせると
そのままの流れで男の肋に拳を打ち込んだ。
一回二回三回。
バキ!ッバキ!と痛々しい音を立てながら、5回目で打ち込むのをやめ、そのまま道路の方へ投げ飛ばす。
厨二男は力なく、コンクリートの上に叩きつけられ、血反吐を吐く。
白かった聖装は無残に切り刻まれ、傷と口から出ている血液によって真っ赤に染まっていた。
私を殺しかけた男だが、今の姿を見ると少し可哀想に思えてくるほどだ。
「がっ・・・ごぉ・・・なぜぇ。」
何故・・・多分あの男が聞きたいのは「何故物理攻撃が効いたのか」だろう。
私もきになる。
「この爪はね特殊なのよ・・・。」
そ、そうか、特殊なのか・・・。
ヴランが両手に装着しているものを自慢するように厨二男に見せる。
厨二男はそれを見た瞬間、真っ青になる。
「な・・・なぜ、お前が持って。」
厨二男はそれが何か知っていたようだった。
そして、それから逃げるよに、剣を松葉杖にしながら無理りやり体を起こし、その場を立ち去ろうとするが
「め!逃げようなんてダメよ。」
行く手をヴランが塞ぐ。
「どけ・・・・!、俺を・・・殺してみろ!仲間が・・・絶対に、お前らを探し出して皆殺しにする!!」
男は血反吐を吐きながら、ヴランに訴えかけるが。
「フフ、望むところよ。」
意味がないようだった。
「っくっそぉぉおおおおおおお!!」
厨二男は叫びながら抵抗しようと剣を構えるが・・・ヴランの『爪』によって両腕は綺麗に斬り飛ばされる。
「あああああああああああああ!!」
「貴方はレナージュ様を殺そうとした・・・その罪はとてーも重いことなのよ?」
激痛で跪いた厨二男の目線に合わせるようにヴランは体制を低くし、そっと相手の口に付いた血を拭う。
そしてそのまま顎を撫でクイッと顔を持ち上げると・・・。
「その罪、もちろん償ってくれるわよね?」
「や・・・あ・・・。」
「『ヴットゥ・エンデラ・ファダガー・ダウ!!』」
厨二男の声がしなくなった。
次回説明会の予定!