神を断つ
神の襲撃がアナウンスにより勧告されて、しばらくが立ったが、いまだにけたたましいサイレント、冷めたアナウンスは続く。
「なあ、大丈夫? 」
アマルトは心配そうに言葉を紡ぐ
「ええ、戦況はこっちが有利よ」
エナは静かにそう言う
「そうか、なら良いけど……」
こんなやり取りを何度か続けて、時間は過ぎる
突然
エナはアマルトを抱えその場を飛び退く。
「ギヒ、当タラ無かったYOぉ~」
ノイズの様な声が二人の脳に染み渡る。
「あなたは……!? 」
エナはこれまでにない険しい顔で、全身に包帯のような物を巻き顔が見えない、男とも女ともつかない人の形をした存在を睨みつける
「ハハあ、SOんな怖イ顔しないデ、僕は泣いチゃうよ、自己紹介がまだだったNE、俺はナイトメア……YOロシくね」
ナイトメアは表情の見えない顔と声で挨拶をしてくる。
エナは無言で赤い灼い炎『嚇炎の赤灼』をナイトメアに浴びせかける。
「GYAAAあAA!!!! あつイ!! アツい!! 熱いヨぉ!!! あRE? 熱くナいよ? 」
ナイトメアは奇っ怪な動きをし、混乱する
『嚇炎の赤灼』は思い込みの炎、その力はライターの火にも劣るが、それは地獄の劫火をも越えたと錯覚され、身が焼けると錯覚する。そしてその錯覚からは逃れられない。
エナは錆びた両柄の剣『aspis:intericere』で切りつける。
「Aギャアああアア!! ……キくと思っTA? 残念でシたァ~」
ナイトメアは自身の大きく裂けた傷口から腐食した肉のような液体を滲み出させる
「あRE? クッツかない? どおシて? 」
ナイトメアは首を180°傾げる。
『aspis:intericere』あらゆる守りを切り裂き、その傷は決して癒せない。
そんあこと知る由もないナイトメアは腐食した肉のような液体を大量に分泌させる。
「これでおしまい」
エナは『aspis:intericere』を用いいてナイトメアを超高速でミキサーみたいに切り刻む。
ナイトメアは汚い水溜りになった。
「アはハはハ、フフフフフふフフッフフ、コうSUれば、いいんだね」
液状のナイトメアら大量の煙が出る。
そして、ごく少量になったナイトメアの水溜りが、泡立ち急激に膨張する。
「きズぐちを無くシTEしまえば、ナオるんだよね? 」
巨大な不定形の腐肉とかしたナイトメアはその身を震わせ、汚汁をビチャビチャとまき散らしながら、言葉を放つ。
「トってMO、きもちヨカッタヨ、オれいニ殺してAゲル」
触覚以外の五感に対する冒涜的なまでの刺激を吹き荒らさせ、エナとアマルトにその巨体を迫らせる。
「グッ……」
エナは目の前に防壁を展開させる
しかしナイトメアは横に這う
エナは隙間なく防壁を展開させる。
「無駄DAよ」
ナイトメアに触れている防壁から煙が吹き出す
「ほら、ドんドん腐ってイRUよ」
ナイトメアの己の身を含めた全てを腐敗させる『神の力』である『腐犯の屍躯体』にエナの防護壁はゆっくりと確実に腐っていく。
「く……このままでは! 」
エナは、戦うことも、逃げることも、何もできない状況に舌打ちしかできなかった。
「エナ……賭けてくれ……僕の『人の技』に」
アマルトは静かにしっかりとそう言う
何言ってんだ!?
そう言おうとエナは思ったが
このままではすぐに、あの腐肉の一部になってしまうくらいなら……
エナはそう考え
「ええ、賭けます」
エナは頷く
「じゃあ、123と言って3と言った直後防護壁を解除してくれ」
アマルトは自信満々にそう言う
「……ええ」
エナは腹をくくり、自分の命がコインの賭けに頷く
アマルトは集中する、己の『精霊』としての存在に語りかける
今ならできる
今ならできる
自身の力を形作る
「オわりだよ!! 」
ナイトメアが声ともつかない声でそう叫んだ瞬間
エナの防護壁が限界寸前の時
「1……2……3! 」
アマルトが静かに叫ぶように合図する。
エナの防護壁が消える
二人に死の腐肉が迫る
しかしアマルトの光り輝く剣が腐肉を切り払うと
赤と緑と白と黒のカラフルな肉の海が、光る雲になっていった。
「そんな……馬鹿な……!? 」
ひどく痩せた全裸の少女となったナイトメアは腹から臓物と血を出しながら少女らしい声を出し倒れる。
ナイトメアの血がアマルトの靴を汚す前に、その全てが光となり消えてしまった。




