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STEP3 Starless 2

 紫苑も東大寺も、それぞれの生活に戻っていき、また日常がやってきた。


 友人宅から昼過ぎに帰ってきた愛美は、テーブルの上に酒瓶の重しをしたメモ書きを見つけた。


 至急、綾瀬のところに行くようにある。


 メモを残したのは長門だろうが、留守だった。

 愛美は仕事だろうかと思いながら、帰ってきたその足で綾瀬のマンションに向かう。


 そして、綾瀬から聞かされたのは。


「小型カメラって、誰がそんなこと?」


 愛美は飲みかけていたカフェオレを、卓上に戻した。


「さあな」

 綾瀬は、いつものようにポーカーフェイスを崩さないため、飄々としてさえ見える。


「巴から、自分の家に盗聴器が仕掛けられたと連絡があったからな。事はややこしいことになりそうだ」


 愛美が朝から買物に出かけたその日の昼、長門は一旦家に戻ってきたようだ。

 そこで、マンションの部屋に仕掛けられた小型の盗撮用のカメラを見つけた。

 

 綾瀬に報告をして、その長門はまた仕事に出かけた。

 愛美へのメモを残して。


「巴君ちに、盗聴」

 愛美は、ただ馬鹿みたいに綾瀬の言葉を繰り返すだけだ。


「まあ、お前が家にいなくて何よりだった。その隙を狙ったとも言えるだろうがな」


 綾瀬は淡々として、どうといったことはないといった調子を崩さないが、そこが曲者だ。

 煙草を薫らせながら綾瀬は、次々と驚くべき事実を告げていく。


「あと、東大寺を狙ったかどうかは分からないが、アパートの郵便箱に盗聴器をつけようとしていた男を追っ払ってやったと、電話をしたら遥ちゃんもそんなことを言っていた」


 もし愛美や巴のところに妙なことが起こらなければ、綾瀬も東大寺に確認するようなことはなかっただろう。

 そうなると東大寺も、まさか自分に関係があるとは思わずに、彼一人の胸にしまわれたままだった筈だ。


「それって、一体、どう言うことになるんですか?」

 愛美は綾瀬の思惑を測りきれずに、ついつい警戒した声音になった。


「お前のところだけなら、ストカーだと片付けるだけで済むんだが、東大寺や巴となるとな」


 綾瀬も、考えるような調子で言った。

 この男なら、答えのカードを持っていてもはぐらかし、手の内は見せないだろう。


「紫苑さんのところは?」


 愛美の正月ボケした頭でも、それぐらいは考えついた。


 巴、東大寺、愛美と長門の暮らすマンションとくれば、後は紫苑のところしかない。


「話しておいたから、探してみると言っていた」


 多分、紫苑に連絡がいったのは、今日の午前中ぐらいのことだろう。

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