STEP2 皆殺しのJungle 3
「これは……」
愛美は、思わず絶句した。
見出しの文字が、目の中一杯に広がる。
〈マッドドッグの恐怖再び?〉
一旦途切れたかに見えたマッドドッグの、十年からになる凶行が、再び繰り返されようとしているのか。
記事はそう前置きして、マッドドッグと警察内で呼ばれていた事件の概要へと移っていく。
「長谷部の次のマッドドッグが、既に動き始めたってこと?」
呪われた一族。
そんなものが、まだこの現代にも残っている。
犬神に呪いをかけられた村に生を受けた長谷部実という男は、その身を呪いに侵され、徐々に人から犬へと変わっていった。
人、人、人で溢れたこの街の雑踏の中には、長谷部のような者が案外何食わぬ顔をして、紛れ込んでいるのかもしれない。
誰にも知られていないだけのことなのだ。
愛美や東大寺、長門といったSGAのメンバーが、そんな闇の中の存在だということと同じだった。
日常を生きる人々が、決して見ることのない世界で、愛美は生きている。
日常と非日常の狭間を行き来しながら。
そうだ。
あれからもう、ちょうど一年になる。
マッドドッグとなって、人を食い殺していた長谷部を愛美が殺したのは……。
依頼を受けた愛美が、この手で殺したのだ。まだ、忘れた訳ではない。
「その記事は、今週出たばかりのものだ。こちらとしても詳しいことは何一つ掴めていない。そうそう呪いが色濃く出るものでもないが、長谷部の血縁者、弟、もしくは妹という可能性は拭い切れないからな。吸血鬼の件については、巴がかなりいい線まで調べをつけているから、潰すのはそっちの方が楽だろう」
綾瀬は、愛美の持っている雑誌を指を伸ばして数ページ繰って、お目当てのページを広げて見せる。
〈現代に甦る吸血鬼か?〉
少し前からチラホラと名前を聞くようになった事件は、ワイドショーでもとり上げられて、怪奇性が評判になっていた。
愛美は、ザキという少年のお守りからようやく解放されたと思ったら、今度は期末試験が目前に迫っていて、本当に人事どころではなかったのだ。
あの大馬鹿教師の野郎は、生物の授業ばかりが欠席になっていた愛美が、期末で八十点を切ったら補習を受けさせると言った。
愛美は三年では、文系を選択するのだから、本来理科科目など不必要だ。
二年のカリキュラムで生物、化学、物理の一つを選べと言われたら、それは生物をとるのが人情というものだろう?
生物受講クラスの最高点が九十点に満たず、平均点が五十点代後半。




