第4話:僕たちの取り決め
みんな~!遅くなってごめんねっ
実はちょっとだけ投稿が遅れちゃったの…(1日だけだけどねっ!)待ってくれてありがとう♡
今回のお話は、ちょっとドキドキで、少しだけ心が揺れる場面もあるかも…?
Sayuri目線でたっぷり楽しんでね~!
第4話:僕たちの取り決め
両親とヒロシさんが楽しそうに話してるのを見てると……
なんだか、不思議な気持ちになった。
おかしいのに、でも、あったかくて。
まるで運命みたい――たとえ、今だけのものだとしても。
少しして、両親は「それじゃ…」と笑顔のまま帰っていった。
その幸せな気配を残して――私は、重たい気持ちを抱えたまま見送った。
「そういえばさ〜、あのヒロシ君、なんか見覚えある気がするんだけど…」
とギンが首をかしげながら言った。
陽菜が首をひねって、「ん〜?そうかしら〜?」
と続けた。
「あっ、そうそう!ユウちゃんが遊んでた男の子に似てる!
帰ってくるといつも“その子”の話ばっかりしててさ〜」
陽菜がおっとり思い出しながら、優しく笑って言った。
「あ〜、あったあった、そんなこと〜」って笑って、
「『ママ〜、あの子、女の子じゃないのに汚れるのイヤって遊んでくれないの〜』って言ってたわよ〜」
と懐かしそうに語り出す。
「で、お前がその子に怒鳴ったんだっけな?」とヒナがニヤニヤしながらパパをつついた。
「ち、違うってば!オレはユウちゃんの味方だし!女の子なのに泥んこになって遊びたいのにさ、そいつが“女の子っぽくない”とか言うから…つい!」
顔を赤くして言い訳するパパ。
でも、すぐに照れくさそうに笑って言った。
「でも後からさ、ユウちゃん、楽しそうにそいつのこと話すようになったんだよな〜。『泥遊びさせたった!』ってな」
「懐かしいわねぇ…」
ヒナさんの声は、優しくて、昔を思い出すみたいだった。
「まぁ、まさかあの子と再会して、しかも婚約者になるなんてねぇ。」
ギンさんがため息まじりに言った。
「止めたくても止められないか~。もう婚約しちゃってるもんなぁ。」
「もう、なに言ってるのよ〜」
陽菜がちょっと心配そうに聞いた。
「ヒロくんが“サプライズしたい”って言ってたの、やっと分かった気がするわ〜」
ギンは顎に手を当て、考え込んだ。
「そうか〜…でも、“去年会った”って、どういうことなんだろう。
なんで“幼馴染”って言わなかったんだ?」
「うん……そういえば、言ってたわね。なんでかしら……」
ヒナさんが不安そうにギンさんを見つめた。
「そ、それは…オレに聞かれても困るよ、ヒナちゃん…!」
ギンさんが困り顔で笑ってた。
「ま、いっか〜。きっと理由があるんだろ」
***
ヒロシさんが隣に立ってて、
なんだか、あたしの中で何かが変わろうとしてる気がした。
カフェの空気も、さっきまでのあったかさから、
少しだけ、ざわざわしたものに変わってた。
「……あたし、何から始めたらいいか分かんない」
小さく呟く。
「…仕事も辞めちゃったし…アパートも解約しちゃったの。
両親に婚約の報告して、一緒に住む予定だったのに…
今となっては、どこにも行く場所がないの…」
席に戻ると、みんなも集まってきた。
カズキがニヤニヤして、「で?もうラブラブな関係になったの?」って茶化してきて。
リョウくんはふと思い出したように言った。
「ヒロシ、お前って…ヤマモト家の娘と婚約する予定だったんじゃ?」
(えっ…ヤマモト家って…)
思わずタクヤさんの方を見てしまう。
(た、タクヤくんの妹…?!)
ヒロシさんが真面目な顔で頷いた。
「うん、15年前に親父とタクの親父が決めた婚約だ。
親父が主催したイベントの時に、初めて聞かされた」
「じゅ、15年も前!?」
ショックすぎて、言葉が出ない。
(さっき、うちの両親に“あたしの婚約者”って言ってたのに……
今度は別の人と婚約してたって!?)
ヒロシがチラッと俺の方を見た。
その瞳に浮かんだ感情は、よくわからない。
そして、不意に俺の手をぎゅっと握った。
表情はやけに真面目なのに、その力加減は驚くほど優しい。
(な、なにその顔…?)
「オレは、好きでもない人と結婚する気はないよ。
タク、悪いけど、ハナさんとは無理だ」
「だろうな。お前、妹の顔すらまともに見れないしな。
そんな奴にハナをやるつもりはないよ」
タクヤさんの笑顔は冗談っぽいけど、目は本気だった。
(タクヤさん、妹さんのこと、すっごく大事にしてるんだな…)
「え〜!?あの子、タクっちの妹だったの!?
知らなかった〜!美人だったもんな〜。また会いたい〜紹介してよ〜」
カズキがニヤニヤしながら騒ぎ出す。
「そういえば…お前がうちに来ると、いつもあの子は離れてたな〜」
タクヤさんが腕を組みながら意味深に笑う。
「えっ!?な、なんで!?オレなんかした!?」
ハルキが涙目でわたわたしてる。
「……」
でもタクヤさんは、にこにこしてるだけ。
ヒロシは咳払いをして、頬を少し赤らめた。
「そ、そうか。勘違いじゃなかったんだな。タックは俺に花さんと結婚してほしくないってわけか。」
そう言って、肩に力を入れて真面目な顔になった。
「でも、別にどうでもいいんだよ。もう親父には無理だって言ってあるしな。ちゃんと好きな人も見つけたってさ。」
「なっ…!?」
つい、声が出ちゃった。
(あ…言っちゃった…!)
もう、言わないとダメな空気だった。
「す、好きな人がいるって……
じゃあ、なんであたしの両親に嘘ついたの!?
フィアンセとか言われたら、後で説明大変なんだけど!」
「そうだぞヒロシ!」
カズキが机をドンと叩いた。
「お前に好きな子がいるなら、代わりにオレがフィアンセやってやるよ!」
(は、はぁ!?)
冗談か本気か分からない空気に、場が一瞬ピリついた。
「落ち着けよ、カズキ。サユリさん、困ってるじゃん」
タクヤさんの冷静な声が響く。
「え〜?なにそれ、タクっち冷たい〜」
カズキがじと〜っと睨んでくる。
「でも、ヒロシにはちゃんと理由あるでしょ?」
タクヤさんが柔らかく笑った。
全員の視線が、またヒロシさんに向く。
心臓が、ドクンドクン鳴ってた。
(……理由って、なに?
まさか、ハナさんよりあたしを選ぶ……なんて、言えないよね?)
ヒロシはゆっくり深呼吸してから、みんなの方をキョロキョロ見渡した。頬がうっすら赤くなっている。
「あのさ、理由はあるんだよ」って、咳払いしながら言った。
「親父に好きな人がいるって言ったのは…嘘ってわけじゃないけど、見合いから逃げるための口実みたいなもんだ。」
ヒロシはサッと俺の方をチラッと見て、すぐに目をそらした。決意を秘めた表情だった。
「親父が来月、その彼女ってやつに会いたがっててよ。だから、誰かで繕う必要があったんだ。お前の状況を見て…仕方なく動いただけだし。お互いに都合がいいから、変な勘違いすんなよな。」
あたしの胸が、ざわざわした。
(ど、どうしてここまでして……
偽の彼女なんて、わざわざ探さなくても、本物を……)
ヒロシは俺の目を真っ直ぐに見て、強い口調で言った。
「ユリさん、話だけは聞け」
声は低くて真剣そのものだった。
「4ヶ月だけ彼女のフリをしろ。その後は別れ話をちゃんと作る。お前の親にも俺が直接謝るから。」
頭が真っ白になった。
その言葉は、まるで大きな波のようにあたしの心を揺さぶって――
胸の奥で、何かが変わろうとしていた。
ここまで読んでくれてありがとうっ!
どうだったかな?気になる展開になってきたでしょ〜?ふふっ
あの「提案」に、さゆりはどう答えるのか…!?
次回もぜひ読みにきてねっ!