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STEP4 最後の女神 46

 長門の言った一言に相手は激怒して、激しい口調で何か捨て台詞を残して行ってしまったことが、愛美は思い出される。


 どこか嫌な余韻が残った出来事だったが、今回の件とは関わりがないようだ。


 BJのメンバーでないから、長門もこんなに気楽にしていられるのかも知れない。


 BJが事件に関わっていると聞くやいなや、冷静沈着な筈の長門が、綾瀬の制止も聞かずに飛び出していったのだから。



「どうするの?」

 愛美は、コップの牛乳を一口飲んだ。


 長門は、既に飲み終わったビールの缶を、シンクの横に載せた。


 早速、次のプルタブを引きあけながら、

「沖田の奴が、殺さずに捕らえろと言うから。仕方がない」

 と、軽く肩を竦めた。


 その様子から、本当はりたがっていることが分かった。


 そっちの方が楽だし、後腐れもないと思っているのだろうか。

 どちらにしても長門の頭の中にあるのは、出来るだけ面倒なことはしたくないと言うことだけ、だろう。


 長門ならば大丈夫だとも思うが、四六時中命を狙われていることを警戒するのは大変なことではないか。


 これが映画であれば、ライフルでの狙撃なんてこともあるだろう。

 もし相手がライフル使いの天才ならば、遠距離から狙いをつけて長門を撃ち殺すかも知れない。


 それに、二人いれば長門を即死させる必要だってないだろう。


 少しずつ長門の体力を奪って……それには、大変な労力と時間がかかるに違いないが。


 長門は、異様なほどにタフだ。

 怪我をしても、痛みを感じていないようなところがある。無痛症と言う訳ではなさそうだが。


 頭や胸を狙って即死させない限り、四肢をもぎとられたとしても、這ってだって口を使ってでも、反撃をしそうな感じがする。

 ある意味、絶対、敵に回したくはない男だ。


「綾瀬さんと、連絡とれないのよ。大丈夫?」


 愛美は手早く長門に、オフィス自体が消えていて、電話も通じないことを話した。


 電話はともかくとしても、マンションから八階が消えていた事実は解せないものだ。


 しかし、綾瀬が陰陽師であることを忘れてはならない。目眩ましぐらいお手のものだろう。


 都合の悪い相手ならば、今までだってそうやって追い帰していたのかも知れなかった。


 西川が、オフィスを閉めると言っていたのは、きっとそういうことだったに違いない。


 エレベーターを止めたり鍵をかけるより、よほど安全ではないか。


 道具を使えば、エレベーターの扉を開いて、ロッククライミングの要領で八階まで侵入することは可能だろう。

 

 綾瀬がいる時は、綾瀬自身が防犯になっているのかも知れない。

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