譲れないもの
ここでいろいろ説明します
まぁ、いろんなことが分かります
だから、どうか飽きずに読んであげてくださいw
あれから、フェンの娘さんーーアルセーーは持ってきた薬草を煎じてくれてのませてくれた。
そして、現在この世界についていろいろなことを話してもらっている。
話し方は、アルセは敬語だけど俺はいつも通りに話してる。
「……。ここまで、よろしいでしょうか?」
「うん、大体わかった」
とりあえず、最初にいた場所……フェンのところまで戻って二人して、座って話している。
ちょこんと俺の前に座る、アルセはかなり可愛かった。
なんていうの?
小動物?
そんな感じ。
あと、服は着てもらった。
まぁ、俺の上着を羽織ッてるだけだけど、さっきよりかはまし。
まともに見れなかったもん。
まぁ、それはおいおい置いといて。
アルセはいろいろ話してくれた。
まずこの世界の名前。
『クラシーブ』
というらしい。
話を聞く限り、俺のいた世界とは圧倒的に違っている。
さっきのキノコ然り、種族も人間もいるにはいるが、エルフや魔族、竜人族に獣人族、そして……フェン達”天狼族”。
天狼族は、種族の中でもかなり、ランクが高いらしく。
あるところでは畏れられ、あるところでは崇められている種族らしい。
そして、この場所。
『白銀の森』
といい、代々、天狼族が守護しており、緑が豊か。
また他の種族に荒らされたこともない神聖な森らしい。
それを語っているアルセの顔はどこか誇らしげだった。
ー豊かだから、危険な魔物もたくさんいますよ?
といわれたときに、「俺、遭遇したことないけど?」と聞いたら、
「今は私が周りを警戒してますから、それに父の骸もありますし。それと、逃げる……時には、魔物がいない道を選んでいましたから」
そう語る彼女の顔は少し赤かった。
そうか、この親子に守られているのかと安心させられたこともあった。
そして、まだ話は続いている。
「そして、本題の、”なぜあなたに力を授けるにいたった理由”……。それは、父がこの世界のことが好きだったからです」
黙って聞く。
「父は言っていました。『我はこの世界が気に入っている。だから、我は守りたいのだこの世界を……』と。もう、自分の力が世界を救うことが出来ないのがいやだったのでしょう……。自分の志を受け継いでくれる方を最後に探していたのです」
「それが……俺?」
「はい、司狼さん。父は最期に魔力を振り絞り、異次元からあなたを手繰り寄せたのです」
フェンが俺のことを呼び寄せた理由。
”世界を守りたいから”
どうして、あの人はそこまでかっこいいのだろうか。
俺は、フェンの志を深く心に刻んだ。
だけど、理由はそれだけではないだろう。
おそらく俺の目の前にいる人。
アルセ……。
フェンの娘。
娘を一人置いて、逝きたくなかったのだろう。
それほど、心配だったのだ。
だから、俺を呼んだ。
おそらく、理由はもっとある。
だけど、それは知らなくていい。
この二つだけで十分だ。
「そして、父を殺した種族は……龍族……」
彼女は抑揚のない声でつぶやいた。
今までの彼女からは想像できない冷たい声・
「龍……族?」
「はい、この世界には先ほど申した通りいろいろな種族がいます。そのなかでも、一際、凶暴、荒くれ者が多いことで有名な龍族。龍族には、自己中心的な考えを持つものが多く、”気に入らない”、”うるさい”といったくだらない理由で一国と戦争を起こすことも、多々あります。
しかし、まだ、力が弱いというなら話は変わってきたのですが……」
そういって、言葉を濁した。
「もしかして、強いの?」
「その通りです。龍族はかなりの魔力や力を持っており、種族ごとにランクがあるのですが、龍族はSランクに属しています。そして、私達、天狼族はAランク。Aも十分に強い部類に入るのですが、Sランクまで行くと、伝説級。強さが桁違いなのです」
世界のこととかを教えてくれていたときとはちがい、弱弱しく言葉をつむぐアルセ。
龍族の話になると、とたんにうつむいてぽつぽつと話している。
「フェンを殺したのも、龍族だってこと?」
「はい……そうです」
「そんな……」
驚愕した。
あの強そうなフェンでさえも殺した、龍族。
「どんなやつなんだよ……」
「父の一番酷い傷。おなかにある傷は、龍族の炎のせいです。龍族は炎を自由に操ることができ、父を貫いた炎は”炎槍”というらしいです」
今度は憎憎しげに吐き捨てるような言葉。
憎いのだろう。
父を殺したやつを。
俺だってそうだ。
家族を殺した犯人をどれだけ殺そうと思ったか。
夢まで見て、何度犯人を殺したか。
ー何度もの何度も何度も、犯人に刃物を突き刺し、家族の苦しみを味合わせてやろうと思ったか。
家族を失った悲しみは計り知れない。
「それでも、なんとか父は撃退することが出来ました。自分が傷ついても、この森や私を助けようとして……。
まだ、縄張り争いだったなら、私もすくなからず納得できました。しかし、あいつが言う理由は”ゴミ掃除”……だそうです……。目障りだったのでしょう、父が……」
今、何て言った?
その言葉を聴いた途端、血液が沸騰しそうになった。
自然と歯を食いしばり、拳は血が滲むほどに……。
強く、強く握り締める。
「ゴミ……だと……!?」
ー俺に人生を託した狼を。
ー誇り高き狼を。
ー優しかった狼を。
「ふざ……けるなよ……っ!」
あの人をゴミだと?
俺の人間としての理性に歯止めが利かない。
見たこともないやつに憎しみが募る。
コインでタワーをつむがごとく、どんどんと高くなっていく。
だけど……。
握り締めていた手を暖かい手が包み込んだ。
「アルゼ?」
彼女は俺が握り締めている拳を優しく、優しく解き始めた。
目の前に彼女の顔がある。
先ほどまでとは、違った優しい顔。
「ありがとうございます。司狼さん。父のためにこんなにも怒ってくださって……」
ちがう。
「父があなたを呼んだのは正解だったようですね」
ちがう……。
「私も嬉しいです」
ちがう……!!
「私も悲しいですがーー」
「ちがうっ!!」
俺は、彼女の方をガシッと掴んだ。
自然を掴む手にも、力が入る。
「いたっ!痛いです、司狼さん!離しーー」
「嘘を……つくなっ!!」
痛がってもがいていた彼女の体がビクッとはねた。
「嘘をつかないでよ、アルセ!悲しいんだろ!?フェンが居なくなって……。なんで、そんな嘘つくんだ!!なんで、わらってるんだよ!!」
「何を……」
「アルセ、我慢してる。泣くことを我慢してるだろ!本当は泣きたいのに我慢してる。悲しいなら泣けばいいじゃないか!!」
彼女はうつむいた。
「私はお父さん……からあなたのことを任されてます。あなたを不安にさせることは出来ません」
フェンに俺のことを任されてるのか?
だったら……
「だったら、俺だって君のことを任されてる!フェンから”娘を頼む”って。だから、君が悲しいなら俺は助けなきゃ、いや助けたい!フェンのお願いがなくたって、君を助けたいんだよ!!」
じいさんが最後に残した言葉。
”困ってる人がいたら必ず助けろ”
フェンが残してくれた。
”娘を頼む”
二人の言葉が俺を強く動かす。
目の前の、彼女はまだ吹っ切れてない。
悲しみを、心の奥深くに閉じ込めている。
そんなんじゃ、前に進めない。
過去の人にこだわっていたんじゃ、いつまでたってもその場所にいる。
俺だってそうだ。
いつまでも、家族にこだわっていた。
そのせいで、いろんな人に迷惑をかけた。
友達にもじいさん、ばあさんにも……。
だから……。
俺は肩を掴んでいた手を離し、代わりに腰に手を回し彼女を抱き寄せた。
抱き寄せた拍子に、彼女の髪が鼻を掠める。
ー甘くて優しい香り。
そして、華奢で小さい体。
「叫んでごめん。だけど、悲しいなら泣いていいんだよ。俺はそれを迷惑だなんて思わないから……」
優しく、自分の思いが彼女に伝わるように……
「俺はフェンのことが大好きだよ。もちろん、アルセも。だから、笑って欲しい。無理に作る笑顔じゃなくて、本当の笑顔を……」
……俺、今すごい恥ずかしい言葉をいってるんじゃ。
まぁ、本当のことだからいいか。
アルセの手が俺の背をギュッと掴んだ。
振るえている。
「……私……泣いて、いいんでしょうか?」
「……うん」
「なら……すみま……せん」
彼女は俺の胸に、顔をうずめて小さく泣き始めた。
その小さな体で我慢していたのだろうか。
俺は、アルセの髪をできるだけ優しくなでる。
「ぅう……ぐす……ぅぁ……ぁぁ……」
先ほどとは違って、穏やかな時間が流れている。
「すみません…お見苦しいところをお見せしました」
あれから結構な時間泣いていた。
アルセの目は真っ赤になっていた。
「アルセ……」
落ち着いたのを、見計らって声をかけた。
「なん……ですか?」
「さっき、フェンのこと”お父さん”って呼んだよね」
「え!?」
そうアルセはフェンのことを”父”と呼んでいたはずだ。
このことが指す意味は……。
「俺に敬語なんて使う必要なくないか?」
「しかし……」
「俺とアルセの間でそういうのはなし、お互い自然体で行こうぜ?」
きょとんとした顔でこっちを見ている。
すると、今までの中で一番いい笑顔で……
「分かった!!」
やっぱり、この子可愛いわ。
これで、いいんだよな。
じいさん、フェン。
どこからか
『よくやった』
なんて声も聞こえたり、聞こえなかったり……
ながながと申し訳ありません
やっとこの世界についての話を出来ましたw
と、いうかちょっと急展開でしたかねぇ?
無理やりもっていった感が……
そして、アルセは本当は活発な子です
どっちかというと天真爛漫?
次からは打ち解けた二人が、旅にでる準備をします
やっとつぎで終わりですかな?
どこか矛盾点や誤字脱字などありましたら、修正しますので言って下さい。
また、感想なども待ってます
次の更新は、火曜日くらいになります
それでは!!
あと、アルセの狼状態の時2mと書きましたが修正して1m60ほどということに直しました。
司狼が180くらいで、アルセが人間体になっても司狼の方が大きいです。
よろしくおねがいします^^