婚約の日に、彼らと出会った
今日はちょっぴりドキドキな出会いの回です。
さゆりと五人のイケメンたち――それぞれ個性が光ってて、書いてて楽しかったです。
みなさんは誰が一番気になりましたか?ふふっ♪
第2話:婚約の日に、彼らと出会った
ちょうどその時、五人の男の人たちがテーブルに近づいてきた。
みんな、どこか驚いた顔でこっちを見てる。
(えっ?な、なに……?)
なんか……目が言ってた気がする。
(「この子、誰?」って……いや、気のせいかもだけど。)
私は息をひそめて、俊郎おじさんが何か言ってくれるのを待った。
「紹介するよ」って、おじさんがにっこり笑った。
「この子は宮崎さゆり。俺の姪っ子で、婚約者が惚れた女性さ」
(な、なんでそこまで言っちゃうの〜っ!?)
男の人たちは一瞬、ポカンとした顔になって、それから私とおじさんを交互に見た。
……わぁ、みんなに見られてる……は、恥ずかしい……。
(こ、こんな状況……ちょっと照れる〜……)
一歩前に出た彼が、軽くお辞儀をした。
「よろしく…ゆ、ゆりさん。俺は高橋浩司だ。」
声はしっかりしてたけど、一瞬だけ目をそらして、またすぐに俺の方を見た。
(ゆ、ゆりさん…?なんか、もう知り合いみたいな言い方…)
私は小さく咳払いをして、にこっと笑いながら軽く会釈した。
彼はただうなずき返すだけで、表情は読み取れなかったけど…なんとなく肩がちょっと硬くなってた気がする。
ヒロシさんの隣にいた人が、にかっと笑って続いた。
「やぁ、初めまして!中村カズキっす。よろしくね、さゆりさん」
三人目は落ち着いた雰囲気で、丁寧に頷いた。
「こんにちは、山本タクヤです。お会いできて光栄です」
四人目の人も、やわらかくお辞儀してきた。
「どうも。田中リョウです。よろしくお願いします」
最後の人は、明るい笑顔でスッと近づいてきた。
「やっほー!鈴木ハルキっていいます。マーケティングやってるよ。よろしくね〜!」
恥ずかしさとちょっとした好奇心で、私は微笑んで返した。
「ど、どうも……みなさん、はじめまして……」
混乱してる気持ちは、どうにか隠したつもり。
おじさんは嬉しそうにうなずいて、
「この人たちは常連さんでね。よく集まっては話してる仲間たちさ。会わせたら楽しいと思って」
私はこくんと頷いた。おじさんの気遣いが嬉しかった。
会話の中で、みんなの仕事のことも知った。
(ヒロシさんは警察官。カズキさんはアートが好き。タクヤさんはCEO。リョウさんは金融系で、ハルキさんはマーケティング……)
(全然バラバラだけど……すごく仲良さそう……どうやって知り合ったんだろ?)
話していくうちに、だんだん空気も和んできた。
カズキさんが、ちょっと茶目っ気たっぷりに聞いてきた。
「ところでさ、さゆりさんと婚約者さんって、どうやって出会ったの?もしかして、運命の出会い〜?」
「えっと……」私は照れながら小さく笑った。
「そんな大した話じゃないですよ。共通の友達のパーティーで会って……それから自然と仲良くなって……」
ハルキさんの目がキラキラして、口元がにやけてきた。
「それ、かわいい〜!ね、ね、キスとか……したことある?」
両手をくっつけて、キスのジェスチャーしてきた。
私は一気に顔が真っ赤になって固まった。
「そ、それはっ……」
(き、キスはしたけどっ……な、なんでそんなこと聞くのよ〜〜っ!?)
ぎこちない笑いでごまかしてると……
「お前、なに聞いてんだよ……」
ヒロシさんが、ハルキさんの頭をポカッと軽く叩いた。
顔が少し赤い。
「……そんなの、答えるわけないだろ」
「えー?でもさ、気になるじゃん?」
ハルキさんは頭をさすりながら、目をキラキラさせてる。
一瞬、みんな黙って……それから笑いが広がった。
私も、ちょっとだけ照れ笑い。
リョウさんがそっと近づいて、
「気にしないでください、さゆりさん。彼、いつもこんな調子だから」
「えっ、ちょ、それ陰口じゃない!?」
ハルキさんがリョウさんに詰め寄ると、リョウさんはただ笑ってた。
話題を変えようとしたのか、ハルキさんが私に聞いてきた。
「じゃあさ、ふたりで何して遊ぶの?共通の趣味とかある?」
「えっと……登山とか、自然の中を歩くのが好きです」
まだ少し恥ずかしかったけど、話せてちょっと安心。
「おぉ〜、なんかいいね〜」
タクヤさんが、少し眉を上げて笑った。
「自然の中でリフレッシュって感じか。いい時間の過ごし方だね」
「はい。騒がしい日常から、ちょっと逃げる感じで」
リョウさんが前のめりになって、目をキラッとさせた。
「オススメの登山スポットとかある?大雪山とか行ったことある?火山とか山々とか、絶景らしいよ」
(あ……今たぶん、頭の中で登ってる……)
「行ったことありますよ。去年の九月に行きました」
私はにっこり笑った。
「でも、途中で迷っちゃって……それが忘れられない思い出になってます」
ちょっと笑いながら話したら、みんなも笑ってくれた。
その後も、他の登山の話や面白い体験をシェアして、どんどん雰囲気が柔らかくなっていった。
笑ったり、共通点を見つけたり――
(……なんだか、緊張も少しずつほどけてきたかも)
ヒロシさんは、静かにコーヒーを飲みながら、時々話に入ってきた。
その穏やかな空気に、私はふと目を奪われた。
(なんだろ……今日初めて会ったのに……懐かしい感じがする……?)
と、その時。
俊郎おじさんが白い封筒を持って私のところへ来た。
少し心配そうな顔をして、封筒を私に差し出した。
「さっき、入り口にいた男がこれを渡してくれって。名前も言わずにすぐ行っちゃったよ」
読んでくれてありがとうございました!
新しい人たちに囲まれて、さゆりの世界も少しずつ広がっていきます。
でも――最後のあの「白い封筒」、ちょっと気になりますよね……?
次回、あの手紙の中身が明かされます。どうかお楽しみに!