その名は・・・
早めの更新(ドヤァ
「あ、それでですねぇ──」
「ちょっ、ちょっと待った!」
「何でしょうか?」
「いや、何ですか?……じゃないですよっ!!何故!?何故それをっ」
内心俺はかなり動揺していた。
森を出てから俺たちは一度も関係者にあっていないし、アルセも何も言っていなかった。
つまりフェンの力を引き継いだのを知っているのはアルセと死んだフェンだけだと思っていたのだ。
俺はアルセの方をチラっとみた。
目を見開き、体が石のように硬直している。
……完全に固まってらっしゃる。
どうやらアルセもそこを指摘されて驚いているらしい。
「いやはや、フェンリル様とは昔からの知人でしてね。貴方方のことも知っています。おそらく、フェンリル様が友人だと思っている方々は全員しっているでしょう」
「え、そうなの!?」
今度はアルセが身を乗り出してグラシオさんに質問をする。
「はい、本当です。あの人はかなりの親馬鹿でしたから。連絡や会う度に貴方の自慢を聞かされたのはうんざりでしたよ……」
そういうグラシオさんの顔は嫌味こそあれど、心底嫌がっていると言う風でもなく微笑を重ねていた。
さっきから嘘ばかりついているグラシオさんだけど、これは信じてよさそうだろう。
何にも思ってない人にあんな顔はできないはずだ。
……俺の持論だけどな。
「え!?もう……ホントにお父さんは……」
「そうですね……例えば、娘がハイハイできるようになったとか、娘が魔法を使えるようになったとか、娘の胸が大きくなってきただとか(以下略」
~30分後~
その後、延々とフェンのアルセ自慢が続きアルセは羞恥に耐え切れなくなったのか、
「お父さんのバカっ!エッチ」
と言って、小屋から出て行ってしまった。
いや、エッチとか……。
あのコの貶し言葉のレパートリーはあんなしょぼいものなのかねぇ。
まぁそこも可愛いんだがっ。
「さてやっと二人きりになれましたね」
「え?俺になにか?」
「はい、と申しますと貴方をお待ちしていたのです」
「それじゃ、あのフェンの親馬鹿談義は嘘?」
「あれは本当です」
フェン……。
「それで……本題ですが、フェンリル様の爪は持ってきていますか?」
「あぁ、はいあります……って俺たちが爪を持ってくることもお見通しなんですか?」
「フェンリル様が『自分の体の一部を持っていくだろう』とおっしゃっていたので……」
そこまでお見通しか。
「爪ですが……」
俺はアルセが置いていったバッキュをガサゴソとあさった。
あれ?
これ……じゃないな。
なんかぶにぶにしてる。
何これ、まったくわからん。
覗き込んでも真っ暗で底が見えないし、本当なにこれ。
「お貸してください。それはバッキュですよね?魔力が無い者が見ても底が見えないようになっているのですよ?」
そうか……。
俺、そういえば力とか上がってるんだけど魔力はこれっぽっちもないんだったなぁ。
「すみません、お願いします」
そう言われて俺は、バッキュをグラシオさんに渡した。
「え~と……はい、これですね」
するとあのバックにどうしたら入るのかというほどの大きさの、爪がじょじょに姿を現し始めた。
それはフェンがこの世界を守った証。
それはフェンがこの世界を愛した証。
それが再び俺の前に姿を現した。
「相変わらずの大きさですね……まったく育ちすぎです」
そう言ってフェンの爪に優しく指を添えた。
『”後継者”』
すると、グラシオさんの指が激しい炎を纏った。
「ちょ!?それ熱くないんですか?」
「大丈夫ですよ、魔法ですから」
グラシオさんはその炎を纏った指で、爪をなぞった。
それはこの世界の言葉のようで見たことも無い字だったが、おそらくフェンの力のお陰だろうか。
読むことだけはできた。
『我が体、後継者手となり足となり心となる』
「これはいわゆる”呪詛”といいます」
呪詛?
「いわゆる呪いですね。あぁ、安心してください……あなたに何かあるということはありませんから」
「最後ボソッというの止めてくださいよ……」
「まぁ、これで第一段階はこれで終わりですね」
「聞いてくださいよ」
泣きたくなってきた。
「次はあなたもこの爪に触ってください」
何が起こるかわからないので、言われるままに爪に手を添えた。
するとグラシオさんも手を重ねてきた。
「少し痛みが襲うかもしれませんが一瞬なので、気にしないようにしてください」
「痛みに耐えろって……以外に鬼畜ですね」
「行きますよ?」
「安定の無視加減ですね……」
さっさと自分の作業に戻ってしまった。
だがさっきまでとは雰囲気が違い、顔に真剣さがうかがえる。
そして自由な鍛冶屋は呪詛を紡ぐ。
それが当たり前だとでも言うように。
つらつらと紡ぐ。
『少年は思う。強くなりたいと、優しくなりたいと……。だが心は拒む。憎しむべきだと。汝の業を糧として我、この世界に顕現せしモノ』
「さぁ……司狼。これの名前を呼びなさい」
そんなの分かるわけ……。
「……ム……」
あれ?
口が自分の意思とは無関係にその言葉を発する。
「これの……名前……は……『グラム』」
「はい、それでいいのです」
途端、
バチンッ
と、俺とグラシオさんの手を強く弾く。
激しい指先の痛みと突然の赤い閃光。
突然の出来事に俺はパニックに陥った。
何だ!?
混乱に陥っていると落ち着いた物腰でグラシオさんが言った。
「下がっていてください……」
グラシオさんが俺と『グラム』の間に立ち、腕で俺を遮る。
「グラシオさん、すごい汗ですよ?」
オールバックにしているためよくわかる。
その額には玉汗が浮かび、顔色も少々青白くなっている。
「大丈夫です……それよりもほら、出来上がりますよ?」
『グラム』は先ほどから熱を帯びたように赤く光り、その光りはバチバチっと激しい音を鳴らす。
だがじょじょに変化が現れだす。
『グラム』の光りがバチバチっとだったのが、
──ふわん、ふわん
と淡い光りになっていくのだ。
その光りは段々と力を失っていき、少しするとその光りは収まった。
「さぁ……これがあなたの武器ですよ?」
そう言って『グラム』をこちらに見せる。
「え?これで?俺武器を作ってくれとか言いましたっけ?それに形が……あれ?」
その自由な鍛冶屋が作った『グラム』は、真ん中に穴の開いた円盤の形をしていた。
余計な装飾品もなくただただ輝き、魅せる。
要するにチャクラムと言った方が早いだろうか……。
そうして俺の武器は、よくわからない内に作られた。
はい、一昨日ぶりですね。
なんとか更新できました(笑
家族の前で書くとか本当に恥ずかしかったです///
なのでこんなに遅くなったのですが・・・
さてもうそろそろこの章も終盤に差し掛かってきましたね。
ハーデさん出したのはいいですけど、ホント空気ですね(笑
どうしようもないです♪
作者に文章力がないのでおかしい文章になってしまったでしょうか?
ここがおかしいなど指摘していただけると、嬉しいです。
それでは誤字脱字や感想などお待ちしております^^
~~~
さて次回の更新ですが・・・
未定です♪