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STEP2 皆殺しのJungle 42

「ブラッディジャックって何?」

 愛美は口を開いたはいいが、危うく舌を噛みそうになった。


「殺し屋の組織だ」

 長門はハンドルを捌きながら、言葉を返す。


「俺は、二年ほど前までそこで飼われていた」


 急なコーナリングの為に、愛美は抱きついていたシートから振り払われて、後部座席に転がる。


 愛美は何とか元の態勢にまで戻ると、大きく息をついた。

 胃の中で、コーヒーが波打っている。


『BJには手を出すな』

 いつか綾瀬が言っていた言葉が甦った。


 ずっと心の中で気になっていたからだろう。


 その文字がブラッディジャックの頭文字であることに、愛美はすぐに気が付いた。


「ってことは、元お仲間のやったこと?」

 

 愛美の知らない長門の過去だった。

 SGAにくる前は、長門は殺し屋の組織にいたのだ。多分、それがアメリカ云々という話と繋がるのだろう。


 長門は、小刻みにハンドルを切りながら、

「仲間じゃない。仲間なんかいないさ」

 押し殺したような声で繰り返した。



 日本銀行と国会議事堂と神田駅に爆弾を仕掛けたと警察に連絡があったのは、五時一分前のことだ。

 三ケ所に仕掛けた爆弾は、八時ちょうどに爆発するよう設定されていると、機械音声による録音でそう言った。


 警察はただの悪戯だと思ったようだが、それでも言われた場所に人をやって確認はとった。


 結果、神田駅以外の二ケ所からは、不審な物が発見され、ただちに爆発物処理班が出動する。


 その時には、もう六時近かった。辺りはもちろん暗い。


 綾瀬は、破壊テロという言葉を使った。

 相手の言葉をただ繰り返しただけかも知れないが、厳戒体制が敷かれている様子はない。帰宅ラッシュの時間か、車の量は多い。


 そんな中で曲芸運転のような滅茶苦茶な運転をしていて、警察に目をつけられない方がおかしい。


 長門は、渋滞に引っ掛からないように、せせこましい裏通りなどをうまく選んでいく。


 ふと気が付くと、一台の車が長門の車を追っているようであった。注意を向けるようにクラクションを鳴らされた時、愛美はてっきり覆面パトカーが相手かと思う。


 撒くか、それとも逃げるものと思ったが、長門はバックミラーで運転手を確認したのかして、脇へと車を寄せた。


 後ろに迫っていた車も、同じように道端へと車を寄せる。


 後ろの車の運転手は車を降り、長門も愛美のことなど忘れたように車外へと出た。


 長門は、トランクを開けて何かをしている。

 愛美も車を降りたが、長門にきつく「戻っていろ」と言われる。


 その間も、車の運転手は長門に必死で何か話しかけていた。

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