第62話:影の正体 & 商隊の帰還
戦闘が終わり、黒装束の男たちは壊滅した。俺たちは深いため息をつきながら、ようやく警戒を解いた。
「なんとかなったな……」
ガルヴァスが大剣を地面に突き刺し、息を整える。俺も額の汗を拭いながら辺りを見渡す。
「商隊の被害は?」
商隊のリーダーが駆け寄ってきた。
「馬車は無事ですが、荷物が少し散乱しました。幸い、大きな被害はなさそうです」
「それなら一安心だ」
護衛メンバーと商隊が手分けして荷物を整理し、すぐに移動の準備を整える。
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一方、騎士団は倒れた敵の遺体を確認していた。そして、生き残っていた一人の黒装束の男を引きずり出す。
「こいつは生きてるぞ!」
騎士団の隊長が、その男の覆面を引き剥がした。
「……やはりな。こいつらは傭兵崩れのならず者だ」
「傭兵崩れ?」
「戦争で仕事を失った傭兵たちが、盗賊まがいのことをやるのは珍しくない。以前見かけたことがあるやつだ。だが、これだけ統率が取れているとなると、背後に何か組織が絡んでいる可能性が高い」
騎士団の隊長は苦々しい表情を浮かべながら言った。
「この男を連行して尋問する。我々の城で詳しく調べることにしよう」
「よろしく。任せるよ」
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荷物の整理が終わり、俺たちは改めて商隊の護衛を続けた。
「ここから目的の街まで、あと半日ほどだな」
「無事にたどり着けることを祈ろう」
襲撃の余韻が残る中、俺たちは慎重に進み、目的の街へと向かった。
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翌日、無事に目的の街へ到着し、商隊は荷を降ろした。
「おかげで無事に荷を届けられました。助かりました!」
商人たちは感謝しながら、俺たち護衛に報酬を渡してくれた。
「報酬は確かに受け取った。さて、帰るとするか」
俺たちは報酬を分配し、元の街へ戻ることにした。
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街へ戻ると、俺はまっすぐギルドへ向かい、報告を済ませた。
「依頼は完了した。問題はあったが、無事に商隊は目的地に到着した」
受付係は書類を確認しながら頷いた。
「おお、ご苦労だったな。これで正式に依頼完了とする。騎士団のやつからも聞いたが、かなり手強い相手だったな」
報告を終えた後、俺はリーナの元へ向かった。
「ただいま」
「おかえり! 無事で何よりね」
リーナはほっとしたように微笑んだ。
「ちょっと疲れたな。飯でも食おうか」
「うん、今日はご馳走作るわよ!」
こうして、俺はしばしの休息を得ることになった。しかし、黒装束の男たちの背後にある組織の影は、まだ完全には消えていないことを感じていた。