STEP2 皆殺しのJungle 6
せいぜい芸能記者を気どって、付近の店や住人に話を聞いてみるぐらいだが、何らプラスになるような情報は得られなかった。
もちろん行き当りばったりで、事件に遭遇する訳もない。
もし今回の事件が、第二のマッドドッグによる事件だとすれば、犯行が重ねられるのを手をこまねいて見ているだけで、それこそ五年、十年と事件を追わなければ、物事の本質は分からないのではないか。
マッドドッグの時は、何年にも渡って事件を追いかけていた記者や警察の情報ソースがあった。
だからこそ愛美達は、鷹宮高校の教員三人に的を絞ることができたのだ。
無から有を紡ぎ出すのは、生易しいことではない。
八方塞がりの中、光明は思わぬ所から差してきた。
週刊誌の発売から五日。
つまり愛美が綾瀬から事件について聞かされてから、四日ということになる。昨夜、またしても事件は起こった。
その事実を、愛美はテレビのニュースで知った。
似通った事件は、既に五件にも上るという。
それより前に始まった吸血事件は、その倍以上の被害者が出ていた。
二つの事件ともに、都心に集中している。
異常性溢れる事件だけでなく、ここ暫く前から集団によるリンチや強盗、暴行事件が目に余るものがあった。
以前の依頼された相手のアーティストが暴行を受けたのも、ワイドショーでは、そんな集団にやられたものと見なされたようだ。
それが良かったのか悪かったのか、愛美にはどうとも言えない。
それにしても、世の中は犯罪者の巣窟ではないかと思えてくる。
これだけ事件が起こっていても、出合う確率というのは低いものなのだ。
やはり、宝クジで当たるのと同じぐらいの確率なのかも知れない。一体東京の人口が千何百万人いると思っているのか。
そんな中でマッドドッグや吸血鬼、その他の事件に巻き込まれる人間の数など、微々たるものなのだ。
数字となった人の死とは、本当にちっぽけに見える。被害にあった人間にとっては、大きな問題だろうが。
明日も学校があるので、あまり遅くまで出歩いている訳にはいかなかった。
無駄足のまま家に戻って、早速一風呂浴びると、もう一時前だ。
脱衣所にいた愛美は、まだ下着姿であった。
愛美は突然扉を開けられて、思わずヒャッと叫んで、パジャマを胸に押し当てる。
人が入ってるか確かめてから扉は開けろと文句を言う前に、愛美も一々施錠に気を付ければいいだけのことなのだ。
長門はもう上半身裸で、ズカズカと脱衣場に入ってくる。




