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短編

ゲーム開始前だけど、詰んだかも

作者: koba
掲載日:2025/10/12

はぁ……何でこうなっちゃうかな……


「……」


これ、絶対詰んだ。


◆20分前◆


ついに!VRMMOを買えました!

節約に節約を重ね、やっと買えました!

早速起動して〜待ってろ!剣と魔法の世界!


『VRシステム起動。初期設定を自動で完了させますか?』


「自動でやってくれるんだったら自動でお願いしま〜す」


『アカウントの設定が完了しました。このアカウントは生体情報と紐付けされているので、複数アカウントの所持はできません。』


「は〜い」


『VRシステムの利用規約に同意して下さい。』


「うん。同意!」


『利用規約への同意を確認。アカウントの作成が完了しました。』


「じゃあ、ネイチャーオンライン?にログインして!」


『Nature Onlineにログインします……利用規約に同意して下さい。』


「うん。全部同意!」


『利用規約への同意を確認。VR世界をお楽しみ下さい。』


◆アカウント作成◆


「Nature Onlineへようこそ!」


「え、あ、こんにちは。」


「こんにちは!あなたのお名前は?」


名前……現実の名前を答えるわけじゃないよね。

とりあえず現実の下の名前でいいかな。


「リンです」


「う〜ん、その名前の人はもう居るみたいだから、他の名前はない?」


名前かぶったら駄目なの?

じゃあ苗字でもいいかな。


「スズキです」


「その名前の人ももう居るみたいだから、他の名前を教えて?」


これも駄目か……

なんか他に……少し前に封印した厨二病の名前でも良いかな。


「炎帝です」


「その名前は使えないから、他の名前にしてね。」


これも駄目なの……?

こうなったら最終手段、適当な文字列……


「ふちゅでさげぬぶもです」


「なんですか?そのキモい文字列は。【名前】を言って下さい」


は?苦し紛れの私の策を【キモい】?

ホントにイライラしてきた……次で最後。次で無理だったら諦める。


「ランダムで決めて」


「それぐらい自分で考えて下さい。自分の名前は、自分で決めるものなんです」


もう我慢できない。──


「はぁぁぁぁぁ!」


「暴力はやめ──」


ふぅ。スッキリした。

ちょっとまでキモイとか言ってきたくせにぶっ倒れてる。

は〜清々しい。


……あれ?これ、詰んだかも……普通は名前を決めて進むのにここで止まったからこれ以上進めないんじゃない?

今までに読んだことがある本だとここで神様が出てきたり、運営が出てきたりするんだけどな……

誰でも良いから来て……


◆現在◆


まだ誰も来ないな〜

この真っ白な空間には私と生意気な名前を聞いてきた奴だけ。

このままゲームスタートしてくれたら良いのに……


「天使からの連絡が来ねえと思ったらぶっ倒れてやがんの」


え?誰か来た?やったぁぁぁぁぁぁぁ!

この状態から(たぶん)脱出できる!

いや、ここは冷静に。

このテンションのまま話したら絶対変な人って思われるから、いつも通りのテンションで。


「誰ですか?」


「名前は名乗れねえが……運営のAIとだけ言っておこう。」


「とりあえず、この状況をどうにかしてくれませんか?」


「無理だな。」


え……?


「何でですか……」


「まず、俺が来た理由はこいつの確認だ。そして、ぶっ倒れてる以上連れて帰らないといけない。更に、一回殴った奴をそう簡単に信用すると思うか?もう一回天使が殴られるのなんて御免だ。」


「そんな……」


「ログアウトはさせてやるから安心してくれ。その後、悔い改めて他のゲームでもするんだな」


「ちょっとまって……このゲームを頑張って買ったのに他のゲームを買うまでVRMMOを我慢なんて出来ない……」


「そう言われてもな……諦めろ。」


「それなら……せめてここに居て……」


「袖引っ張んな。それじゃあな。」


「まってぇぇぇぇぇぇ……」


◆運営の部屋 運営の人視点◆


「天使回収してきました〜」


「お、ご苦労。」


「AIは死んでないのでちょっと直せば復帰できると思いますよ」


「ちょっと直しといてくれ」


「分かりました。」


こりゃまいったなぁ……

まさかあの空間で天使にあんなにダメージを与えられるなんて……

これは設定を間違えたな。

アバタークリエイト時のステータスは、AGI(敏捷性)のみ【1】で、それ以外は【データ無し】にしていた。更に、天使も同じデータだった。

つまり、【データ無し】のSTR(物理攻撃力)で【データ無し】のVIT(物理防御力)に攻撃をしていた。

そうなるとどうなるか。【データ無し】と【データ無し】が衝突し、バグを起こす。

同じ処理を繰り返し、サーバーが熱されていく。

そうなると無理矢理にでも答えを出そうとして、結果的に無限の攻撃力になる。


流石に修正したいが、ステータス差があるとゲームシステム上デバフが発生する。

あの空間だけを解除することは無理だ。

何故なら、あの空間は【Nature Onlene】の世界の一部なのだから。

あの空間だけをを解除しようと思うと世界の全てで解除されてしまう。


かと言って、ステータスを【データ無し】から【1】に変えると、方法さえ知っていれば魔法が打てるし、殴ったら十分な威力が出てしまう。

そして、【0】は特殊な種族でないと存在しないし、【データ無し】と【1】の差は無限大。

どちらかだけをステータス有りにすると、強力なデバフが発生して動けなくなってしまう。


どうしたものか……


とりあえずさっき動けなかったやつは本人にある程度確認して世界に入ってもらおう。

殴って倒せてしまったのはこちらの不備だ。


◆白い空間 主人公視点◆


あの人、戻って来ないかな〜

流石にこの空間に飽きてきた……

いくら立っても座っても疲れないけどこの真っ白な空間は精神的に疲れる……

でも、ログアウトするのは負けた感じがするし……


『すまないね。私達のせいでこのような状況にしてしまって』


!?さっきの運営の人とは違う人の声!

もしかして、もっと上の人!?

一応自分を下げとかないと……


「いえ、私が殴ってしまったせいです」


『そんなことはない。プログラムのバグを君が発見してくれただけだ。』


「バグ?」


何のバグでしょう?

人を殴ったら倒れるのは普通ですよね?


『まあ、簡単に言うと天使に無限のダメージが入ってしまうバグだね』


「だからあんな簡単に……」


『だから、君のアカウントを作ってあげようと思う。』


「作ってくれるんですか!?」


『ああ。天使(AI)にやらせている作業を私たちがするだけだ。』


「じゃあ、名前は……思いつかないです。ランダムって出来ますか?」


『ランダム生成は無理だけど、【ランダム】っていう名前ならまだ居ないよ』


「あ、じゃあそれで」


『次にアバターだけど……このゲームでは基本的に現実の体とほとんど同じアバターしか使えないから髪の色と目の色、髪の長さだけ決めてくれたら良いよ。設定のウィンドウを送っておくね』


「じゃあ……黒髪、赤目、長さは長めで……送信!」


『うん。これなら大丈夫だね。職業とか種族とかはゲームが始まってから決められるから、これでアバタークリエイトはおしまい。最初の街に送るね』


「ありがとうございます!」


『じゃあ、楽しんできてね〜』


「は〜い!」


『アルファディアに転送します』


どんな世界が待ってるかな?

楽しみ!

続きそうな感じですが続きは作りません。

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