部活。
襲い来る眠気と戦いながら午後の授業終了。
欠伸をしながら帰り支度を整える。
「栄斗くーん!部活行こー!」
「おう、今行く」
例のごとくライの呼び出しがかかる。
まあ俺、部活入ってないんだけどね。
*****
「「いーち!にー!さーん!しー!」」
今日も今日とてバド部の素振りを見学させて頂いている。
コートの観客席に座って早1時間。
まあ...暇だよ。
後2時間ぐらいか....モンストでもやってるか....スタミナが無ぇ。
「栄斗くーん!ちょっといーい?」
額に汗を滲ませたライがこちらに走り寄って来る。
「何だ...今日もか?」
「うん...体調不良...だって」
「は~」
この学校の男子バトミントン部、部員が26人いるのだが、1人はいわゆる幽霊部員というヤツで滅多に顔を出さない。
よって、2人ペアを組むとどうしても余りが出るのだ。
「じゃ、ラケット取ってくる」
「うん、待ってるね」
座りすぎて痺れ気味の足を動かし、体育倉庫に向かう。
学校用のラケットを取りにな。授業で使うヤツ。
体育館まではそう遠く無いなので少し駆け足で行く。
「...ライも何でわざわざ俺と組むかなぁ?」
勘違いしないで頂きたいが、ライは溢れたわけじゃ無い。
部のエースってだけあって、ペアを作るときはみんな一斉にライの方に向かって行く。それをわざわざ断ってまで俺の方に来るのだ。
自分は良いからみんなはみんなで練習しろってか?
そりゃバトミントンは上手いわけじゃ無いけどさ...
そんな事をボヤきながら体育倉庫に到着。
「よっと....」
全く...地味に重いんだよなこの扉。
体重をかけて重い扉を開けると、
「......」
「うおぉぉ!?」
目の前に逆さにぶら下がった涼香の顔。
何だよコイツ、コウモリかよ。




