第59話:ギルドからの新たな依頼
市場の改革が進み、ブラッドウルフ商会の介入を退けたことで、街の商業は安定しつつあった。しかし、その影響か、冒険者ギルドから俺に正式な依頼が届いた。
「市場改革の件で、ギルドとしてもお前の実力を評価している。今回は特別な依頼だ」
ギルドカウンターに立つ無愛想な受付係が、俺に羊皮紙を差し出した。
「この街の南に広がる交易路の安全確保だ。最近、商隊が何者かに襲われる事件が相次いでいる。普通の盗賊じゃないらしい。報酬は高いが、それなりの危険を伴うぞ」
「……ふむ」
俺は依頼書を手に取り、内容を確認する。
「同行する護衛の人数は?」
「お前を含めて4人。今回は腕の立つ冒険者を選抜した」
「なるほどな……」
正直、商業関連の仕事ばかりやっていた俺には、久々の実戦依頼だ。準備をしっかりしておく必要がある。
「まずは武具を整えよう」
俺はリーナとともにこの街の鍛冶職人を訪れることにした。
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鍛冶屋に到着すると、年配の職人が俺たちを迎えた。
「おや、新しい武具を探してるのか?」
「護衛任務だ。しっかりした装備を用意したい」
「なるほどな。どんな武器が欲しい?」
「そうだな……俺は直接戦うタイプじゃないが、遠距離で使えるものがいい」
俺はしばし考えた後、召喚でサポートできる武具を思い浮かべる。
「金属製の防具と、精密な投擲武器を作れないか?」
「金属製の防具は問題ないが、投擲武器ってのはどんなものだ?」
「投げナイフのようなもので、より遠くまで正確に飛ばせるものがいい」
職人はしばらく考え込んだ後、頷いた。
「なるほどな……よし、作ってやる!」
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俺は鍛冶場で職人が新たな武器を鍛える様子を見守ることにした。
炎の中で鉄が赤く輝き、槌の音が響く。俺は次なる戦いに備えながら、武具が完成するのを待つことにした。