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STEP3 Starless 3

 紫苑のところにはないのか、見つからないだけか。

 あったなら、それはどういうことになるのか。


「それでもしあったら、どういうことになるんでしょうね。偶然? それとも、SGAのメンバーに恨みがあるとか。SGA以外にも、こういう〈何でも屋〉ってあるんでしょ。探偵事務所でも、盗聴ぐらいやるところはあるだろうし。どっかが依頼されて、それで調べてるとか」


 愛美は、少し冷めてしまったカフェオレにゆっくりと口をつける。


「それなら、お前の部屋と風呂場につける意味はないだろう」

 綾瀬の次の言葉に、愛美は口に含んだコーヒーを、危うく吹き出しそうになった。


「やるなら、人の出入りをチェックする為に玄関と、溜り場になるリビングに仕掛けるがな。長門だって最初にそこを調べたが、結局見つかったのは脱衣所とお前の部屋だった訳だ」


 綾瀬が隠していたのはそのへんか。


 カメラが仕掛けられていたのが、どこだったとは言わなかった。


 長門は、他人が部屋に上がったらしい気配に異常を感じて、家探しをしたようだ。

 結果、カメラが見つかったという。


 盗聴などの仕掛けが施せないよう、長門があちこちに細工をしていたので、盗聴器を仕掛けられた心配はないようだ。


 巴も、自分の家に細工をしていたために、盗聴器のことも分かったようだ。


 愛美だったら、絶対に気が付かなかっただろう。

 人がいる気配なら分かるが、人がいた気配など、誰かがいたと仮定して初めて気付くぐらいである。


 事件とは無関係に思える自分の家だ。

 荷物をおくために自分の部屋に入ったが、長門が部屋をいじったことにも気付かなかった。


「最近怖い世の中になってますからね。部屋に上がったってことは、鍵も持ってるわけだし。ストカーでも、ひたすら隠れているタイプと、迷惑どころか、犯罪に走る過激なタイプもいるだろうから、一概には言えないし。ストカーじゃなくて、メンバーに恨みがあるってのも嫌ですね。長門さんが、留守じゃな」


 愛美は、よるべない子供のような顔をする。


 死の危険になら何度もさらされた。

 それは、あくまで非日常の中でだ。


 愛美にとって、家は日常の場である。


 家にいてまで安らぐことができないのでは、いつでも不安を抱えていなければならなかった。どこかで線を引かなければ、愛美は立ち行かない。


「家に一人でいるのが怖いなら、東大寺か紫苑のところに行くか?」


 愛美は一瞬、飛びつきたくなった魅力的な意見にも、小さく首を横に振った。


 踏み込んではいけない領分というのはある。

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