STEP1 Frozen Flare 1
Frozen Flare
作詞 ZAKI 作曲 SIVA 編曲 UMIHARU
凍った焔抱いて 夜の悪夢走りぬける
誰かの足音 扉を叩く 苛むように
檻のなかの囚われ人
枷のしたの祈りは 重みに耐えきれず
砂になる 吐息もすべて
終わりのない話をしよう
醒めない夢をみよう
翼のもがれた君が流す
赤い涙が この指をそめていく
悲鳴は静寂を破り
明日の数だけ 散っていく花弁たち
蔑みは傷痕よりも深く
この胸に悔いを打つ
凍った焔抱いて 夜の悪夢走りぬける
追っているのか 追われているのか
それすらも……
ピンで止められた蝶
最後のあがきのように 撒き散らす鱗粉の
輝きに 息が詰まる
終わりのない話をしよう
醒めない夢をみよう
砂漠に埋もれた指輪の
銀の叫びが 過去を儚んでいる
淋しさは深く沈み
果てのない雪となり 大地を飾る
膿ゆく嘆きは弔いに似て
瞳から光を奪う
凍った焔抱いて 夜の悪夢走りぬける
いつまでも どこまでも
いつまでも どこまでも
いつまでも どこまでも
朝がくるまで
STEP1 Frozen Flare
いつだって、アイツばかりがいい思いをしている。
アイツがいる所為で、オレの居場所がない。
アイツなんか、いなくなればいい。
アイツが死ねばいいんだ。そうすれば、オレだって……。
アイツがみんな悪いんだ。
アイツなんか。アイツなんか。アイツさえ。
都内。某ライブハウス。pm 4:35
ライブハウスは、いいところ三百人が入るだけで精一杯のものだ。
客が入りライブが始まれば熱気でむせるようなその空間は、今は閑散としたものだった。
ロックバンド、Frozen Flareのメンバーと、スタッフ十人ばかりが詰めている。
新曲のプロモーションとして、イベントライブの開催の決定を受けての、リハーサル風景だ。
ライブでは、インディーズ時代の数曲と、新曲を発表することになっていた。
――凍った焔抱いて 夜の悪夢走り抜ける
CDの音源を、会場内には流してあった。
ボーカルのザキはマイクの前に立つでもなく、舞台の上を行ったり来たりしているだけだ。
イラついているのが、その足どりからも分かる。
ライは下を向いて、ギターの弦を無気力そうにただいじっている。ウミハルとシヴァは、舞台の端で顔を突き合わせて話をしていた。
時々ウミハルの顔に笑みが広がることからも、会話は雑談に過ぎないのだろう。
ヨータ一人が、曲に合わせてドラムを派手に叩いていた。