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お人よしのオオカミさん  作者: ふちか
森の中の一騒動
5/25

譲れないもの

ここでいろいろ説明します

まぁ、いろんなことが分かります

だから、どうか飽きずに読んであげてくださいw

あれから、フェンの娘さんーーアルセーーは持ってきた薬草を煎じてくれてのませてくれた。

そして、現在この世界についていろいろなことを話してもらっている。

話し方は、アルセは敬語だけど俺はいつも通りに話してる。

「……。ここまで、よろしいでしょうか?」

「うん、大体わかった」

とりあえず、最初にいた場所……フェンのところまで戻って二人して、座って話している。

ちょこんと俺の前に座る、アルセはかなり可愛かった。

なんていうの?

小動物?

そんな感じ。

あと、服は着てもらった。

まぁ、俺の上着を羽織ッてるだけだけど、さっきよりかはまし。

まともに見れなかったもん。

まぁ、それはおいおい置いといて。

アルセはいろいろ話してくれた。

まずこの世界の名前。

『クラシーブ』

というらしい。

話を聞く限り、俺のいた世界とは圧倒的に違っている。

さっきのキノコ然り、種族も人間もいるにはいるが、エルフや魔族、竜人族に獣人族、そして……フェン達”天狼族”。

天狼族は、種族の中でもかなり、ランクが高いらしく。

あるところでは畏れられ、あるところでは崇められている種族らしい。

そして、この場所。

『白銀の森』

といい、代々、天狼族が守護しており、緑が豊か。

また他の種族に荒らされたこともない神聖な森らしい。

それを語っているアルセの顔はどこか誇らしげだった。


ー豊かだから、危険な魔物もたくさんいますよ?

といわれたときに、「俺、遭遇したことないけど?」と聞いたら、

「今は私が周りを警戒してますから、それに父の骸もありますし。それと、逃げる……時には、魔物がいない道を選んでいましたから」

そう語る彼女の顔は少し赤かった。

そうか、この親子に守られているのかと安心させられたこともあった。


そして、まだ話は続いている。

「そして、本題の、”なぜあなたに力を授けるにいたった理由”……。それは、父がこの世界のことが好きだったからです」

黙って聞く。

「父は言っていました。『我はこの世界が気に入っている。だから、我は守りたいのだこの世界を……』と。もう、自分の力が世界を救うことが出来ないのがいやだったのでしょう……。自分の志を受け継いでくれる方を最後に探していたのです」

「それが……俺?」

「はい、司狼さん。父は最期に魔力を振り絞り、異次元からあなたを手繰り寄せたのです」

フェンが俺のことを呼び寄せた理由。

”世界を守りたいから”

どうして、あの人はそこまでかっこいいのだろうか。

俺は、フェンの志を深く心に刻んだ。

だけど、理由はそれだけではないだろう。

おそらく俺の目の前にいる人。

アルセ……。

フェンの娘。

娘を一人置いて、逝きたくなかったのだろう。

それほど、心配だったのだ。

だから、俺を呼んだ。

おそらく、理由はもっとある。

だけど、それは知らなくていい。

この二つだけで十分だ。


「そして、父を殺した種族は……龍族……」

彼女は抑揚のない声でつぶやいた。

今までの彼女からは想像できない冷たい声・

「龍……族?」

「はい、この世界には先ほど申した通りいろいろな種族がいます。そのなかでも、一際、凶暴、荒くれ者が多いことで有名な龍族。龍族には、自己中心的な考えを持つものが多く、”気に入らない”、”うるさい”といったくだらない理由で一国と戦争を起こすことも、多々あります。

しかし、まだ、力が弱いというなら話は変わってきたのですが……」

そういって、言葉を濁した。

「もしかして、強いの?」

「その通りです。龍族はかなりの魔力や力を持っており、種族ごとにランクがあるのですが、龍族はSランクに属しています。そして、私達、天狼族はAランク。Aも十分に強い部類に入るのですが、Sランクまで行くと、伝説級。強さが桁違いなのです」

世界のこととかを教えてくれていたときとはちがい、弱弱しく言葉をつむぐアルセ。

龍族の話になると、とたんにうつむいてぽつぽつと話している。

「フェンを殺したのも、龍族だってこと?」

「はい……そうです」

「そんな……」

驚愕した。

あの強そうなフェンでさえも殺した、龍族。

「どんなやつなんだよ……」

「父の一番酷い傷。おなかにある傷は、龍族の炎のせいです。龍族は炎を自由に操ることができ、父を貫いた炎は”炎槍”というらしいです」

今度は憎憎しげに吐き捨てるような言葉。

憎いのだろう。

父を殺したやつを。

俺だってそうだ。

家族を殺した犯人をどれだけ殺そうと思ったか。

夢まで見て、何度犯人を殺したか。


ー何度もの何度も何度も、犯人に刃物を突き刺し、家族の苦しみを味合わせてやろうと思ったか。


家族を失った悲しみは計り知れない。

「それでも、なんとか父は撃退することが出来ました。自分が傷ついても、この森や私を助けようとして……。

まだ、縄張り争いだったなら、私もすくなからず納得できました。しかし、あいつが言う理由は”ゴミ掃除”……だそうです……。目障りだったのでしょう、父が……」

今、何て言った?

その言葉を聴いた途端、血液が沸騰しそうになった。

自然と歯を食いしばり、拳は血が滲むほどに……。

強く、強く握り締める。

「ゴミ……だと……!?」


ー俺に人生を託した狼を。

ー誇り高き狼を。

ー優しかった狼を。


「ふざ……けるなよ……っ!」

あの人をゴミだと?

俺の人間としての理性に歯止めが利かない。

見たこともないやつに憎しみが募る。

コインでタワーをつむがごとく、どんどんと高くなっていく。

だけど……。

握り締めていた手を暖かい手が包み込んだ。

「アルゼ?」

彼女は俺が握り締めている拳を優しく、優しく解き始めた。

目の前に彼女の顔がある。

先ほどまでとは、違った優しい顔。


「ありがとうございます。司狼さん。父のためにこんなにも怒ってくださって……」

ちがう。

「父があなたを呼んだのは正解だったようですね」

ちがう……。

「私も嬉しいです」

ちがう……!!

「私も悲しいですがーー」

「ちがうっ!!」

俺は、彼女の方をガシッと掴んだ。

自然を掴む手にも、力が入る。

「いたっ!痛いです、司狼さん!離しーー」

「嘘を……つくなっ!!」

痛がってもがいていた彼女の体がビクッとはねた。

「嘘をつかないでよ、アルセ!悲しいんだろ!?フェンが居なくなって……。なんで、そんな嘘つくんだ!!なんで、わらってるんだよ!!」

「何を……」

「アルセ、我慢してる。泣くことを我慢してるだろ!本当は泣きたいのに我慢してる。悲しいなら泣けばいいじゃないか!!」

彼女はうつむいた。

「私はお父さん……からあなたのことを任されてます。あなたを不安にさせることは出来ません」

フェンに俺のことを任されてるのか?

だったら……

「だったら、俺だって君のことを任されてる!フェンから”娘を頼む”って。だから、君が悲しいなら俺は助けなきゃ、いや助けたい!フェンのお願いがなくたって、君を助けたいんだよ!!」

じいさんが最後に残した言葉。

”困ってる人がいたら必ず助けろ”

フェンが残してくれた。

”娘を頼む”

二人の言葉が俺を強く動かす。

目の前の、彼女はまだ吹っ切れてない。

悲しみを、心の奥深くに閉じ込めている。

そんなんじゃ、前に進めない。

過去の人にこだわっていたんじゃ、いつまでたってもその場所にいる。

俺だってそうだ。

いつまでも、家族にこだわっていた。

そのせいで、いろんな人に迷惑をかけた。

友達にもじいさん、ばあさんにも……。

だから……。

俺は肩を掴んでいた手を離し、代わりに腰に手を回し彼女を抱き寄せた。

抱き寄せた拍子に、彼女の髪が鼻を掠める。

ー甘くて優しい香り。

そして、華奢で小さい体。

「叫んでごめん。だけど、悲しいなら泣いていいんだよ。俺はそれを迷惑だなんて思わないから……」

優しく、自分の思いが彼女に伝わるように……

「俺はフェンのことが大好きだよ。もちろん、アルセも。だから、笑って欲しい。無理に作る笑顔じゃなくて、本当の笑顔を……」

……俺、今すごい恥ずかしい言葉をいってるんじゃ。

まぁ、本当のことだからいいか。

アルセの手が俺の背をギュッと掴んだ。

振るえている。

「……私……泣いて、いいんでしょうか?」

「……うん」

「なら……すみま……せん」

彼女は俺の胸に、顔をうずめて小さく泣き始めた。

その小さな体で我慢していたのだろうか。

俺は、アルセの髪をできるだけ優しくなでる。

「ぅう……ぐす……ぅぁ……ぁぁ……」

先ほどとは違って、穏やかな時間が流れている。


「すみません…お見苦しいところをお見せしました」

あれから結構な時間泣いていた。

アルセの目は真っ赤になっていた。

「アルセ……」

落ち着いたのを、見計らって声をかけた。

「なん……ですか?」

「さっき、フェンのこと”お父さん”って呼んだよね」

「え!?」

そうアルセはフェンのことを”父”と呼んでいたはずだ。

このことが指す意味は……。

「俺に敬語なんて使う必要なくないか?」

「しかし……」

「俺とアルセの間でそういうのはなし、お互い自然体で行こうぜ?」

きょとんとした顔でこっちを見ている。

すると、今までの中で一番いい笑顔で……

「分かった!!」

やっぱり、この子可愛いわ。

これで、いいんだよな。

じいさん、フェン。

どこからか

『よくやった』

なんて声も聞こえたり、聞こえなかったり……

ながながと申し訳ありません

やっとこの世界についての話を出来ましたw

と、いうかちょっと急展開でしたかねぇ?

無理やりもっていった感が……

そして、アルセは本当は活発な子です

どっちかというと天真爛漫?

次からは打ち解けた二人が、旅にでる準備をします

やっとつぎで終わりですかな?


どこか矛盾点や誤字脱字などありましたら、修正しますので言って下さい。

また、感想なども待ってます

次の更新は、火曜日くらいになります

それでは!!


あと、アルセの狼状態の時2mと書きましたが修正して1m60ほどということに直しました。

司狼が180くらいで、アルセが人間体になっても司狼の方が大きいです。

よろしくおねがいします^^

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