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幼馴染の厨二設定は実在していた!?  作者: ワタリイセ
第1章:幼馴染魔王『レナージュ』
1/4

1 幼馴染は魔王で厨二病患者だ。しかし・・・。 前編

 私の幼馴染「紅林レナ」はいわゆる()()()というやつだ。

自分の事を魔王族の生き残りにして次期魔王「レナージュ」と名乗り。私の事を(しもべ)の人狼族「リョーコ」と勝手に呼ぶ。

なんでも私の鋭い目つきと男勝りの運動神経から「狼っぽい」ということで勝手に人狼族という設定を付けられた。

小さい頃は普通の女の子であったレナは『()()()()()()』をよく私としていた影響か、学年が上がって行くたびに持ち前の妄想力が膨大して行き、自分でオリジナル異世界物の設定集(黒歴史本)を書き始め、偉そうな喋り方、ゴッシックな私服、オリジナル魔法の創作など

もう痛痛しい少女に変わり果ててしまったのだ。

そのせいで、彼女は私しか友達はおらず、人付き合いが苦手・・・というか彼女から他人を避けている始末。

私は彼女の人付き合いを治そうとしたが、彼女曰く「人間は魔族の敵」だと言い一向に治そうとはしない。

幼馴染のそういった厨二病に長年付き合っている訳だがもう少しで私達は高校に上がる。

彼女の将来のために厨二病を治してやりたい。



 月日は二月上旬、卒業が近いこの月でなんとしても厨二病も卒業させたい!

放課後、後ろの席に座る幼馴染に声を掛ける。

レナは相変わらず黒い表紙のノートに何かを書いていた。

暇を見つければこのノートに絵や設定を書き込むのが彼女の日課だ。

そのノートは何回か読んだことがあるが読めば読むほど謎のむず痒さが全身を襲う。


「今日もまた何描いているだ?レナ?」


取り敢えず質問する。


「こら親愛なる(しもべ)リョーコ!私のことは魔王レナージュと呼べと言っているだろ?」


でたー!毎回本名を口にすると厨二ネームを呼べと注意するやつ。


「ハイヨー、レナージュレナージュ。」

「適当に言うなー!」


普通に『レナージュ』って言うの恥ずかしいんだよ。

元ネタは知らんが、よくそんな名前を思いつくものだ。私は戌飼涼子(いぬかいりょうこ)から『リョーコ』と雑に名前を付けられたというのに。


「でよ?一体何描いてるんだ?」

「まぁいい・・・よくぞ聞いてくれた!」


 レナはノートを私の目の前に持ってくる。


そこに描かれていたのは体格の良い怪人だった。丁寧に水性ペンで色が塗ってある。

マッシブ体型で黒をベースに赤黒いトゲトゲした模様

首回りには柔らかそうな灰色の毛皮が巻かれ、顔には青いラインが目に当たる部分に存在し、左右非対で

ツリ上がったそれはどこか悪を感じさせた。

さらに、尻尾は太く長く、足も鳥のような爪先立ちで所々『恐竜』の要素を取り入れており

モンスターというより特撮番組で登場しそうな悪の怪人のような見た目だが、どこか高貴さを感じさせ、

魔王の僕と言っても過言ではないほどの強者の雰囲気を醸し出していた。

イラストの上にはこのキャラクター名前が書かれている。


「あぁ…ブラン・バキバキ・バルゾだっけ?」

「ヴラン・ヴァキバキ・ヴァルゾだ!!」

「いや発音し辛いんだよ!」

「まぁ本来は魔界の言葉を無理矢理日本語で直しているからな

発音しにくい言葉があるのは仕方がないことだ!」

「そうだな魔界語は中学では範囲外だもんね。」

「そういう事!」


 皮肉だよ。レナ・・・。


「んで?そいつ昨日も描いてなかったか?」

「ふふふ、ヴランは私の最初の僕だからな当然だろ?」

「青い炎の魔法を使うリザードマンだっけ?」

「魔法ではない魔導術だ。」

「どっちでもいいだろ・・・。」


ヴラン・ヴァキバキ・ヴァルゾ

種族リザードマン

性別男で 属性炎


 レナ一番のお気に入りオリジナルキャラクターで青い炎を操る魔人・・・らしい。

他にも、老婆魔女、昆虫人間、単眼、獣人、魚人、悪魔、などなど、

いろいろオリキャラがいるはずだが、何回も描くほど執着しているのは、このヴランだけだ。


「ヴランはすごいんだぞ!父上の右腕で十二幹部の一人!それに魔族で唯一()()を撃退に追い込んだそれはもうめちゃ強い僕なのだ!」

「そうか?レナの親父さんって作家だろ?その右腕って事は編集者か何かか?」

「ちょい!現実持ってくんな!あの父さんは本当の父さんではない!私の本当の父さんは魔王なんだ!」

「泣くぞお前の親父さん!!」


 強く生きろ親父さん。おたくの娘さんはただいまファンタジー反抗期です。


いや、それよりも話を切り出さないと。

厨二病を卒業させる話を。


「なぁ・・・そろそろ私は高校生になる・・・絵を描いたり、創作をしたりするのは構わ無いけど・・・、

その、なんだ?その喋り方とか人嫌いは・・・なんとかならないか?」


別に趣味をやめさせるつもりはない。

そこまで私は鬼じゃないし、創作を止めたレナなんてレナじゃない気がする。

でもせめて!せめて人付き合いは将来のことを考えて治させた!


「何を言っているりょーか。これは本来の我の口調。それに人間どもは私の父上を殺した!

そう簡単には許せぬ。」


いや、お前の親父さんは生きてるよ!今たぶん家で頭を抱えながら小説を執筆してるよ!


「それに私は正真正銘の魔王の娘だ。常にそれを誇りに思い、胸を張って過ごさなければならない!」


あー、ダメだー、無理だー。

こんなオープンな厨二病患者は絶対高校に上がると変な子として見られ孤立してしまう。

だめだよそんな事!私とレナは同じ高校に進学するのは決まっているが、進学先で同じクラスになれる

確率は低い。

かの有名な『体育の授業二人組作って攻撃』なんて繰り出されてみろ・・・絶対レナが余ってしまう!

そんな場面を想像するだけで涙が出そうになる。

幼馴染で親友の私がレナにそんな悲しい状況にあって欲しくない!


なんとかしなければ・・・!



「私の前だけでしてほしい。本当のレナは()()()()()()()()()()()()。」

「リョ・・・リョーコ。」


あれ?なぜ顔を赤らめる?

いや待て私・・・一体何を口走った。

いやこのセリフ完全に告白っぽいセリフじゃん!独占欲が強い彼氏みたいな。


「わ、私たちはその、女の子同士だよ?」


あ、素に戻っちまった。


「いや違っ・・・これはなんというか!言葉の綾?というやつで。」

「で・・・でも私・・・リョーコとなら・・・。」


「早まるな!早まるんじゃない!!」


まずいまずい、このままだとカップル成立だ。

というか周りがニヤニヤしながらこっちを見ている。


「見せもんじゃねーぞ!行くぞレナ!」

「あ、まってリョーコ!」


とりあえずカバンを持って逃げるように教室から出ようとする。

レナも荷物をまとめて私のあとを追う。


「っ!」


しかし突然レナが頭を押さえその場に座り込む。


「大丈夫か!?もしかしていつものか?」

「・・・うん。」


レナはたまに、頭痛に襲われる事があある。最初は偏頭痛か何かだと思ったが、すぐ治るので

そう重要視はしていなかったが、ここ一週間、頭痛を起こす頻度が増え、体調不良で早退することが多くなった。

私は「病院に行こう」と言っているが、レナはなぜか行くことを拒否する。


「ふふふ、私の内に秘めている力が強まったか。」


まぁ、こういう風に体調不良を自分の厨二設定に当てはめて、なんともない感じに演じているが、

日に日に顔色が悪くなっているのは明らかだった。


「ハイハイ暴走暴走エヴァエヴァ。保健室行った方が良いんじゃないか?」

「大丈夫、いつものことだ。」


いや、大丈夫じゃない。厨二病も心配だが、身体の異変がもっと心配だ。

そろそろ強引でも病院に連れて行くべきか・・・。

私は肩を貸してレナを立たせる。


「いや、病院に行くべきだ。」

「大丈夫と言っている。誰が人間の医者に見せるか。」

「おいおい、いい加減厨二はやめろ。今日は流石に無理矢理でも連れて行くぞ。」

「・・・・・・。」


私はレナの手を強く引き、近くの病院に向かった。







「大丈夫だと言っているのに。」


そうボヤきながら私の隣を歩くレナ。


「こっちの身にもなってみろ、親友がいつも苦しんでいるんだ、心配するだろ?」

「・・・・・リョーコは優しいね。」

「バカ、当然だろ。レナは・・・その、なんだ・・・大切な親友だし。」


 恥ずかしながら私は目つきが生まれつき悪く、男のような性格のため友達は片手で数えるほどしか

居なかった。

故に私は数少ない友達を大切にしたいという想いがある。

中でも小さい頃からずっと側に居てくれたレナは私にとって一番大切な人だった。


「はは、私もだよリョーコ・・・リョーコはなんやかんや言いながら私に付き合ってくれるし。リョーコほどの友達はこの先に現れないだろう。」

「そうだな、お前の厨二病の相手は私だけで十分だ。」

「なっ!?厨二ちゃうし。」

「いや、厨二だろ、完全に!」

「ちゃうし!!」


そんなたわいない会話をしながら歩いているとふと違和感に気付く。

交通量の多い道路の側を歩いているのに車が一台も走行していないのだ。

時刻は17時過ぎ、帰宅ラッシュとまではいかないがこの時間帯は車が多いはずだ。

しかし、あたりは不気味なほどに静かで、まるで人がいない世界に来たような気分だ。

そう考えていると、正面から一人の白ランの男が現れる。

この辺では見かけない、隣町の小中高一貫校『星矢エルミール学園』の制服。

それに同じく男もこの辺では珍しい金髪の白人男性だった。


「そこのキミたち・・・ちょっといいかな?」


白ランの男が突然、私たちに声を掛けた。

私たちに星学の知り合いなんていないはず・・・突然のことに警戒しながらも質問に答える。


「すみません。私たち行くところが・・・。」

(ぼく)は新生英雄達の中級聖騎士『閃光のランサー』」・・・神に選ばれた戦士さ」



はい?



いや、よくわからん厨二単語が出てきたぞ。

・・・まさかこいつも厨二病か!?


「なに!?聖騎士だと!?」

「そうだ、君が魔王の娘だという噂を小耳に挟んでね。会いに来た。」


確定。

レナとお同じ厨二病患者だ。

やめろやめろ、厨二くさいセリフを並べてレナを煽るな!彼女はもう少して高校に上がるんだ!いずれ卒業するんだ!

ってレナがすっごい良い顔している!?。

あぁ!やめろー!これ以上彼女を刺激しないでくれ!


「で、実際どうなんだい?」

「わ・・・私たち病院に行かなけれ「うむ、確かに私が魔王の娘にして次期魔王『レナージュ』様だ!」


あー、乗っちゃったよ!言っちゃったよ!

まぁ、仕方ないよね!今まで私以外にこう言った話が通じる相手がいなかったもんね!

同類が現れて嬉しんだろうねレナ!


「へぇ、本当だったんだ。だったら」


そう言うと厨二病男がどこからともなく、派手な装飾の西洋刀剣を取り出してレナに向ける。


「うぉおお!?なんだそのかっけー剣!!すげぇえええ!!」


レナ・・・キャラ崩壊してるぞ。

まぁ確かに、ああいう西洋の剣ぼ模造刀をもっている人ってなかなかいないからね

興奮するのは仕方がないと思うが・・・。

ていうか模造刀を持ち歩くなよ。


「ちょっと近くで見せて!」

「ってレナ!?」


おいおいおい、変な人に近づくなって!

私は、急いでレナのあとを追うが・・・。




ザクッ




は?ザクッ?

というか・・・。



なんでレナの背中から刃が生えてるんだ?



「・・・・・・!」



いや、生えているんじゃなくて・・・刺されてる?

は?え?



男は剣を引き抜くと、レナを雑に蹴り飛ばす。

一瞬何が起きたかわからなかった。

刺されたのか?レナが?。


「お・・・お前・・・レナに・・・何を。」


声が途切れ途切れになる・・・それほどに私は動揺していた。


「何って、魔王退治だよ。」


魔王退治って・・・確かにレナは魔王って名乗ったけど。

それは演技であって実際は違う。


「はぁ?に言ってんだ・・・レナは魔王なんかじゃねえぞ。」

「いいや!魔王・・・と言うよりは魔王族だ。その証拠に見たまえ。」


厨二男は硬いコンクリートの上に倒れているレナを指差す。


・・・なんだあれ?


目を疑う光景がそこにあった。

刺された箇所であろう胸の傷口から赤い光が漏れており、その光は強く、天高くまで光の柱が立つほど

だった。

現実味のない、不可思議な現象。

何故人体から光が出る?


そしてその赤い光を見ていると不思議な気持ちになった。

胸が高まった。

力が湧いた。

まて、意味がわからなすぎる・・・。

レナは刺されたんだ、普通は怒りや悲しみの感情が先に来るはず・・・。

なのに、私は・・・レナの体内から放たれている光を見て・・・

興奮している。

高揚している。


「気色悪い光だ・・・さすがに、心臓を貫いただけでは死なないか」


確かに傷口は右寄り心臓がある位置にあったが、レナは胸を押さえながら苦しんでいる様子だった。

安心するべき所だろうが、レナの状態を考えると、混乱する。

心臓を貫かれた人間が血を流さずに、息をしていることは絶対にありえないことだ。


「ほぉ・・・お前。」


困惑している私に厨二男が声をかけた。


「ただの人間だと思っていたが・・・そうかそうか、貴様も魔族だったか。」


は?また意味がわからないを。


「何を言ってんだ・・・。んなわけねーだろ!それより警察に。」

「その手と、耳はなんだね?」


何を言って・・・。

私は自分の両手を見た。


なんだ・・・これ。


両手は銀色の毛に覆われていた。

手のひらには肉球があり、爪は硬く鋭く伸びている。

そう、まるで狼の前足のように・・・。


急いで手鏡を鞄から取り出し、自分の顔も見る。

頬も毛に覆われ、茶髪だった髪も毛と同じ銀色に染まり、耳は犬耳のように変化していた。


その姿は正に人狼だった・・・。


「人狼族・・・滅んだと思っていたが、生き残りがこんな辺鄙な町にいたのか。」


人狼族・・・その単語に反応する。

確かに、私はレナに『人狼族のリョーコ』なんて呼ばれている。

それはあくまでもレナが勝手につけた厨二設定であって、実際は違う。いや絶対に違う。

両親は幼いころ亡くなっているが、両方ともちゃんとした人間のはずだ。

そもそも、この世界は異世界ファンタジーではない、ちゃんとした現実世界。

こんなことが起きていいはずが無い。


なのに・・・。


今、身に起こっているあらゆることが、ファンタジーな現象だ。

私の中にある世界に対する認識が今まさに崩れ始めた。


そして、厨二男が行ったある行動によって、私は不可思議なるもを受け入れるしかなかった。


「『閃光の鎖LV2』」


呪文のようなものを唱えたのだ。

魔法異世界物に良くある、呪文。

そしてその呪文は、私を苦しめ、その現実を無理やり認識させられる。


どこからともなく黄金に輝く魔法陣が現れ、その中から光で構成された鎖が飛び出し私の四肢に巻き付き

動きを封じられてしまう。

それだけではなかった、鎖から電撃のような力が流し込まれ、激痛が走った。


「がぁぁぁぁぁああああ!!」

「魔族には痛いだろ?光の鎖だ・・・お前はそこでおとなしく見ていたまえ。

お前の主人がこの僕、聖騎士『ランサー』によって殺される様を。」


厨二男は地面に倒れているレナの元に行き、レナの胸に剣を突き刺す。


「っ!!」

「『光の聖剣LV3』!!」


そう唱えると同時に、男が持つ剣の刃が黄金に輝き始め、まるで毒を注入しているかのようにレナを苦しめた。


「ああああああああああ!!」


レナの悲痛な叫びがあたりに響き渡る。


「あっはははは!叫べ!苦しめ!!この技は光の属性だ。闇属性の魔王族には猛毒だろ。」


意味がわからない、現実味のない、まるで物語のような状況に、私は混乱するばかり。

そんな状況でも唯一分かっている事があった。


幼馴染は苦しんでおり、それを楽しんでいる男がいる事こと。


私はハッと思い出す。


意味がわからなくても、現実が受け入れられなくても・・・私にはやるべきことがあった。


大切な人(レナ)を救うこと。


何も知らなくていい。

理解しなくてもいい。

考えるのは後だ。


大切な親友を救う。ただそれだけ考えればよかったのだ。


そう気付いた時、体の内側から『()()()』が湧き出た。

その『チカラ』の正体はわからないが、不思議な事に私はそれの使い方が分かっていた。


「レナから離れろぉおおおおおおお!!!」


腕に『チカラ』を込め思いっきり鎖を引っ張った。

すると「バッキン!」という音と共に光の鎖が砕け散り、私の体は自由になった。


「『レゾラス!(現れろ!)


頭に浮かんだ言葉を叫ぶと、私の右手に刀が生成される。

刀身が2mもある黒い骨のような刀。

なぜ、出てきたのか、これが何なのかは知らない・・・どうでもいい。


「レナから離れらこのクソ厨二金髪!!!!」


私は全力で駆け出し、男に向けて刀を振るった。


「っち・・・なんだい悪あがきかい?」


男はレナから剣を抜き、私の攻撃を避ける。

そして距離を置くとポケットからスマート携帯型の機械を取り出し、私に向けた。


「・・・・っははは!君に何ができるんだい?レベルがったたの5?ゴブリンやムシ以下じゃないか!

僕のレベルは43・・・実力差は比べるまでもない。」


レベル?


「レベルだかベベルだが知らねーが、かんけーねー!!」


今はただあの厨二男を倒すことだけ全力を注ぐ。

私は刀をひたすら男に振るった。


「でたらめな剣術だ!まるでガキが木の枝を振り回しているようだ!」

「うるせぇ!!!生憎剣術なんて習ったことがない!・・・でもな!」


左手のひらを男の方に向けに内側から溢れ出る『力』を集中させる。

昔レナと遊んだごっこ遊びを思い出す。

きっと何か、『波』みたいなのモノが出せるはずだ。ビームでもいい。


「レナを守れればなんだっていいだ!!」


手の平に赤い光弾のようなものが生成さた、それを男に向かって下手投げで投球し

赤い曲線を描きながら男に当てる。

すると光弾は男に被弾したと同時に爆破を起こし、辺り一面に煙が覆う。


「どうだ!!」


自分で放ってなんだが良くわからない攻撃。

しかし確実にダメージが与えられるほどの爆発を見せた。




「ふん、痛くもかゆくもない・・・」




しかし男は無傷だった。


「な!?」


しかも男は白ランから、金色の十字架が描かれた白いキャソックの様な防具に服装を変えてた。


「この聖装はレベル1の魔法を無力化し、物理攻撃にも耐性がある。お前のような雑魚には傷一つ付けられないよ。」


そんなのありかよ・・・。

レベルといいその防具といい呪文といい、本当にファンタジーゲームのようだ。


「そしてこれが本当の光弾だ!『閃光聖弾LV2』」


厨二男は右手をかざすと私が生成した光弾と比べ物にならないほどの巨大な光弾生成し

弾丸のように飛んでくる。


避けれない。


そう思った瞬間、私の肉体は光弾に飲まれ。

先ほどの光の鎖と同じ・・・いやそれ以上の激痛が私を襲った。


「っがぁぁぁあああ!!」

「っははは、いい悲鳴だ!!!。」


被弾したのに外側からではなく内側から焼かれるような痛み。

今までの人生で味わったことのないほどの激痛。


痛みで、膝をつく。

立てない・・・。


「そうだな!お前、僕のペットになれ。そうしたら生かしてあげるよ。」


こいつは何を言っている。


「なるわけねぇだろ!!!」

「君に選択肢は無い。お前は魔族だ・・・かつてのエルフ奴隷のようにお前は僕の玩具になれ!!」


厨二男が動けない私に向かって顔面に蹴りを入れる。


「あっははは!いいね!いいね!魔族が苦しむ顔・・・すっごい興奮するな!」

「変態が・・・。」


諦めてたまるか。ここで倒れたらレナは意味不明な奴に殺されてしまう。

私は何としてでも立ち上がろうとするが、激痛で力が抜け地面に倒れる。


刀もいつの間にか私のを離れおり、なす術が無かった。


「お前はそこで見ていたまえ、そして感謝しろ。こいつを殺せば、僕は新たな勇者として崇められる。

お前はその立会人になれるのだ、とても光栄なことだろ?」


「んなわけねぇだろ!!お前がやっているのはただの人殺しだ!」

「人殺し?はっはは!こいつは人じゃない!魔王だ!魔王は人類の敵!滅ぶべき存在だ!!

『光の聖剣LV3』!!!」


厨二男は再び呪文を唱えレナの元へ行く。

そして剣を高々に振り上げ、剣を再びレナの胸に突き立てようとする。


「やめろぉおおおおお!!!」


私は声をあげるしかなかった。

結局私は何もできなかった・・・。たった一人の親友を救えないほど私は弱かった。

受け入れなたく無い現実、身体が動か無い私は涙を流すことしか許されていなかった。





誰か、誰でもいい・・・レナを救ってくれ!!








その願いを聞きどけたのか・・・誰かの声が聞こえる。


「『ヲール()ガバラッツバ(咆哮)セイ!(せよ!)トロア!(LV3)』」


突然の咆哮。

獣の鳴き声があたりに轟く。


「っ!」


しかもただの咆哮ではない。

耳を塞いでも脳に直接響くほどの大爆音。

鼓膜が壊れそうな音に私はおもわず耳をふさぐ。

それは厨二男同じこと。


「っぐあああああああああ!!魔呪文語だとぉ!?。」


剣を落とし、耳をふさぐ。


「グラァァァア!!」


掛け声と共に眼の前に一つの影が落ちる。


そこには怪人がいた。


筋肉質で黒い肉体に赤黒い模様が入り、首回りには灰色の高級そうな毛皮・・・。

青く発光する左右非対称のつり上状のラインが私の方をじっと見つめる。




この謎の怪人を私は知っていた。




そこにいたは、レナの創作物。

現実世界では決して存在することがない空想上の人物。


レナのお気に入りのオリジナルキャラクター


「ヴラン・ヴァキバキ・・・ヴァルゾ」



その人・・・いや、その怪人だった。











「よく頑張ったわね。ワタシが来たからもう安心よ☆」









「は?」









ステータス


名前:戌飼涼子(いぬかいりょうこ)

種族:半人狼 銀狼

HP:C MP:D ST:C

レベル5

適正属性:?

武器:???

習得魔導術:魔光弾LV1

イラスト(初期※デザイン)

挿絵(By みてみん)

______________________

ヴラン・ヴァキバキ・ヴァルゾ

種族リザードマン

HP:? MP:? ST:?

レベル:??

スキル:???

武器:???

イラスト(※初期デザイン)

挿絵(By みてみん)

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