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のぞき見しちゃうくらいの親心

羽瑠、優衣、亜由美、郁美の4人は、沙南がテニス部の部室へ向かうのを見届けてから、お互いの顔を見合わせてにやりと笑った。


「沙南、行ったね。」


 亜由美が興奮気味に早口でしゃべる。


「大丈夫かな・・・?」


 心配そうな郁美の声に、


「大丈夫だって。絶対、翔平も沙南が好きなんだって。ねぇ、優衣、そうなんだよね?」


 羽瑠が優衣に同意を求めた。優衣は、ちらっと3人を見渡すと大きく頷いた。


「それは、確信ある。あの2人、相思相愛のくせに2人とも自分の気持ちに鈍いんだよね。翔平なんかさ、沙南に自分以外の男が近づくと、近づくなってオーラ出してマジ険しい顔になるのに、それ、幼なじみにへんな虫がつくのが嫌なだけって思い込んでるんだから。ただの幼なじみのことで嫉妬なんかするかっての。」


「優衣、よく見ているよね?」


 郁美はさも感心したというように、優衣を見た。


「ふふふん。人の恋愛ウォッチするの、おもしろいんだよねぇ。」


 優衣の得意気なしぐさに、亜由美がつっこむ。


「自分のことは、沙南に負けず劣らず鈍いんだけどねぇ。」


「ちょっと、どういうことよ。私はべつに、好きなやつなんていな・・・」


「優衣、海斗にバーベキューの後始末を頼んできて。」


優衣が言い終わらないうちに、羽瑠が話に割り込んできた。


「えっ、なななななな、なんで私が・・・」


 不意をつかれて優衣が赤くなる。


 わかりやすいやつ。


「優衣のほうが、私らよりも海斗にわかりやすく説明できるから。私らがここから消えても海斗が納得できるように、優衣、話してきて。」


「わ、わ、わかった。い、行ってくる。」


 優衣は、動揺を隠すようにジャージの裾をぽんぽんと払うと、海斗のところに駆けて行った。


「羽瑠、やるぅ。」


 亜由美の冷やかしをスルーして、羽瑠は部室長屋へと向かった。


 ほんと沙南も優衣も世話が焼けるんだから。ほんとは優衣に、『あんたの方も“海斗が好き”って顔に出ているよ』と言ってやりたかったんだけどね。でも、今は沙南のことが先。


「ほら、2人とも優衣が来るまで待つってんなら、おいていくけど?」


「「やっ、それはかんべん!」」


 亜由美と郁美は、慌てて羽瑠の後を追いかけた。


 ここまで協力したんだから、私たちには2人のハッピーエンドを見届ける義務がある。奥手の沙南が幸せになるのを親友としてリアルタイムで祝福したい。それに、いつもはクールで表情があまり表に出ない翔平が、沙南にどんな顔して告白するのかと思うと・・・3人の足は、自然に駆け足になっていた。



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