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第48話:俺、商会の顧問になる。

倉庫の在庫管理が改善され、作業員たちも新しい方法に慣れてきた頃、イワノフが次の提案をしてきた。


「お前、しばらくうちの商会専属で働かないか? 顧問として、相談に乗ってもらいたい」


「顧問?」


「そうだ。物流の改善で、お前の能力は証明された。市場の運営も見直したいが、長期的に助言してもらえる人材が必要なんだ」


なるほど。今後の仕事の安定も考えれば、悪い話ではない。また、サラリーマン時代では主任だった。マネージャーに昇進するには、まだ経験も成果も足りなかった。また、係長以上になると部下のマネージメントもする必要があり、すぐにできる自信はなかった。


顧問であれば、常に業務があるわけではないし、自分の力を役立てることができるかもしれない。


「わかった。必要としてくれるのは嬉しいよ」


「ただし、ギルドで紹介してもらっているから、顧問契約もギルドを通じて依頼として受けてほしい」


イワノフの商会ほどの規模なら、適当な契約では問題が生じる可能性もある。ギルド経由なら、契約が公的に認められ、報酬や責任の範囲も明確になる。また、ギルドを外して個別契約すると、ギルドからの信用度も下げてしまうのだろう。


「わかった。ギルドで契約を結ぼう」


こうして、俺は商会の顧問となる約束をした。

契約料は月30万バイトとし、召喚で用意した物品は都度見積とした。


---


数日後、ギルド経由での顧問契約をし、商会の運営に関する基本情報を把握したところで、イワノフから市場改善の提案があった。


「市場をもっと効率的にしたい。客の流れを整理し、売上を伸ばす方法を考えてくれ」


市場改善。確かに、倉庫と物流が整備された今、次に手を付けるべきは販売の現場だ。


「市場の構造を知りたい。まずは案内してくれ」


だが、この世界の商習慣や市場の事情にはまだ詳しくない。そこで、リーナを同行させることにした。


俺はまず、リーナが働く古着屋へ向かった。


店内に入ると、布地の匂いが漂い、オーナーがカウンターで帳簿をつけていた。


「おや、珍しい客だね。何か探してるのかい?」


「いや、今日は買い物じゃなくて、お願いがあるんだ」


俺はリーナをしばらく借りたい旨を説明した。


「リーナには市場の案内役を頼みたい。こっちの商売の仕組みをよく知っているし、俺一人じゃわからないことも多い」


オーナーは少し考え込んだ後、リーナの方を見た。


「リーナ、お前はどうする?」


「えっ、私も? ……まぁ、面白そうだし、いいわよ」


「いいのか?」


「市場のことなら多少は知ってるし、こういうのも経験になるしね」


オーナーは肩をすくめながら頷いた。


「まあ、半日くらいならいいだろう。ただし、ちゃんと戻ってこいよ」


「わかってるって!」


こうして、俺はリーナを連れて市場へ向かうことになった。

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