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春日和

 『初めまして、こんばんは。

 プロフィールを拝見し、連絡をさせて頂きました。僕はあまりこう言った事は慣れておらず、よければ会ってお話しさせて頂けませんか?』


 おー!…ん? 連絡も取らずいきなり会うの? お昼希ちゃんに言われた事を思い出す。


 「こんな急に会うのは駄目だよね… 少しはどんな人か分かってからじゃないと…」



 ピッポ、ピッポ、ピッポ…


 「結局、会う約束をしてしまったー…。えっと横断歩道の前にあるカフェって言ってたけど、ここってお昼休憩にいつも行くカフェだよね。今日の人もここから近いんだぁ。すごい偶然だな…」


 私が着いたのは約束の時間より30分前…


 「早く来すぎたな…。私、駄目だと言っておきながら張り切りすぎ? いや、この際張り切っていかないと、いつまでも終わらない! にしても今日はいい春日和だなぁ」


 ガッツポーズをして、気合を入れた。相手の特徴は、金髪にベージュのキャップを被って、白いTシャツだそうだ。まだ早いが辺りを見渡す。……。あれ、金髪にベージュのキャップ、白いTシャツ…。うん、結構いるなこの辺り。なんで今日に限って同じような人が通るんだか…。まぁ、私の特徴も伝えたし大丈夫でしょう!


 ちなみに私は、麦わら調の深めのバケットハットに、白いワンピース。気合入っとるやないかい!海行くの!? と、自分で突っ込んでしまうほど、待ってる時間は退屈だ。こう言う時、相手も早めに来ちゃったとかならないかな〜ってちょっと期待しちゃうんだよね。私が勝手に早く来ただけなのに。


 「すみません、遅くなりました!」


 右から走ってくる人が見えた。

 

 (やっと来たか… まぁ、時間ぴったりなんだけどね)


 声のする方へ目をやると、それはそれは驚いた。走ってきているのに、スローモーションに見えるほど、キラキラした人だったから。走って少し汗をかいたのか、飛び散る汗ですら輝きを引き立てるアクセントになっている。


 「はぁ…はぁ… すみません、刹那さんで合ってますか?」


 「は、はい! 貴方も…」


 「はい、僕が石井いしいです。遅くなってすみません」


 凄い、凄いよこれ。大当たりじゃない? ルックスよし、言葉遣いも丁寧だし。


 「いえいえいえ、時間通りじゃないですか。私もさっき来た所ですよ」


 あー、さっき早く来てくれたら良いなとか自分勝手な事考えてた私を殴りたい。贅沢言うな!だよ、ほんと。印象が良かっただけで態度も変わってしまう、単純な私。


 カフェに入り席に着くと、私はアイスカフェオレ、石井さんはホットコーヒーを頼んだ。さぁ、ここは私から話すべきか、相手から待つのが吉か…


 「あの…」

 「あのっ…」


 うーーーん、まさかの被り〜! 初対面でこれは、

 

 お先にどうぞ。

 いやいやどうぞお先に。

 

 をやり合うやつじゃん。


 「お先にどうぞ」


 やっぱり言われたよ…。にしても、ほんとこの人、爽やかだなぁ。肌ツヤツヤだし。この人と一緒になれたら、毎日目の保養になって、それだけで私の肌若いままで居れるね、きっと。そう、うっとり見惚れていると、


 「… 僕の顔に何かついてますか?」


 顔を触り、何かついてないか確認する石田さん。かわいいなぁ…


 「いえ、何もついてませんよ。すみません、石田さんが凄く綺麗なので、ぼーっとしてしまいました」


 優しくハニカム石田さん。あー、今日これで終わってもいい。ご馳走様です。


 「刹那さんこそ、美しいじゃないですか。僕なんてそこら辺りにいる男と変わらないです」


 「嬉しい、そんな事言ってもらえるなんて。石田さんも、そんなに謙虚にならなくても、美しいです」


 美しい… お世辞でも言われると嬉しいな。いつも取扱説明書を出して逃げられるから、お世辞でもそんな事言われた事ないしぃ。広角がずっと上がりすぎて、頬が痛い。でもこの状況で取扱説明書出すの、私でも勇気いるな…


 「それで、さっき言おうとしてた事ってなんですか?」


 「あっ、いやいや、石田さんからどうぞ…」


 私は手を横に振り、石田さんから言ってもらうのを待とうとしたら、


 スッ… パリンッ! 


 私の手がグラスに当たり、テーブルから落ち、割ってしまった。何してんのよ私!


 急いで拾おうとすると、サッと手を握られ怪我をするから触らないように言われた。私の鼓動が手を通じて伝わりそうだ。慌てるように手を離し、代わりに拾ってもらう姿を見てると、石田さんが何かを見つける。


 「これ…」

読んで頂きありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします!

応援して頂けたら幸いです。

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