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お人よしのオオカミさん  作者: ふちか
狼男”ライカン・スロープ”
21/25

グラム

今月は少し多めに更新できてますね(笑


少々めんどくさいとは思いますが”奪い取る幻想”は”クレヴァ・イルシオ”


と読んでください

「さて、しっかりと作り上げることは出来ましたね」

そう言ってグラシオさんは銀色に輝く中心が抜けた円盤。

『グラム』を縦に見たり横に見たり、いろいろな角度から見た。

「ふむ、艶もいいし切れ味は……」

グラシオさんはおもむろに『グラム』の刃に手を這わせた。

すると『グラム』の光り輝く銀の刃を赤い雫が、滴り落ちた。

『グラム』の刃は雫をこびり付かせず、一滴残らず全て地面へと落としていった。

「これは……凄まじいですね……」

ハンカチとは言えない、布ッ切れで傷口を拭いた。

「そんなにすごいんですか?」

グラシオさんは言葉を失っているようだが、俺には全くすごさが分からない。

ただ……きれいだとは思う。

小さな傷さえ付いていない美しい表面。

日の光りに照らされ、目を当てるのも嫌になるほどの銀。

だけど、一つだけの違和感。

それは触ってしまうと壊れてしまいそうな弱々しさ。

外側では虚勢を張っているのに、内側では小指で触ったらぼろぼろと崩れてしまいそうな……。

それが俺の『グラム』から感じ取ったイメージだ。

「さて、お待たせしましたね。これが、あなたの武器……『グラム』です」

「……俺の武器」

そして『グラム』はグラシオさんの手から俺の手へ渡された。

軽い。

まるで羽を手の平に乗せているようだ。

そんな軽さだが……俺はグラシオさんの指を見た。

「切れ味は申し分ないですよ。それ以上必要ないくらいに」

「そうですか……」

俺は『グラム』の側面にそっと触れた。

「それで……『グラム』は何故こんな形に?」

まぁ今の形に文句があるわけではない。

ただ何故『グラム』が俺が何も言っていないのに、この形でいるのかが気になった。

「そうですね、まずは私の能力の説明をしましょうか。頭をお貸しいただけませんか?」

言われた通りに頭をグラシオさんに向けてさしだした。

「ありがとうございます。それでは次に頭の中で武器を想像してください。何でもいいですよ?」

武器か……。

それなら……。

「想像しましたか?」

「ハイ、オーケーです」

「オーケー?」

ここで問い返されるとは思わなかった。

英語は流石に意味が通じないのか。

「大丈夫です」

「わかりました、それではっ」

そうして不思議な感覚に襲われた。

体中の血液が頭に集まってくるような。

もっと言えば自分の全てが頭に集中し、それが頭を通してグラシオさんの手に終結していく。

それは一瞬の出来事だった。

さっきの『グラム』は自分の中から何かを無理やり引き出すような感覚だったものに対し、これはやんわりと自分の中のものをとっていく。

「いいですよ」

そう言って頭から手を離したグラシオさんの手には俺が想像したもの。

ナイフ。

と、言えば聞こえはいいが所謂包丁だ。

とっさに言われたら何にしようか迷ってしまった。

で、そういえば料理とかしてないなぁと直感で思って出てきたのが包丁だ。

まぁ安物だから、あまり見栄えはよくないが、グラシオさんが持っているのはまさしく俺の包丁だ。

「な、なんで?」

「私の能力は”奪い取る幻想『クレヴァ・イルシオ』”。他人の思考を読み取り、奪い、物質化する能力です」

能力?

魔力とは何か変わるのか?

「はい、大きく違っています。魔力とは所謂、自分が世界から借りる力のこと……。しかし、能力は自分が持つべき力。誰からも干渉されず自分だけが使うことの出来る力のことです」

「グラシオさんは魔力は?」

「ありますよ?能力とは生まれ持って持つものではありません。自分が最も得意とする魔術を極めることで能力と言うことができるのです」

例えば……。

とグラシオさんは家の中に生えている草を一本抜き取った。

家の中にも草とか……。

「これを見てください」

そう言って草を持った手を上下にゆする。

その度に栄養が通っていない草は、頼りなくへにゃんへにゃんと抵抗できずに重力に身を任せていた。

「ですが……”武器化アムル”」

グラシオさんが呪詛を発すると、今まで頼りなかった草はピーンと伸びた。

確かに重力に逆らって真っ直ぐに伸びている。

さっきまでへにゃへにゃしていたのが嘘のようだ。

「これは私が得意とする強化の呪詛です。言い換えれば私の”奪い取る幻想クレヴァ・イルシオ”はこの強化の呪詛の延長線上ということになります」

「待ってください。それじゃ、俺が考えても居ないこの『グラム』は何故?」

そう聞くと少し戸惑った表情をした。

言いたくないのだろうか?

「言えないんですか?」

「いえ、いえいえ……そうですね、大切な事です。知っておいて貰ったほうがいいでしょう」

「よろしくお願いします」

「私が司狼様に使ったものは少々強引なものなのです」

「というと?」

「司狼様の心の奥の奥……つまり、深層心理に能力を滑り込ませ、無理矢理こちらの世界に創造させたのです」

「つまり……『グラム』は俺の心そのもの?」

「理解が早くて助かります。流石はフェンリル様が選ばれた方ですね」

「いや、お世辞はいいです」

「お世辞ではありませんよ。しかし……『グラム』、ですか……」

「それがどうかしたんですか?」

「いえ『グラム』の意味は──」

そこまで話そうとしたとき、


バンっ!!


と扉が強く開けられた。

こらこら扉が壊れるだろう。

「大変だよっ司狼っ!グラシオさんっ」

勢いよく飛び込んできたのは、額に玉の汗を浮かべたアルセだった。


こんばんわ♪


ふちかです


いつも見て下さっている方がたありがとうございます


この小説を書き始めて、早5ヶ月ほどですかね……


早いものです(苦笑


さてこの小説ですが、この章はまぁイメージを壊さないってことでそのままの書き方で進めて行きますが、


次の章からは書き方を変えようと思います


理由は主人公の驚きなどが上手く伝えれていないのではないかと思ったからです


なので次の章からは僕が若干得意?な三人称で書いて行きたいと思います


~~~


それでは次回の更新は?


未定ですね(笑


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