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ヒミツのにおい
ここからちょっと展開が変わります。
「ちゃんと渡したんだろうな?」
男は、脅すように睨みつけながら、低い声で確認した。
「う、うん、大丈夫。ちゃんと渡したよ。確認も取った。」
女は、怯えるように男を見上げると、震える声で答えた。
もう、後戻りできない。もし、自分のしている事がバレたら私は終わりだ。
大丈夫。あいつは鈍いから、自分が何をしたかなんてわかってない。
気づいた時には・・・もう遅い。
「サツには電話したか?」
男の声に女はビクッと肩を震わせた。
恐れと緊張で喉がからからだ。
「や、やったよ。予定通りだって、あの人が言ってたから。今頃、家宅捜査に向かっていると思う。これで・・・大会には出れないよ。」
男はニヤリと笑って、女を一瞥した。
「お前の学校も運がない。まぁ、仕方ないか。裏賭博のカケの対象になった時点で、ツキは無くなってたんだろうがな。」
女も無理やり笑顔をつくった。
男が黒塗りの車で去って見えなくなるまで、女の顔にはかわいた笑みがはりついていた。