人の階級
初めての方、そうでない方もこんばんわ!
この話から、やっと冒険にでます
なにぶん初めてのことで、表現が幼稚だったりして情景が想像しにくいところもあるかもしれませんが、どうか最後まで読んでいただければ幸いです^^
では、お人よしのオオカミさん、新しい章をお楽しみ下さい
~in 馬車~
白銀の森を出て、俺達は直ぐに通りかかった馬車を捕まえて、アルセが言う村に向かおうとしていた。
馬車……といっても、馬が引っ張っているのではない。
だから、実際は馬車といっていいのか、少し迷う。
俺達が乗っている荷台を引いている生き物は、”小龍”という、種族らしい。
トカゲのような姿で、発達した足が特徴の生き物だ。
飛ぶことをしなくなった彼らは、羽は小さく縮み、代わりに全体重を支え、早く行動するために発達した足は、人や荷物が入った荷台をも、簡単に引くことが出来る。
まぁ、”龍族”と決定的に違うのは、争いを好まいということらしい。
さっきから、「らしい」を連発しているのは、俺が知っていたのではなくて、隣にいる少女、アルセが教えてくれているからだ。
目つきは厳しく、怒っているように見えるが内心は可愛いもので、天真爛漫の女の子だ。
馬車に揺られて上下に揺れる胸や、さらさらと流れる様に揺れる銀髪は彼女の魅力を引き立てている。
しかし、ただの女の子ではなく、”天狼族”……自在に狼の姿になったり、人間の姿になることができ、許容している力や魔力も普通の種族よりも、一頭抜けた種族だ。
フェンー天狼族の王ーが俺に力を与えてくれた時から、いろいろとお世話になっている。
俺は見るもの見るものが珍しく、ほとんどのことをアルセに聞いている。
そんな細かいことにも、いやな顔をせずに教えてくれるアルセはやっぱり、優しい女の子だと思う。
「なんだい、そんなに外の景色がめずらしいのかい?」
と馬車を、操縦してくれている初老の男の方が言う。
「そうですね、こっちに来たのは初めてなので、見るものが珍しくてっ」
自分でも少しテンションが上がっているのが分かる。
「そうかい、それじゃぁ、ゆっくり行こうかね」
そう言って、馬車の速度を少し落としてくれる。
「すみません、ありがとうございます!」
緑豊かな草原に、鬱蒼と生い茂る森。
誰も住まず荒れ果てた荒野に、人が居てがやがやと盛り上がる街。
そんな、初めて見る景色は、ゆっくり……ゆっくりと過ぎていった。
~廃れた街”ポアー”~
目的地に着くと、乗せてくれたおじいさんに別れを告げて、ひとまずこの町の宿屋を探していた。
「おっとっ!?」
何かに躓いた。
木片だ。
しかし、転がっている木片はこれだけではない。
所々に、大きいものや小さいものまで、転がっている。
というのも、この町が……言っては悪いが、ボロイのだ。
この町に入るとき、町を表す看板も斜めにかかっており、強い風に吹かれれば直ぐに落ちてしまいそうだった。
家々は、所々煤けており、穴が開いていたり、屋根が無い家まである。
そして、全くといっていいほど人気が無い。
「アルセ、この村は?」
隣に歩くアルセに話しかける。
「ここはね、世界で一番階級が低い村なの」
「階級?」
「そう、人型種族の中では階級みたいなのがあってね?ここは、一番低い種族……人間が住む町だよ?」
「は!?」
人間が弱い?
「人間だった司狼には、少しつらい町だよね……」
そういって、表情を曇らせた。
「人間はね?力も弱いし、魔力も使えない。時々異例で魔力を持って生まれて来る子もいるけど、大体は人間だからと迫害されるの。力が欲しいなら、力が強い種族を使えばいい。魔法が欲しいときは、魔法が強い種族を使えばいい。この世界では、そんな考え方が当たり前なの」
なんだよそりゃ……。使えないやつは引っ込んでろってことか?
そう思った途端に、血管が熱く滾る。
息が荒くなり。
血液もいつもより、流れが速くなり、全身に熱い血液が循環する。
「……」
「だから、何事にも劣っていると思われている人間は、結果的に最悪の階級になってしまうの……。司狼?」
俺の様子がおかしかったのだろうか。
話をやめて、呼びかけてきた。
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗きこんでくる。
「ごめん、少し待って……」
胸に手を当て、落ち着こうと目を閉じる。
落ち着け、落ち着け。
そうすると、熱かった血液もだんだんと冷めてくる。
大丈夫だ、問題ない。
一瞬知らないお兄さんが瞼の裏に見えたが、気にしないことにした。
「大丈夫っ。心配ないよ」
そういって、アルセに笑顔を見せる。
「本当に?」
「大丈夫だって、さすがにショックだったけど、大丈夫」
ニカっと笑って見せると、アルセは柔らかい笑みを浮かべた。
急にそんな顔をされたのでドキッとして、話題転換をすることにした。
「それにしても、この村には何しに来たの?」
「あれ?まだ言ってなかったけ?」
「言ってないよ……」
またか……。
ハァとアルセに聞こえるほど、わざとらしくため息をつく。
「あれぇ?アハハ……。馬車の中でしゃべったと思うのにな」
最後の方は下を向いて、ぼそぼそとしゃべっていた。
「お~ま~え~は~、また用件をっ!」
罰として、こめかみに拳を当てぐりぐりと捻じ込む。
「いたいっ、いたいっ、いたいっ」
いやいやと振りほどこうするが、俺の方が力は強いらしい。
がっちりホールドして、逃げられないようにする。
「ちゃんと、用件を言ってから、行動してな」
あまりやりすぎるのも、可哀想なので離してやる。
「あぅ~」
涙目でこめかみを押さえて、可愛く唸る。
「くすんっ。とりあえず、立ち話もなんだし宿に行こう?」
「それもそうだな」
これだけ騒いでいて、まだ人を見ていないというのも少し気になるが、とりあえずこの村に来た理由を聞くために俺達は宿屋に移動した。
隣を歩くアルセが
「あの力はいったい?」
そうつぶやくアルセの声はよく聞こえなかった。
ここまで読んでくださった方ありがとうございます^^
この小説も、PVが2300
ユニークが550と、嬉しい結果になっています
パソコンの前で、本当にありがたいです
これからもがんばっていくのでよろしくおねがいします
話に戻すと、司狼君
実はまだ、秘密があります
この章でその秘密も明かされるでしょう!
例のごとく、誤字脱字があれば訂正します
遠慮せずに申し立ててください
よろしくおねがいします!