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お人よしのオオカミさん  作者: ふちか
狼男”ライカン・スロープ”
25/25

ライカン・スロープ

バトル描写むずかしいね……


今回は少し書き方を変えてみました

「くっ、嫌な予感というのは的中するものですねぇ」

「え!?あれだってわかってたの!?」

「私だってあんな大物が来るとは思いませんでしたよ!これは非常に予想外です。しかも、非常にまずい」

「ですよね、あんな”化け物”とまともに戦うなんて……」

かの、呪われしライカン・スロープの狼は天を仰ぎ見て、何事か考えているように突っ立っていた。

「古より伝わる呪われた血筋。まさかこんな偏狭の地で拝見することになりますとは……」

「ですねぇ……正直、私逃げ出したいんですけど?」

「それは無理ですねぇ……私でも足止めできるのか怪しいので」

「ですよねぇ」


ここで少し昔話をしよう。

今よりも遠い昔、この世界『クラシーブ』では、全種族を巻き込んだ大規模な戦争が起きていた。

それは酷いものだった。

生き物という生き物はその魂、体を蹂躙され、岩も木も水もなにもかもが汚れきっていた。

破壊、蹂躙こそが戦争の本意。

そう考える種族も多かった。

そんな中で異例の、種族がいた。

それがアルセやフェンリルの種族、”天狼族”だ。

彼らの祖先は、弱いものを守ることを誇りに思い、かの戦争で圧倒的不利な立場にいた人間たちに味方した。

それは本来あるべき姿ではなかったのだ。

この世界の魔族というものは、本来自分勝手で傍若無人、基本的に他人のことを気にかけたりはしない。

だが天狼族は、そんな考えなど微塵も持っていない。

人間と同じ感性を持ち、人間と似た心を持ち、人間と同じ行動をする。

そんな天狼族だからこそ人間は共存することを選び、また天狼族も同じだった。

だが、そんな2種族の共存だったが二人の長老の間で絶対的な禁忌を約束していた。

それは”2種族の性交”だ。

2種族は、二つの種族が交わることだけは認めなかった。

それはお互いの生活圏を犯されないという点もあったが、実際問題、認められなかったのだ。

二つの種族が交わることを。

自分たちの種族は自分たちの種族。

他種族の血を混ざらせたくはなかった。

だがやはり、それは起こってしまった。

男の天狼族と女の人間が交わり、子を宿してしまった。

2種族はもちろん、その子供を生ませようとはしなかった。

自然の摂理に反するもの。

本来交わるべきではないもの。

だが、反対を押し切り、その子は望まれべくして生まれてきた。

それが天狼と人の混血。

”呪われしライカン・スロープの狼”だ。

彼は生まれた時より、誰にも歓迎されては居なかった。

それがいけなかったのだ。

憎しみをその小さな体で受けた幼子は次第に、捻じ曲がってしまった。

何故、自分がこんなに苦しい思いをしているのか。

何故、自分はこんなに恨まれているのか。

何故、自分を見る目はこんなにも冷たいのか。

それは、幼い純粋な瞳を憎しみの炎で焦がすようになった。

彼の心を黒い感情で蝕んでいった。

結果、暴走した。

見るもの全てを殺しつくす悪魔へと変貌した。

それが子供でも女でも年寄りでも兵士でも長老でも王でも……親でも……。

くしくも呪れわしライカン・スロープの狼の登場のおかげで戦争は収束を向かえる。

それはどの種族も呪われしライカン・スロープの狼を標的にしたからだ。

皮肉にも今まで争っていた国々、種族間が協力し呪われしライカン・スロープの狼討伐に全力を注いだ。

そうして長い戦いが経過し、遂に呪われしライカン・スロープの狼の討伐を迎える。

呪われしライカン・スロープの狼は死に際にこう言い放ったという。

『我は未来永劫死することはない。我の魂は不滅。例え肉体が滅びようとも魂は何時の日か語り継がれ、我は再びこの地に降り立つ』

呪われしライカン・スロープの狼の昔話はここまで。


確かに呪われしライカン・スロープの狼は死んだ。

だがこうして、今アルセやグラシオの前に立ち塞がっていた。

ただそこに居るだけで恐怖する存在。

グラシオたちはその場を動けないで居た。

「どうするんですか?」

「どうするっていいましても……あれですよ?」

そう言って呪われしライカン・スロープの狼を頼りなげに指差した。

そこにはは変わらず動かずに天だけを見ている呪われしライカン・スロープの狼がいる。

だが、それに突っ込む一つの影が動いた。

「セイヤァァァアアア!」

サビィだ。

「サビィ様!?」

サビィは剣とは言いがたい刃も柄もなにもかもが錆付いた棒切れを振りかざし、呪われしライカン・スロープの狼へと切りかかった。

呪われしライカン・スロープの狼は少し視線をずらしサビィを見たが、直ぐに興味を無くしたように、天を仰ぎ見た。

そんな態度も意に関せず、サビィは尚も呪われしライカン・スロープの狼を切り付ける。


──ボコッ、ボコッ


それは剣で切っている音ではなかった。

まるで棒切れで叩いているような乾いた音。

サビィは物ともせず叩き続ける。

「私は!この町を守ってるんだ!守らなきゃいけない!お前が伝説の生き物だからなんだ!?」

サビィの目尻からは、じわぁと涙が浮かぶ。

それは自分が、この呪われしライカン・スロープの狼に対して何もできないから……。

こんなことをして意味がないこともわかってる。

そんなことはわかってるんだ!

だけど、やらなきゃいけない!

強制されているわけじゃない、この町が、人が好きだから……。

私が、私がみんなを守らなくては!

サビィはそう強く願い。

握り閉める柄をさらにきつく握る。

ビキビキっと手が悲鳴をあげるが、そんなのはお構いなしだ。

そんなものは無視して、一閃。

呪われしライカン・スロープの狼を切りつけた。


ガィィィン!


ひゅんひゅんひゅんと鉄錆の塊が回転しながら宙を舞い、ザクっと深く地面に突き刺さった。

「ハァ……ハァ……」

そこで初めて呪われしライカン・スロープの狼は、サビィを見た。

そして、剣を受けた爪を見てまたサビィを見る。

「我を切り付けたのはキサマか……」

「そう、だよ……ちくしょう……」

「我を見、臆せず刃向かったのは賞賛に値する。さぞ勇猛な戦士なのだろう。だがな?」

そこで呪われしライカン・スロープの狼はサビィをその巨体から見下げ、視界に捕らえた。

「刃向かうべきではなかったな……」

「なに?」

そう言うと、呪われしライカン・スロープの狼は腕を引き、サビィ目掛けて、突き刺す。

「まずいっ!アルセ様!」

「わかってますよ!」

呪詛を紡いでる暇はない!

アルセは魔力で風を掻き集め、それを一気に圧縮する。

「風は早いんだよ!?」

ぶんっと勢いよく投げ、塵を巻き込みながら、風の弾は呪われしライカン・スロープの狼を目掛けて放り投げられる。

──パァン

と刻みいい音が響き、それは呪われしライカン・スロープの狼の腕に直撃する。

それもありわずかに、サビィからずれ、呪われしライカン・スロープの狼の腕は深深と地面に突き刺さった。

「むぅ……っ!」

「サビィ様!」

その隙にグラシオがサビィに近づき、抱き抱えた。

「キサマ等……」

腹の底に響くような冷たい低い声。

そこでグラシオは至近距離で呪われしライカン・スロープの狼を見て、目線を合わせた。

「……っ!」

背筋がぞっとした。

怖かった。

だがもう臆するわけにはいかない。

それは今抱き抱えている方が身を持って教えてくれた。

適わないとわかっているのに立ち向かっていった。

他人を守りたいという強い勇気。

サビィ様がこの町を好きなことは知っている。

長年見てきたのだ。

わかっていた。

嫌、わかっていたつもりだった。

サビィ様は文字通り命を掛けた。

今は気絶していて、意識はない。

だが若者が頑張っているのに年寄りが頑張らなくて誰が頑張りますか。

今度は、真正面から呪われしライカン・スロープの狼を見据える。

グラシオの瞳には強い意志が灯っていた。

「さて、喧嘩いたしましょうか?」


うぃ~バトルってちょっと書く書くだけでも難しいッス


はい、いつもこの小説を見てくださってありがとうございます


先ほどまではあとがきを書いていなかったのですが、改めて書かさせていただきます


今回はライカンスロープに関するちょっとした昔話。


暴走した彼は実の親である二人も殺し、様々な国を滅ぼしました。

そして、それをよく思わなかった他種族が彼を狩ったと。


まぁそんな悲しいライカンスロープです


決して彼が最初から悪かったというわけではありません


周りのせいですね(苦笑


次回はやっと……ジジイが活躍できるかなぁ


次回の更新は?


未定ッス♪

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